赤紫蘇とは?
赤紫蘇は大葉(シソ)の一種で、葉が赤紫色のタイプのものを指します。一般的には葉が縮れている縮緬タイプがよく売られていますが、葉の縮れが少ない平葉タイプもあります。
赤紫蘇は大葉(シソ)に比べてえぐみが強いため、生のままで食べられることはあまりありません。しかし、梅干しやしば漬けに入れて赤い色を楽しむほか、乾燥させて「ゆかり」にしたり、シロップに漬けてしそジュースにしたりと幅広い用途で使われています。
赤紫蘇はなぜ赤い?
赤紫蘇の赤の正体はアントシアニン!
赤紫蘇の赤はアントシアニンによるものです。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリーやナス、紫イモなどの野菜や果実にも含まれている天然の色素です。
人間が食べると目の疲れを取ったり、目の働きを向上させたりする効果があると言われていますが、植物がアントシアニンを含んでいることにはどのような意味があるのでしょうか。
アントシアニンの役割
赤紫蘇は、アントシアニンを葉に含むことによって太陽光から自分の身を守っています。植物が光合成をするためには太陽光が必要ですが、逆に強すぎる光を浴びると光合成ができなくなってしまうのです。
人間に例えるとわかりやすいでしょう。夏に海やプールに行った際、あまりに長い時間強い太陽光を浴びると火傷になってしまいます。同様に、植物も強すぎる光を浴びると葉緑体の中で活性酸素が発生し、光合成機能が壊れやすくなります。そこで、太陽の光をアントシアニンが途中で吸収することで葉緑体にあたる光の量を調節し、葉の健康を保っているのです。
赤紫蘇でも、生えている場所によっては大葉と同じように緑色をしていることがあります。これは、太陽光が強くない場所ではアントシアニンによって葉緑体を太陽光から保護する必要がないため、アントシアニンが発達せず、葉緑体の緑色が見えているのだと考えられます。
おまけ:アントシアニンとは?
アントシアニンは植物の液胞に含まれており、赤~紫~青色を呈する色素です。アントシアニジンと呼ばれる構造体に糖鎖や有機酸が結合することで数10種類の異なる色調が生まれますが、それらを総合してアントシアニンと呼んでいます。
<アントシアニジンの基本構造>
アントシアニンの色は、(1)アントシアニジンに結合する糖や有機酸の種類や数、(2)植物細胞内の液胞のpH、(3)金属錯体の形成、(4)液胞内に同時に存在する他の色素との反応、(5)アントシアニン分子同士の反応、などの要因によって決まっています。
おわりに
今回は、赤紫蘇の葉っぱが赤い理由についてご紹介しました。美味しいシソを育てたい!シソ栽培で知っておくべき3つの病気ではシソに発生する病気の種類と対策についてご紹介していますので、合わせてお読みください。