紅てまりとは?
紅てまりは、さくらんぼの一大産地である山形県で誕生した品種で、同じ山形県生まれの人気品種「佐藤錦」を親に持ちます。遺伝子を受け継いでいるため見た目がよく似ており、一見この2つの区別がつかない人も多いはず。
そんな紅てまりの味わいには、一体どんな特徴があるのか気になりますよね。ここでは、高砂の味わいや旬の時期、栽培の歴史について紹介します。紅てまりとはどんなさくらんぼなのか知ることで、佐藤錦との違いや紅てまりならではの魅力もより深く理解できますよ◎
味や食感
紅てまりの味わいは、強い甘みの中に程よい酸味も感じられ、非常に濃厚です。果肉は硬く引き締まっており、シャキシャキとした歯ごたえを存分に楽しめます。果汁も豊富で、頬張ると口いっぱいに甘いジュースが弾けますよ◎
紅てまりはそのまま食べても美味しく食べ応えバツグンですが、大粒な実がそのまま残るシロップ漬けや、軸を取ってタルトに使っても見映えします。ごろっとした紅てまりならではの食感や濃厚な味わいは、様々な調理法に活用できますよ。
旬の時期
紅てまりの旬は、7月上旬から下旬にかけて。佐藤錦や紅秀峰など他の人気品種に比べ成熟が遅く、さくらんぼの中では晩生種にあたります。紅てまりはさくらんぼの時期の最後に登場し、さらに日持ちも良いためお中元の贈り物としてもピッタリ◎
真夏に旬のさくらんぼを味わえるのは、さくらんぼ好きな人にとってありがたいことですよね。収穫の時期が近づくと、JA公式通販サイトや各農家のホームページに販売予定が掲載されることも多いので、逃さずゲットしたい人はこまめにチェックしましょう!
栽培の歴史
紅てまりの栽培は、1980年(昭和55年)山形県寒河江市にある園芸試験場で「佐藤錦」と「ビック」の交配から開始されました。枝に紅色の花が手まり状につく様子から、2000年(平成12年)に「紅てまり」という名前で品種登録されました。
当時すでに主力品種として活躍していた佐藤錦は、糖度が高く実も柔らかいため劣化しやすく、収穫適期に採りきれないという問題を抱えていました。そんな中デビューした晩生種の紅てまりは、糖度が高いものの実が硬く丈夫で、さらに収穫時期も佐藤錦より1カ月近く先であることからリレー形式での収穫が可能となりました。
こうしたメリットから、山形県のさくらんぼ農家の多くが一部の佐藤錦を紅てまりに切り替え、栽培が広まっていきました。
紅てまりと佐藤錦の違いとは?
紅てまりは、親である佐藤錦と見た目がよく似ており、比較されることもしばしば。では実際、味わいや食感など具体的にどれくらい違うのか気になりますよね。ここでは、紅てまりと佐藤錦の違いについて見てみましょう!
特徴 | 紅てまり | 佐藤錦 |
---|---|---|
味 | 甘みと酸味のバランスが良く濃厚 | 甘みが強く酸味は少なめで上品 |
糖度 | 18~20度 | 20度前後 |
食感 | 硬め | 柔らかめ |
大きさ | 10g(2Lサイズ) | 8g(Lサイズ) |
日持ち | 数日~1週間程度 | 2~3日程度 |
紅てまりは、甘みと酸味のバランスが取れた濃厚な味わいなのに対し、佐藤錦は酸味をほとんど感じない上品な味わいをしています。また果皮の色づきはどちらも鮮やかな紅色ですが、紅てまりの方がやや濃く、粒も一回り大きめとなっています。
さらに紅てまりは佐藤錦に比べ日持ちが良く、上手に保存すれば最大で1週間程度美味しさをキープできます◎食味はバツグンに良いものの、日持ちの良さで劣る佐藤錦は、保存状態に細心の注意を払う必要があり、できるだけ早く食べきることが大切になります。贈り物として選ぶなら、日持ちに余裕のある紅てまりの方がより適しているかもしれませんね。
2024年さくらんぼ人気ランキング
※2024年4~6月のデータ紅てまりのおすすめの食べ方
旬の紅てまりをゲットした際は、最後まで美味しく食べきりたいですよね◎
ここでは、紅てまりを生で美味しく食べるコツや上手な保存方法、おすすめのアレンジレシピについて紹介します。紅てまりの美味しさを最大限味わうには、どんなポイントをおさえれば良いのか詳しく見ていきましょう!
まずは生でそのまま食べてみて
新鮮な紅てまりは、生でそのまま食べるのがおすすめです!店頭で紅てまりを購入する際は、果皮の色づきにムラがなくハリツヤがあり、軸が緑色のものを選びましょう。果皮にしわがあったり、軸が茶色っぽくなっているものは収穫から時間が経っている可能性が高いため避けましょう。
紅てまりは糖度が高く、冷やしすぎると甘みが落ちやすい性質を持っています。そのため冷やしすぎに注意し、食べる1~2時間前を目安に冷蔵庫や氷水で冷やしておきます。適度に冷やされた紅てまりは実が引き締まり、より美味しくなりますよ◎
正しく保存して美味しさをキープ
紅てまりを保存する際は、温度変化に注意しましょう。さくらんぼはデリケートで温度変化に弱く、収穫後は短い間しか鮮度を保つことができません。紅てまりは比較的日持ちする品種ですが、できれば2~3日以内の新鮮なうちに食べきるのがおすすめです。
常温状態で購入した紅てまりは、風通しの良い涼しい場所で常温保存し、クール便など冷蔵状態で購入した紅てまりは、野菜室で冷蔵保存します。どちらの場合も、保存容器にペーパータオルを敷いたものに移し替え、果実同士がぶつからないよう工夫しましょう。
また紅てまりは暑い時期に出回る品種なので、冷凍保存してシャーベット感覚で味わうのもおすすめ◎冷凍する際は、軸を取り除いてからキレイに洗い、水気を良く拭き取ります。あとは保存袋や冷凍可能な容器に入れ、冷凍庫で保管しましょう。冷凍した紅てまりは、1カ月以内を目安に食べきってくださいね。
さくらんぼの保存方法については、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください♪
食べきれないときはアレンジレシピを活用
紅てまりが手元にたくさんあるときは、アレンジレシピを活用して大量消費しましょう!紅てまりは大粒で味わいが濃厚なため、お菓子作りの材料に最適です◎
紅てまりの味や食感を生かすなら、ケーキやタルトに使ったり、シロップ漬けにするのがおすすめです。シロップ漬けは一度作っておくと、そのまま食べたりソーダで割ってドリンクにしたりと色んな楽しみ方ができますよ。シロップ漬けの日持ちは、冷蔵保存で2週間程度が目安となります。
また定番のジャムやコンポートにしても、紅てまりの濃厚な味わいを存分に生かせます!実を潰しすぎず、あえて形を残すことで果肉のごろっとした食感も楽しめます。ヨーグルトやアイスクリームと相性バツグンですし、瓶詰めにして冷蔵庫で保管すれば1カ月ほど日持ちしますよ。
さくらんぼを食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!