山形はなぜりんごの産地として有名なの?
まずは山形県がなぜりんごの産地として有名なのか、その理由について紹介します。
山形県産のりんごは味良し、香り良し、見た目良しの三拍子揃った品質の高さから全国に多くのファンを獲得しています。ではなぜ、山形県ではそんな美味しくて高品質なりんごが育つのか、山形県のりんご栽培の特色から読み取っていきましょう!
美味しいりんごを育てる山形の気候や土壌
山形県には、美味しいりんごを育てる気候や土壌が揃っています。りんごの生育に適した自然条件には、以下のようなものがあります。
- 昼夜の寒暖差が大きく冷涼な気候
- 降水量が少なく日照時間が長い
- 水はけが良く肥沃な土壌
りんごの生育に適した気温は、年間平均6~14℃といわれており、比較的涼しいところでよく育ちます。昼夜の寒暖差は、りんごの味わいに直結する重要な要素です。成熟間近のりんごは、昼夜の寒暖差にさらされることで果実に栄養や糖分を蓄え、甘く美味しく育つといわれています。
またりんごは雨を嫌う性質で、多雨な地域では黒星病などの病気にかかるリスクが高まります。山形県の地形は周囲を高い山々に囲まれた盆地で、梅雨でも雨が少なく水はけが良いため、雨や多湿に弱いりんごも健やかに育ちます。
美味しいりんごの開発に対する情熱と挑戦
山形県は、恵まれた自然条件を生かし、より美味しいりんごを育てる栽培方法やオリジナル品種の開発に盛んに取り組んでいます。
中でも代表的な取り組みとしてあげられるのが、日本一生産量の多い品種である「ふじ」を無袋栽培で育てる「サンふじ」の開発です。通常、ふじは色づきやツヤを良くするため袋掛けを行うのが主流でしたが、1970年山形県朝日町では全国に先駆け、ふじに袋掛けを行わずに成熟させる栽培方法を実施しました。
結果として袋掛けを行わないサンふじの方が甘くジューシーで、食味良好なりんごへと仕上がりました。現在、国内で生産されているふじは無袋栽培が大半を占めており、サンふじは日本を代表する人気品種となりました。
山形で栽培されている主なりんごの品種は?
ここからは、山形県で栽培されている主なりんごの品種と、その特徴について見ていきましょう!
山形県では、サンふじをメインに幅広い品種のりんごが育てられています。どれも美味しいりんごであることに間違いありませんが、今回はその中でも特に主力となっている3つの品種を紹介します◎
サンふじ
サンふじは、先ほど紹介した無袋栽培で育てられたふじのことで、山形県発祥です。元々、数の多いふじに一つ一つ袋掛けを行う作業は生産者にとって大きな負担となっており、これを解消すべく編み出されたのがサンふじです。
袋掛けを行わないことで、成熟するまで太陽の光をたっぷりと浴び、糖分や果汁を豊富に蓄えたサンふじは、通常のふじより甘みが強く濃厚で、ジューシーな味わいをしています。色づきやツヤなど、外観の良さでは通常のふじに劣るものの、現在ではサンふじの方が主流となっています。
サンふじが最も食べ頃となる旬の時期は12月から3月にかけて。冬本番に旬を迎えるサンふじは、食味良好で全国的に人気の高い品種なので、お歳暮などの贈り物としても最適です◎
秋陽
秋陽(しゅうよう)は、「陽光」と「千秋」の交配により山形県で誕生したりんごで、山形県では第一号となるりんごのオリジナル品種です。2008年に品種登録されたばかりの比較的新しい品種ですが、甘酸っぱく濃厚な味わいとパリッとした心地よい食感で、すでに多くの人気を集めています。
秋陽は350g前後の大玉で、熟すと果実全体が濃い赤色に染まります。店頭で購入する際は、より鮮やかでムラなく色づいているものを選ぶのがおすすめです◎旬の時期は9月下旬から10月上旬頃で、秋に収穫を迎えることから「秋の陽を浴びて育ったりんご」という意味で名付けられています。
王林
王林は、日本で3番目に生産量の多い、青りんごの代表格といえる品種です。元々福島県で発見された品種ですが、現在では山形県や青森県、岩手県を中心に栽培されています。旬の時期は11月中旬から2月頃で、熟すごとに鮮やかな緑色から黄色がかった色味へと変化していきます。
果皮には比較的サビが多く、果点がはっきりと見えます。王林は全体に蜜が入りやすく、強い甘みとジューシーな食感を楽しめますよ◎香りも強く芳醇で、酸味が強いという青りんごのイメージを覆す、甘い風味が最大の特徴です。
山形の美味しいりんごはどこで購入できる?
山形県産のりんごを購入するなら、できれば新鮮で美味しいものを選びたいですよね◎スーパーなどで購入できる山形りんごも、もちろん美味しいですが、直売所や産地直送の通販サイトを利用すると、より新鮮なものをゲットできますよ。
山形県のJA公式通販サイトや、各農家のホームページには、旬の時期が近づくと品種ごとの販売予定が掲載されていることも多いので、お目当てのりんごを逃さずゲットしたい人はぜひチェックしてみてくださいね!
りんごを食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!