とちおとめの特徴
まずは、とちおとめの特徴について見ていきましょう。
形状、色、大きさ
とちおとめの特徴的な形状は、高さがあって大きな楕円形で、色艶は鮮やかな赤で一目でわかる美しさです。大きさでは中〜大という範囲に分類され、1個あたりの重さは平均で約30g、大粒のものでは40gを超えることもあります。見た目の美しさだけではなく、そのサイズから一つひとつが食べ応えがあり、そのためパティシエや料理人からも愛されています。さらに、果肉は適度な弾力があり、噛むと果汁がじゅわっと広がる点も魅力の一つです。
味、香り
とちおとめは、その独特な甘さとしっかりとした酸味が特徴で、広く愛されています。まず一口食べると、口の中に広がるのは深い甘み。これは、とちおとめ自体が持つ高い糖度によるものです。しかし、その甘さだけでなく、後から感じる程よい酸味がバランスを取り、単調になることなく深みのある味わいを楽しめます。また、とちおとめの香りについても特筆すべき点があります。その香りはフレッシュで甘く、一度嗅いだだけで食欲をそそります。この香りもまた、とちおとめの魅力を一層引き立てています。
栽培の特性
とちおとめは、低温に強く、耐病性に優れています。これらの特性が、広範囲な地域での栽培を可能にし、全国的に普及しています。また、とちおとめは収穫量が多く、1本の苗から数十個の実をつけることが可能です。さらに、花芽の形成温度が低く、比較的早期から収穫が可能という特性も持っています。これらの特性から、とちおとめは農家にとって非常に栽培しやすい品種といえます。また、とちおとめは甘いだけでなく、酸味があり、香りも高いことから、生食はもちろん、ジャムやスイーツなど加工用途にも適しています。
出回りの時期・旬
とちおとめの出回りの時期は、主に冬から春にかけてとなります。特に豊富な収穫が見られるのは1月から5月頃で、この時期はスーパーや市場でも「とちおとめ」が目立つ季節となります。一方で、栽培方法によっては通年出回る場合もあります。また、いちごの美味しさは「旬」に大きく影響します。寒さが厳しくなる冬季は、いちごの糖度が上がり、甘さが増すため、「とちおとめ」も最も美味しく食べられる時期といえます。
とちおとめの甘さの秘密
ここからは、とちおとめの甘さの秘密について見ていきましょう。
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※2023年12月~2024年4月のデータとちおとめが甘い理由
とちおとめが甘い理由は、その品種特有の糖度と適度な酸味によるバランスにあります。とちおとめは糖度が高く、一般的に糖度は11〜12度といわれています。また、豊かな香りと共にやわらかな舌触りが特徴的です。これに加えて、適度な酸味がこの甘さを引き立て、満足感を高めています。そのため、とちおとめは単純に甘いだけでなく、深みのある味わいを楽しむことができます。この絶妙な甘さのバランスが、とちおとめの人気を支えている一因といえるでしょう。
甘さを最大限に引き出す食べ方
とちおとめの甘さを最大限に引き出す食べ方は、冷蔵庫で適度に冷やすことがポイントです。10℃前後に保つと、果肉が適度に固まり、糖度が高まります。しかし、冷やしすぎは避けましょう。0℃近くになると、いちごの味が鈍くなる可能性があります。
また、摘果後すぐに食べるのではなく、一晩寝かせることでも甘さが増します。これは、糖分がより均一に行き渡るからです。さらに、いちごはそのまま食べるのも良いですが、ヨーグルトやアイスクリームと合わせて食べると、甘さが引き立ちます。特に、自然な甘みの強い「とちおとめ」は、甘さ控えめのデザートと相性バツグンです。
とちおとめと他の品種の比較
ここからは、とちおとめと他の品種を比較しながら、それぞれの特徴について紹介します。
やよいひめとの比較
「とちおとめ」と「やよいひめ」の違いを比較してみましょう。まず形状ですが、「やよいひめ」は「とちおとめ」よりもやや小ぶりで、先端が尖っています。
色合いについては、「やよいひめ」の方が深紅色で、「とちおとめ」はやや浅い赤色です。味わいでは、二つの品種で大きな違いが見られます。「とちおとめ」は甘味と酸味のバランスが良く、まろやかな甘さが特徴です。対して「やよいひめ」は、酸味が強めで爽やかな味わいが魅力です。
また、栽培の易しさについては、「やよいひめ」は「とちおとめ」よりも少し難易度が高いとされています。これは、「やよいひめ」が病気に弱く、管理が必要だからです。
とちあいかとの比較
「とちおとめ」と「とちあいか」を比較すると、色々な違いが見えてきます。まず、形状と大きさに関しては、とちおとめは大粒で扁平な形状をしていますが、とちあいかはやや小粒で丸みを帯びた形状です。また、とちあいかの方が色が深紅で、見た目にも華やかさがあります。
