高砂とは?
高砂は、現在主流となっている「佐藤錦」や「紅秀峰」よりはるか昔から存在している品種で、「日本で最古のさくらんぼ」といわれています。
そんな高砂の味わいには、一体どんな特徴があるのか気になりますよね。ここでは、高砂の味わいや旬の時期、栽培の歴史について紹介します。高砂の特徴や歴史について知ることで、日本のさくらんぼの魅力をより一層深く理解することができますよ◎
味や食感
高砂の味わいは、甘みの中に適度な酸味も感じられ、非常に爽やかです。甘さを重視して品種改良された佐藤錦や紅秀峰とは違い、高砂にはさくらんぼ本来の甘酸っぱさがあります。果実は5~7g程度と比較的小粒で、柔らかくとろけるような食感の果肉にはたっぷりと果汁が含まれています◎
高砂はさくらんぼの加工商品に使用されていることも多く、一般に流通している高砂の中にも「加工用」と称して販売されているものもあります。生でそのまま食べてももちろん美味しいですが、自然な酸味と爽やかな風味は幅広い料理に活用できます。
旬の時期
高砂の旬は、6月初旬から中旬にかけて。高砂はさくらんぼの中でも早生種にあたり、他の品種に比べ少し早めに出回りはじめます。
主な産地は山梨県や山形県で、山形県では6月に入ったあたりから主に露地ものが出荷されていきます。山梨県では、高砂のハウス栽培も盛んに行われており、早ければ5月中旬あたりからハウスものが出回ることもあります。
栽培の歴史
高砂は元々アメリカで育成された品種で、「ロックポート・ビガロー」と呼ばれていました。日本に導入されたのは1872年(明治5年)で、明治後期にロックポート・ビガロー改め「高砂」と名付けられました。
高砂は小粒で種が大きいという特徴から、生食用ではなく受粉樹として広まりました。現在も「佐藤錦」や「ナポレオン」をはじめ、様々な品種の受粉に役立てられています。また交配種の代表格である「香夏錦」の親でもあり、香夏錦と佐藤錦のかけ合わせによって生まれた「紅秀峰」は次世代の人気品種となっています。
後に高砂自身の食味の良さが見直され、生食用としても流通するようになった一方、加工品の材料やガーデニング用としても広く活用されています。
高砂はガーデニングにもおすすめ
高砂は食用としてだけでなく、ガーデニングの彩りとして観賞を楽しむのもおすすめの品種です。高砂の果実はさくらんぼ中でも小粒で、可愛らしいハート型をしています。また高砂は暑さや寒さに強く丈夫なため、東北から九州までの広い地域で栽培が可能です◎
高砂は受粉さえ成功すれば着果しやすい品種なので、相性の良い佐藤錦や紅秀峰と一緒に植えておくと、大量収穫も目指せますよ。収穫した実はもちろん食べることができるので、実りを目で楽しんだ後は、ぜひ採れたての味を存分に楽しんでください!
高砂の自宅での栽培方法については、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください♪
高砂の美味しい食べ方とは?
自宅で育てたり購入したり、旬の高砂をたくさん手に入れた際は、ぜひ色んな食べ方を試してみてください◎
高砂は実が柔らかくあまり日持ちしないため、できるだけ早めに食べきる必要があります。新鮮なうちに高砂の魅力を堪能するためにも、大量消費に役立つアレンジレシピを積極的に活用しましょう!
2024年さくらんぼ人気ランキング
※2024年4~6月のデータまずは生でそのまま食べてみて
幅広い料理に活用できる高砂ですが、やっぱりまずは生でそのまま食べてみてください◎特に自宅で育てた高砂は、自然なまま頬張ることで実りの喜びをより一層実感することができますよ。
全体的にムラなく紅色に染まり、ふっくらとハリがあるものが食べ頃です。スーパーなどの店頭で購入する際も、果皮の色付きやハリツヤに注目して選ぶと、新鮮で美味しい高砂をゲットできますよ!また食べる前に冷蔵庫や氷水で1~2時間程冷やすと実が引き締まり、より美味しくなります。
正しく保存して美味しさをキープ
高砂を保存する際は、温度変化に注意しましょう。さくらんぼはデリケートで温度変化に弱く、収穫後は短い間しか新鮮さを保つことができません。中でも高砂は果肉が柔らかく日持ちし辛いため、できれば2~3日以内には食べきるようにしてくださいね◎
常温状態で購入した高砂は、風通しの良い涼しい場所で常温保存し、クール便など冷蔵状態で購入した高砂は、野菜室で冷蔵保存します。どちらの場合も、保存容器にペーパータオルを敷いたものに移し替え、果実同士がぶつからないよう工夫しましょう。
さくらんぼの保存方法については、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください!
加工して食べても美味しい
高砂が手元にたくさんあるときは、アレンジレシピを活用して大量消費しましょう!高砂は甘酸っぱく爽やかな味わいをしているので、様々な食材と相性が良く、幅広いアレンジレシピに活用できます◎
高砂の柔らかな果肉は加工しやすく、定番のジャムにすると滑らかな仕上がりになります。さくらんぼジャムを作る際、レモン果汁を加える人も多いかと思いますが、高砂には適度な酸味が含まれているので、レモン果汁なしでも美味しくできますよ。
また高砂とレタス、ルッコラ、カッテージチーズをビネガードレッシングで和えたサラダも、さっぱりとした味わいが楽しめておすすめです。野菜やドレッシングはお好みのものを使用してOKです!
さくらんぼのアレンジレシピは、意外と種類豊富でおかず系からお菓子系まで様々。さくらんぼ本来の甘酸っぱさと柔らかな果肉を持つ高砂は、これらのレシピにピッタリですよ!
まとめ
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!