梨とは?梨の魅力
梨とは、バラ科ナシ属の果物です。「洋梨」「和梨」「中国梨」の3種類があります。
洋梨は果肉が柔らかく、とろけるような甘さが特徴です。和梨は、シャキッとみずみずしく、さっぱりとした甘さが楽しめます。中国梨は、一見洋梨のような見た目をしていますが、味わいは和梨によく似ています。
一般的に梨と言われて思い浮かぶのは、国内での流通量も多い和梨ではないでしょうか。8月から10月頃にかけて旬を迎える和梨は、豊富な果汁と食感、爽やかな甘さが魅力です。リンゴ酸や果糖、クエン酸が豊富に含まれており、疲労回復効果も期待できるでしょう。
梨の主な産地は?
日本における梨の主な産地は、千葉県、茨城県、栃木県、福島県、長野県です。この5県で、国内における梨の総生産量の約4割を占めています。
全国的に栽培されている梨ですが、主産地は関東圏です。梨の栽培には、火山灰土壌や砂地、そして風害の影響を受けにくい盆地などが適しているといわれています。
千葉県の肥沃な火山灰土壌、茨城県の豊かな水、長野県の盆地の地形など、各産地にはそれぞれ、梨の栽培に適した条件が揃っているのです。
日本の梨栽培の歴史
弥生時代に中国から日本に伝わったといわれている梨。奈良時代に書かれた日本書紀には、梨の栽培を勧める記述もあります。その後、栽培が本格化したのは江戸時代だそうです。
江戸時代には、既に百種類以上の梨が栽培されていたといわれています。ちなみに、梨の名産地、千葉県や茨城県でも、江戸時代から梨の栽培が始められていたそうです。
先人たちのさまざまな努力と工夫で、梨の栽培技術は発達しました。今、美味しい梨が食べられるのは、江戸時代からの知恵の結晶かもしれませんね。
梨の代表品種と旬の時期
ひとくちに梨といっても、さまざまな品種があります。ここからは、梨の代表的な品種と、旬の時期をご紹介します。
幸水
幸水とは「菊水」と「早生幸蔵」の交配によって誕生した赤梨です。
日本梨の中でトップクラスの生産量を誇り、現在も日本を代表する梨となっています。果汁が非常に多く、ジューシーで、シャキシャキとした心地よい歯ごたえが魅力です。甘みが強く、酸味は控えめで、梨らしい爽やかな香りも楽しめます。
千葉県、茨城県、栃木県、福島県、長野県、新潟県など、関東甲信地方が主な産地で、旬の時期は7月下旬から9月中旬にかけてとなっています。
豊水
豊水とは「幸水」と「イ-33(石井早生×二十世紀)」を交配によって誕生した赤梨で、「果汁が豊かでみずみずしい梨になってほしい」という願いから豊水と名付けられました。
甘みと酸味のバランスが良く、爽やかで芳醇な味わいが魅力です。果肉は柔らかく滑らかで、みずみずしい食感です。幸水と比べると、ややさっぱりとした後味で適度な酸味が感じられます。
千葉県が生産量全国1位、次いで福島県、茨城県など、全国的に広く栽培されています。旬の時期は、8月下旬から10月初旬頃までとなっています。
新高(にいたか)
新高とは赤梨の一種で、「幸水」「豊水」の次に生産量の多い品種です。
梨の中ではひと際大きく、小さいものでも一玉800gほどにもなるそう。一般的な梨が一玉300gほどなので、新高はインパクトのある大きさだということがわかります。
また、新高の特徴は大きいだけではありません。糖度は12度以上と高めで、酸味が少なく果汁が豊富。ジューシーさが楽しめます。
主な産地は熊本県、千葉県、新潟県などです。旬の時期は9月下旬から10月中旬頃となっています。
二十世紀梨
二十世紀梨は青梨の一種で、主に鳥取県で栽培されています。
明治21年に、千葉県松戸市で発見された二十世紀梨。なんとゴミ置き場の周りに木が生えていたそうです。柔らかくみずみずしい果肉は、当時の梨にはない特徴でした。このことからも、「二十世紀になったら梨の王様になるはずだ」と期待されて「二十世紀梨」と名づけられたといわれています。
鳥取での旬の時期は、8月下旬から9下旬頃です。
あきづき
あきづきとは「新高」と「豊水」、「幸水」をかけ合わせて誕生しました。果肉は、幸水らしいシャキッとした食感もありつつ、豊水由来の柔らかさも楽しめます。新高の特徴でもある強い甘さも堪能できる品種です。
秋に収穫され、月のように丸くて大きな見た目から「あきづき」と名づけられたそう。主な産地は千葉県や茨城県。旬の時期は9月中旬頃です。
かおり
かおりとは神奈川県で「新興」と「幸水」をかけ合わせ、誕生した青梨です。大きいものだと1玉あたり1kgを超えることもあり、大玉で溢れんばかりの果汁が楽しめます。
かおりの特徴は、なんといっても梨特有の芳醇な香りです。切った瞬間に、ふわっと甘い香りが漂います。果肉は程よい甘さとほんのりとした酸味があり、とても上品な味わいです。
品種登録されておらず生産量も少ないため、希少な品種でもあります。主に千葉県で栽培されており、旬の時期は9月上旬から中旬ごろです。
美味しい梨の特徴は?見分け方・選び方のコツ
美味しい梨の見分け方を3つ、ご紹介します。
①大きさと重さ見分ける
1つ目は、大きさと重さで見分ける方法です。
梨は、大玉であればあるほど甘くて美味しいといわれています。また、ずっしりとした重みがあれば、果汁がたっぷりと含まれている可能性も高いそうです。
同じ品種であれば、なるべく大玉で重たいものを選ぶようにしましょう。
②形で見分ける
2つ目は、形で見分ける方法です。
梨は、果実のお尻の部分が最も甘いとされています。下の方が少し膨らんでいて扁平な形をしている梨を選ぶようにしましょう。
③手触りで見分ける
3つ目は、手触りで見分ける方法です。
果皮を触ってみて、ツルツルとしていれば熟している証拠。逆にザラザラとしているものは、まだ熟していない梨です。
購入してすぐに食べるのであれば、表面がツルツルとしているものを選ぶようにしましょう。
まとめ
梨とは、秋に旬を迎えるバラ科ナシ属の果物です。シャキッとした食感とみずみずしい果肉が特徴。爽やかな甘さが味わえます。主な産地は千葉県、茨城県、栃木県など。大半が関東圏で栽培されています。
「幸水」「豊水」「新高」などは人気の高い品種でもあります。毎年9月頃から旬を迎える梨は、毎年さまざまな品種が出回り、甘さや香り、大きさなど、どの品種にもそれぞれの特徴があります。ぜひ食べ比べてみて、お気に入りを見つけてくださいね!