味についても違いがあります。とちおとめは甘さの中に酸味も感じられ、バランスの取れた味わいが特徴です。一方、とちあいかは甘みが強く、後味に残るさわやかな酸味も感じられます。
また、栽培の特性にも違いがあります。とちおとめは寒さに強い一方で、とちあいかは暖かい環境を好みます。栽培場所や時期によって適した品種を選ぶことが大切です。
あまりんとの比較
「とちおとめ」と「あまりん」の違いは、大きさ、味、そして色調が挙げられます。まず、大きさですが、あまりんの方がとちおとめに比べて大粒で存在感があります。一方、とちおとめはやや小振りですが、その分、食べやすさが特徴となっています。
味について言えば、あまりんは甘味と酸味のバランスが良く、フルーツ感覚で楽しめます。対して、とちおとめは甘味が強く、その甘さがお口の中でじわじわと広がっていくのが特徴です。
色調はどちらも美しい赤色ですが、あまりんは深みのある赤色をしており、一方のとちおとめは明るい鮮やかな赤色が特徴です。
あまおうとの比較
「とちおとめ」と「あまおう」は、それぞれ日本を代表するいちごの品種として知られています。とちおとめは形が長く、あまおうは丸みを帯びた形が特徴です。また、味の特徴にも違いがあります。
とちおとめは、甘さと酸味のバランスが良く、鮮やかな香りが特徴です。一方、あまおうはより甘さを強く感じることができ、まるで果実そのものを食べているような満足感が得られます。
そのため、どちらが良いと一概にはいえません。個々の好みや、その日の気分によって、とちおとめとあまおうのどちらを選ぶかは変わるかもしれません。
とちおとめを家庭菜園で育てる方法
ここからは、とちおとめを家庭菜園で育てる方法について紹介します。
適した場所、土、水やり
とちおとめの栽培には、適した場所選び、土づくり、水やりが不可欠です。
まず適した場所とは、日当たりが良く、風通しが良い場所です。これはいちごが充分な光合成を行い、果実に甘みをつけるために必要です。また、風通しの良さは病害虫の発生を防ぐためにも重要となります。
次に土づくりですが、排水性がよく、やや酸性の土を好みます。具体的には、赤玉土などの腐葉土とバーミキュライトを混ぜたものがよく、pHは5.5〜6.5程度が理想です。
最後に水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるようにします。ただし、水は株元を避けて与えることで根腐れを防ぎましょう。
これらのポイントをおさえて、美味しい「とちおとめ」を育ててみてください。
病害虫対策
とちおとめの栽培においては病害虫対策も重要なポイントです。特に注意したいのは、いちごの主な病害虫である「ハダニ」、「アオカビ病」、「モミジガフキノコ」です。
第一に、ダニ類の対策としては、早めの発見が最重要です。ダニが見つかった場合は市販のダニ駆除剤を使用しましょう。また、定期的に葉の裏側を確認し、ダニが発生していないかチェックすることが大切です。
次に、アオカビ病やモミジガフキノコについては、湿度を適正に保つことで予防できます。特に梅雨時期は注意が必要です。感染したら、すぐに感染部分を除去し、病気が広がらないようにしましょう。
収穫の時期と方法
とちおとめの収穫の時期は植え付けから約5~6ヶ月後となり、具体的には11月中旬から翌年の5月までとなります。早春の収穫は特に甘みが強く、美味しくいただけます。
収穫方法は、一番大きな実から手早く収穫し、その後次々と実を取っていきます。特に、赤く熟したものから順に収穫することで、より美味しい状態で食べることができます。また、収穫は朝晩の涼しい時間帯を選ぶと、熟した実が傷まずに長持ちします。
収穫する際は、ヘタを残して一つずつ手で摘むようにします。無理に引っ張ると茎から抜けてしまうので注意が必要です。以上のように、収穫の時期と方法を適切に行うことで、とちおとめを最も美味しく楽しむことができます。
まとめ
とちおとめは、その美味しさと栽培の易しさから広く愛されているいちごの品種です。特にその甘さは他の品種と比較しても際立っており、その理由は独特な甘み成分によるものです。また、家庭での栽培が可能な点も特筆すべき特徴で、正しい育て方を覚えれば誰でもその美味しさを手軽に楽しむことができます。
他の品種との比較では、やよいひめは早生種であり、あまりんやあまおうは甘さだけでなく独特の香りも特徴としています。また、とちあいかとの比較では、とちおとめの方が一貫して甘さが感じられる点が挙げられます。
いずれの品種もそれぞれに特徴がありますが、とちおとめはそのバランスの良さと、手軽さから広く栽培されています。これからもその評価は高まることでしょう◎
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