日本のりんごの産地ランキング
日本には、美味しいりんごを育てている地域がたくさんありますが、中でも栽培が盛んで、生産量ランキングでも常に上位に並んでいるのが、青森県、長野県、岩手県、山形県です。実は国産りんごの約90%はこの4県で生産されており、全国から年間約70万トン出荷されているりんごのうち62万トン以上を占めています。
この4県で栽培されているりんごは、もちろん生産量が多いだけでなく味わいや品質も良好で、それぞれ代表的な主力品種やオリジナル品種が存在します。端正込めて育てられた名産地を代表するりんごたちは、特産品として全国に多くのファンを獲得しています。
品種別りんごの生産量と産地
りんごにはたくさんの品種があり、それぞれに違った特徴を持っています。また品種ごとに生産量や盛んに栽培されている産地も異なり、比較的手に入りやすいものと希少性の高いものとがあります。
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※2024年4月~2024年8月のデータりんごの中で最も多く生産されている品種は「ふじ」です。ふじは袋掛けをして育てる有袋栽培と袋掛けをせず、太陽の光を当てて育てる無袋栽培とがあり、無袋栽培されたふじは「サンふじ」として販売されています。サンふじの発祥は山形県朝日町で、従来の無袋栽培より甘みが強くジューシーなのが特徴です。
また生産量5位の「王林」は、鮮やかな黄緑色の果皮と爽やかな香りが特徴で、青りんごの中では最も多く生産されている品種です。一般的に、青りんごは赤りんごよりも希少性が高く、品種数も少なめですが、王林は青森県や岩手県、山形県を中心に盛んに栽培されており、旬の時期になると店頭にもよく出回っています。
美味しいりんごが育つ条件とは?
美味しいりんごが育つ名産地には、気温や天候にある共通点があります。先ほど紹介した生産量上位4県にも共通している、美味しいりんごが育つ気候条件は、以下の通りです。
- 年間を通して気温が低い
- 降水量が少なめ
- 昼夜の温度差が大きい
りんごの生育に適した気温は、年間平均6~14℃といわれており、比較的涼しいところでよく育ちます。地域として見ても、長野県を除く3県が東北地方に属し、日本でも北側の位置にあることが分かりますね。
またりんごは黒星病などの病気にかかりやすく、その原因の一つが多雨とされています。元々りんごは雨を嫌う性質のため、西日本など他の地域から見れば東北地方は雨が少ないはずですが、それでもりんごにとっては多いといわれています。
最後の昼夜の寒暖差は、りんごの味わいに直結する重要な要素です。りんごの収穫期が近づく8月後半以降、東北地方では夜に長袖が必要になることもあるほど気温が下がります。成熟間近のりんごは、昼夜の寒暖差にさらされることで果実に栄養や糖分を蓄え、甘く美味しく育ちます。
あの地域がなぜ?りんごの名産地の秘密に迫る!
ここからは、日本を代表するりんごの名産地である青森県、長野県、岩手県、山形県について、栽培の特長をそれぞれ見ていきましょう!
この4県ではどのようにして美味しいりんごが育てられているのか、主力品種にはどんなものがあるのか、各産地のりんごの魅力や旬の時期も合わせて解説するので、気になるりんごの産地をぜひチェックしてみてください◎
青森県のりんご栽培の特長
青森県は、明治初期から続く歴史あるりんごの産地で、生産量は全国1位を誇ります。かつては冷涼な気候から様々な冷害に見舞われやすく、農作物の栽培に困難を極めた青森県でしたが、この気候に適するりんごが導入されたことで、りんご栽培が急速に広まりました。
津軽弁で、真面目で負けず嫌いという意味を指す「じょっぱり」な性格と、りんご栽培に対する情熱は後世に受け継がれ、現在では「りんご県」と呼ばれるほどの名産地となりました。そんな青森県では、つがる、ジョナゴールド、ふじなど幅広い品種のりんごが育てられており、全体として食べ頃を迎える旬の時期は1月から4月にかけてです。
長野県のりんご栽培の特長
長野県は、青森県に次いで生産量2位を誇る、日本屈指のりんご産地。りんご栽培に適した気候と清流から流れる豊かな水、さらになだらかな傾斜で水はけの良い地形を生かし、甘くジューシーなりんごを数多く生産しています。
そんな長野県には秋映、シナノスイート、シナノゴールドからなる「りんご三兄弟」という三大主力品種があり、収穫時期はそれぞれ異なりますがどれも美味しいりんごとして全国的に人気を集めています。そんな長野県のりんごの旬は品種ごとに大きく異なり、8月下旬から12月中旬にかけてとされています。
岩手県のりんご栽培の特長
岩手県は、独自の栽培方法や品種改良が盛んに行われ、地域一丸となって美味しいりんごの生産に取り組んでいる産地です。そんな岩手県で育ったりんごは、樹を低く仕立てることで太陽の光が全体に行きわたる「わい化栽培」や、樹に実らせたまま完熟させる「樹上完熟」などにより甘みと酸味のバランスに優れ、シャキッとした食感が持ち味となっています。
主力品種は、岩手県で誕生した黄色いりんご「はるか」で、旬の時期は11月上旬から下旬にかけて。その中でも糖度や蜜入りに優れているものは「冬恋(ふゆこい)」というブランド名がつき、全国に多くのファンを獲得しています。
山形県のりんご栽培の特長
山形県は、日本一生産量の多い「ふじ」を無袋栽培で育てた「サンふじ」発祥の地であり、全国屈指の美味しいりんごの産地です。山形県の地形は周囲を高い山々に囲まれた盆地で、梅雨でも雨が少なく昼夜の寒暖差にも恵まれていることから美味しい果物がよく育ちます。
そんな山形県では、サンふじを中心に、王林やつがるなど様々な品種のりんごが育てられています。2008年にデビューしたオリジナル品種「秋陽」は、甘酸っぱく濃厚な味わいとパリパリとした心地よい食感ですでに人気となっており、県を代表する主力品種の一つとなっています。山形県のりんご全体が旬を迎えるのは、10月下旬から12月頃です。
りんごを食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!