カリウムが多い食品とその影響
カリウムが豊富な野菜と果物
カリウムは生体内で重要な機能を持つ、人体に欠かせないミネラルです。多く摂り過ぎても通常は尿として排出されますが、腎機能が低下するとその排出がうまくいかなくなり、カリウムが体内に蓄積してしまいます。その結果、血液中のカリウム濃度が高くなり過ぎて体に悪影響を及ぼします。そのため腎機能の低下度合いによっては、食事から摂取するカリウムを制限する必要が出てくるのです。
以下の表は、カリウムが多く含まれる野菜と果物の一部を示しています。
野菜・果物 | カリウム含有量(可食部100gあたり) |
---|---|
バナナ | 360mg |
ほうれん草 | 690mg |
アボガド | 590mg |
ブロッコリー | 460mg |
じゃがいも | 410mg |
医師によってカリウム制限を指示された場合は、カリウムを多く含む食品に注意しなければいけません。摂取量を控える、調理方法に注意するといった対策を取ることでカリウム制限を実践していくことになります。
カリウムを含む食べ物の摂取方法と注意点
カリウムの制限が必要となった時、多くの場合は1日あたりのカリウム摂取量の目安が指示されます。その目安に沿って、カリウムを多く含む食品を控えたり他の食品に置き換えたり、調理の工夫をすることでカリウム制限を行います。
例えば、カリウムを多く含むバナナを比較的少ないりんごに置き換える、アボカドの摂取は控えるといった対策が必要です。
またカリウムは水に溶け出しやすい性質があるため、茹でたり水にさらしたりすることで食材に含まれるカリウムを減らすことができます。
加熱が必要な野菜は茹でてから、生で食べる野菜はスライスや千切りにしたあと一度水にさらしてから食べることでカリウムの摂取量を控えられます。
味噌汁やシチュー、カレーなど茹で汁ごと食べる料理では、茹でた野菜の汁を一度捨てる「茹でこぼし」の作業をしましょう。この作業をしないと、茹で汁に溶け出たカリウムを摂取してしまうことになります。茹でた後の汁を一度捨て、新しい水やお湯を加えてから味噌やルウを入れてください。なお電子レンジで加熱する方法ではカリウムは減らせません。食材を水に触れさせることが重要となります。
ただしどの方法でも、カリウムをゼロに近い状態にできるわけではないため、くれぐれも食べ過ぎには注意しましょう。
腎臓病でも安心して食べられる食材
一般的に、果物はカリウムが多いとされていますが、中にはカリウムが少ないものもあります。その代表例として、「リンゴ」「ぶどう」「桃」が挙げられます。これらの果物はカリウムが比較的少なく、腎臓病の方でも安心して食べられます。しかし、食べる量には注意が必要です。大量に摂取すればカリウムを摂り過ぎてしまう可能性もありますので、医師の指導を守りつつ適切な量を摂取しましょう。また、料理法によってもカリウムの含有量は変動します。後述する「果物コンポート」のレシピを参考に、美味しく健康的な食生活を送りましょう。
「果物コンポート」でカリウムを控えよう!
生の果物を食べるよりも、コンポートにすることでカリウムの摂取量を抑えることが可能です。ただし、煮汁にはカリウムが含まれるため、汁を摂取することは避けてくださいね。
食材リスト(2人前)
材料 | 2人前の分量 |
---|---|
果物(りんごや洋梨など) | 中サイズ 2個 |
砂糖 | 50g |
水 | 500ml |
作り方
- 果物は皮をむき、芯を除いて適当な大きさにカットする。
- 鍋に水と砂糖を入れて火にかけ、砂糖が溶けたら果物を加える。
- 弱火で果物が柔らかくなるまで約20分煮る。
- 果物が透明感を帯びてきたら火から下ろし、冷ましてから冷蔵庫で冷やす。
ポイント
コンポートは果物の自然な甘みと砂糖の優しい甘さが合わさったデザートです。調理方法はシンプルで、果物を砂糖水で煮るだけなので、調理初心者でも簡単に作れます。また、ジャムと異なり砂糖の量が少なめで、果物の食感や風味を楽しめるのが特徴です。
このレシピではリンゴや洋梨を使用していますが、季節の果物でアレンジすることも可能です。梨や桃、いちごなど、お好みの果物を使ってみてください。コンポートはそのまま食べるのはもちろん、ヨーグルトやアイスクリームのトッピングとしても楽しめます。
これらの手順に従うことで、カリウムを控えつつ、美味しく食事を楽しむことができます。是非試してみてください。
まとめ
カリウム摂取の管理は、特に腎臓病の患者さんにとって重要な要素です。とはいえカリウムの多い野菜や果物全てを避ける必要はありません。これらの食品はカリウム以外のミネラルやビタミンの摂取に不可欠であるため、調理の工夫でカリウムの摂取を抑えながらも適切に摂取することが必要です。適切なカリウムの摂取量は、個々の腎臓機能や生活習慣により異なりますので、医師や栄養士と相談しながら調整しましょう!
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