妊娠初期から産後まで、いちごを食べるタイミング
まずは、妊娠中にいちごを食べるタイミングやメリットについて紹介します。
妊娠初期:栄酸含有で胎児の健康に寄与
妊娠初期の胎児の成長に重要な栄養素として知られる葉酸。この葉酸がいちごには豊富に含まれています。100gあたり90μgの葉酸を含んでいるため、いちごは妊婦さんにとって最適なフルーツといえます。
葉酸は赤血球の生成を助けるほかDNAやRNAの合成に必要で、特に妊娠初期の胎児の神経管形成に重要な役割を果たします。そのため、妊娠初期には特に葉酸を積極的に摂取することが推奨されています。
妊娠中期・後期:ビタミンCで鉄の吸収アップと免疫力強化
妊娠中期からは鉄の需要がより高まります。鉄は赤血球の生成に必要な栄養素です。赤血球が正常に作られず運ぶ酸素が胎児の細胞に十分届かないと、胎児の成長や脳の発達に影響が出る可能性があります。鉄の吸収を高めるためには、ビタミンCの十分な補給も必要であるため、ビタミンCを豊富に含むいちごの摂取は有効であるといえるでしょう。
間近に迫る出産に備えたい妊娠後期は、母体の免疫力を維持することも重要です。いちごに豊富なビタミンCは、免疫細胞の活性化に役立つため、積極的に摂取してみてください。
妊娠中の1日あたりのビタミンCの摂取推奨量と、いちご1粒あたりのビタミンC含有量は以下の通りです。
- 妊娠中のビタミンCの推奨摂取量:110mg
- いちご1粒(10g程度)あたりのビタミンCの含有量:6.2mg
いちごを18粒程度食べることで、妊娠中のビタミンCの摂取推奨量を満たすことが可能です。妊娠中のいちごの摂取目安量については、この後詳しく説明します。
授乳期:抗酸化作用で母体の健康維持
授乳期の健康維持には、抗酸化作用のある成分の摂取もおすすめです。いちごに豊富なビタミンCは、抗酸化作用を持つ「抗酸化ビタミン」。体の細胞を酸化ストレスから守り、免疫機能を高める効果も期待できます。
授乳期は母体だけでなく、赤ちゃんの健康にも直結する期間です。バランスよく栄養を摂取することで、母子の健康維持に役立つでしょう。
妊婦が1日に食べることが推奨されるいちごの適量
妊娠中の女性が1日に摂取することが推奨される果物の適量は、200〜300gです。この量は、いちごの粒の大きさにもよりますが約20〜30粒に相当します。かなり多くのいちごを食べられる計算になりますが、一度に食べるのではなく数回に分けて食べることがおすすめです。
いちごはビタミンCや葉酸を豊富に含んでいる一方で糖質も多く含んでいるため、一度にたくさん食べると急激な血糖値の上昇を招く可能性があります。急激な血糖値の上昇は体重増加や血糖コントロールの悪化を招き、母体と赤ちゃんの成長に悪影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。
また1日に何種類かの果物を食べる場合、いちごの摂取量は適宜調整しましょう。
妊娠初期のつわり期におすすめのいちごの摂り方
妊娠初期はつわりに悩む妊婦さんも多いですが、そんな時期におすすめなのが「いちごスムージー」です。食物の摂取が難しいつわり期には、飲み物として摂取することで、栄養補給がしやすくなります。
いちごはビタミンCや葉酸が豊富に含まれており、これらは胎児の発育をサポートするうえで重要な栄養素です。また、いちご自体に含まれる水分と、スムージーに追加するヨーグルトや牛乳の水分が、つわりで起こる脱水症状の予防にも役立ちます。
さらに、いちごスムージーは吸収が良く、胃腸に負担をかけずに栄養補給ができるため、つわりで食事がしにくい妊婦さんにとって有効な方法といえます。
いちごを食べ過ぎるとどうなる?
いちごの過剰摂取は、血糖値の上昇や下痢などの胃腸の不調を引き起こす恐れがあります。
血糖値の急上昇は、妊娠糖尿病のリスクを高めるほか体重増加の原因となります。胃腸の不調は栄養不足の原因になり、赤ちゃんの成長に支障をきたす可能性も否定できません。
つわりがある時は食べ方にムラが出てしまうことは仕方のないことですが、おさまった際は栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。
いちごを食べる際の注意点
胃腸の不調や血糖値の急上昇、体重増加をきたさないためには食べ過ぎに注意することが重要ですが、妊娠中にいちごを食べる際はよく洗うことも忘れないようにしましょう。生で食べる果物に、万が一有害な菌が付着していた場合、体調を損ねるだけではなく赤ちゃんにも悪影響を及ぼします。
また残留農薬を洗い流すという意味でも、よく洗うことが大切です。
いちご以外に妊娠中におすすめのフルーツ
ここからは、いちご以外に妊娠中におすすめのフルーツを紹介します。
りんご:食物繊維が豊富
りんごは身近な果物の一つで、入手しやすいため妊娠中の女性の栄養補給にもぴったりのフルーツです。葉酸含有量は少なめですが、食物繊維が豊富であり、便秘に悩む妊婦さんにとって、便秘解消の強い味方となります。
またりんごにはカリウムも豊富。むくみや血圧の上昇に悩む妊婦さんには、余分な塩分を排出する助けとなります。
なお、りんごの栄養素を最大限に摂取するためには皮ごと食べることが推奨されますが、農薬の影響を避けるために、無農薬のものを選びよく洗ってから食べるようにしましょう。
バナナ: ビタミンB6が豊富でつわり対策に効果的
妊娠中にはつわりにより食事がしにくい時期がありますが、その際におすすめなのがバナナです。バナナは一般的に消化が良く栄養価も高いため、効率よい栄養補給が可能です。
また、バナナに多く含まれるビタミンB6は、つわりの主な症状である吐き気や嘔吐を和らげる効果があるといわれています。さらに、ビタミンB6は体内で必要なエネルギーを作り出す役割も持つため、体力回復にも寄与します。
バナナ100g(約1本分)あたりに含まれるビタミンB6は0.38mgであり、妊娠中の1日の推奨摂取量である1.3mgの約30%程度を摂取できます。
つわりの時期でも食べやすいバナナを上手に取り入れて、バランスの良い食生活を心がけましょう。
まとめ
妊娠初期から産後まで、いちごは胎児の健康に寄与し、母体の健康維持に役立つフルーツです。適量を守って十分に楽しみましょう。また、つわり期にはいちごスムージーやいちごヨーグルトがおすすめです。食べ過ぎに注意しながら、栄養豊富ないちごを食事に取り入れてください。
さらに、いちご以外にもリンゴやバナナなど他のフルーツも積極的に摂取すると良いでしょう。特にリンゴは栄養バランスが良く、便秘解消やむくみ解消、抗酸化作用など妊婦にとって有益な効果が期待できます。
以上のことを念頭に、健康的でバランスの良い食事を心掛けながら、妊娠・出産へと向かってください。
<参考文献>
JAふくおか八女のいちごは華がある!
福岡県南部に位置し、東部は大分県・南部は熊本県と隣接する名産地・JAふくおか八女。
標高1,200mを超える釈迦岳・御前岳を源とする矢部川が流れ、豊かな自然に恵まれています。豊かな自然環境に、水や日照のコントロールなど生産者の栽培技術が重なり合い、海外でも高い評価を受けるような農産物の産地です。いちごの「あまおう」や八女茶など全国的に知名度の高いブランド農産物でも知られています。
「あまおう」は「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」の頭文字をとって名付けられた、いちごのトップブランド。
JAふくおか八女では年間約5,000トンのあまおうを生産しています。大粒で表面につやがあり見栄えが良く、また水や日照のコントロールに細心の注意を払い濃厚で甘い味に定評があります。
部会全員が一丸となって、高品質ないちごを生産する一大産地のJAふくおか八女のあまおうを、ぜひ贈答用に、またちょっとしたご褒美としてご自宅用に、産地直送でお召し上がりください。