【管理栄養士監修】「HDLコレステロールを効率的に増やす食習慣と玉ネギ料理レシピ」

【管理栄養士監修】「HDLコレステロールを効率的に増やす食習慣と玉ネギ料理レシピ」

はじめに、「HDLコレステロール」とは何なのか、その役割や重要性について解説します。

HDLコレステロールの役割と重要性

HDLとは「High Density Lipoprotein」の頭文字で、高比重リポタンパクという意味です。HDLコレステロールは俗に「善玉コレステロール」と呼ばれ、その働きは体内の過剰なコレステロールを回収し、肝臓に送るというものです。また、血管壁に付着したコレステロールを取り除く役割も持っており、これにより動脈硬化の防止に繋がります。

さらに、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールが引き起こす動脈硬化を抑制する効果もあります。このような特性から、HDLコレステロールは心臓病や脳血管疾患の予防に大いに寄与します。

HDLコレステロールの適正値と健康への影響

HDLコレステロール、通称「善玉コレステロール」は、体内で余分に生成されたコレステロールを肝臓に運び、排出する役割を担っています。そのため、HDLコレステロールの値が適正であることは、健康を維持するうえで極めて重要です。

適正値は一般的に「40mg/dl以上」とされています。この数値が低いと、体内のコレステロールの排出が滞り、血管が詰まりやすくなる可能性があります。反対に高すぎると、体内で生成されるコレステロールが過剰になり、脂質異常症のリスクが高まる可能性があるため、適正値の維持が求められます。

なおまた、慢性腎不全や肝硬変、糖尿病、甲状腺機能異常などの病気があると、HDLコレステロールが低値を示すことがあります。

HDLコレステロールを効率的に増やす生活習慣

ここからは、HDLコレステロールを増やすために意識したい生活習慣について紹介します。

適度な運動

適度な運動はHDLコレステロールを効率的に増やす手段の一つで、特に有酸素運動が推奨されています。具体的な活動としては、ウォーキング、ジョギング、自転車、水泳などが該当します。これらは、心肺機能を向上させ、脂質代謝を活発にし、結果的にHDLコレステロールを増やす効果があります。

しかし、重要なのは継続することです。毎日無理なく続けられるよう、生活に取り入れられる運動を選ぶと良いでしょう。例えば、通勤途中で駅からの距離を歩く、昼休みに周囲を散歩するなどが挙げられます。

ただし、運動初心者や健康状態に不安がある方は、無理なく始めることや医師の指導を受けることも大切です。

禁煙

喫煙はHDLコレステロールに悪影響を及ぼします。一般的に、喫煙者の中にはHDLコレステロールが低下している人が多く見受けられます。タバコの成分であるニコチンは、血管を収縮させ血液の流れを悪くするだけでなく、善玉コレステロールであるHDLを減少させる作用があることが報告されています。

また、タバコはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を酸化させ、動脈硬化を引き起こす可能性があります。これらの理由から、健康な血管を維持し、HDLコレステロールを増やすためには、喫煙を控えることが重要です。

さらに、喫煙は肥満や高血圧といった生活習慣病のリスクも上げます。健康的な生活習慣を保つためには、喫煙を止めることが一つの大きなステップとなります。

標準体重の維持

体重管理はHDLコレステロール値を適正に保つために重要です。肥満は心臓病や糖尿病のリスクを高め、HDLコレステロールの値を低下させるとされています。HDLコレステロールは余分なコレステロールを回収し、血管の健康を守る働きがあります。そのため、標準体重を維持することは、HDLコレステロールの働きを最大限に引き出し、全体的な健康を維持する上で有用です。

体重維持のためには、適度な運動とバランスの良い食事が必要です。特に、大豆タンパクや不飽和脂肪酸を含む食品の摂取が推奨されます。これらの栄養素はコレステロールの吸収を抑え、HDLコレステロールの増加に寄与します。

肥満予防や体重管理については医療専門家と相談するのが最善です。食事バランスや運動量、生活習慣などを見直すことで、HDLコレステロール値の改善を目指しましょう。

脂質の適切な摂取

体内で生成されるコレステロールの他、食事からもコレステロールは摂取されます。しかし、全ての脂質が悪いわけではありません。HDLコレステロールを増やすためには、質の良い脂質の摂取が大切です。

特に良質な脂質として知られるオメガ-3脂肪酸は、魚に豊富に含まれており、定期的な摂取がHDLコレステロール向上に繋がります。さばやさんま、いわしなどの青魚を週に2回程度摂取することを心がけてみてください。

また、トランス脂肪酸はHDLコレステロールを下げる働きがあるため、摂取は控えめにしましょう。トランス脂肪酸の摂取を避けるためには、製品のラベルや情報をチェックすることが大切です。

HDLコレステロールを増やす食事

ここからは、HDLコレステロールを増やすことに役立つ食事の取り方について紹介します。

抗酸化作用のある食品の積極的摂取

HDLコレステロールを増やす食事のひとつとして、抗酸化作用のある食品の積極的摂取が挙げられます。抗酸化物質は体内の余分な活性酸素を除去し、体の細胞を保護する働きがあります。これにより、酸化したLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らしHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やすことが期待できると考えられています。

抗酸化作用のある物質(抗酸化物質)の一例は、以下の通りです。

  • ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE(抗酸化ビタミン)
  • ポリフェノール(カテキン、アントシアニン、イソフラボンなど)
  • カロテノイド(β−カロテン、リコピン、アスタキサンチンなど)

これらを含む食品を日々の食生活に取り入れることで、健康的な体を維持するとともにHDLコレステロールの適正値を保つことが期待できます。

コレステロールの多い食品の摂取は控えめに

HDLコレステロールの値を適切に保つためには、コレステロールの多い食品の摂取は控えめにすることが重要です。

まず、コレステロールが多く含まれている食品としては、動物性食品が主です。例えば、内臓肉や魚の内臓、卵黄などが挙げられます。これらの食品にはコレステロールが豊富に含まれているため、過度な摂取はHDLコレステロールのバランスを崩す恐れがあります。

次に、揚げ物やファーストフード、市販のスナック菓子などに含まれるトランス脂肪酸も、コレステロールの吸収を増やす可能性がありますので、これらの摂取も控えることが推奨されます。

これらの食品を適度に摂ることで、体内のコレステロールバランスを保つことが可能となります。健康的な食生活を心掛け、適切なHDLコレステロールの値を維持しましょう。

食物繊維を豊富に含む食品の積極的摂取

食物繊維にはさまざまな健康効果があります。消化されずに大腸まで届くことで腸内環境を整えたり、コレステロールの吸収を抑えたりする働きがあります。これによりLDL(悪玉)コレステロールを減らし、結果的にHDL(善玉)コレステロールを増やす効果も期待できます。

食物繊維は野菜類やきのこ類、豆類、穀類、海藻類などに豊富に含まれています

特集:玉ねぎ料理でHDLコレステロールを増やす

玉ねぎに含まれる「アリシン」や「メチイン」には、HDL(善玉)コレステロールを増やし、LDL(悪玉)コレステロールを減らす効果があると考えられています。またニラには、抗酸化作用のあるビタミン類や食物繊維も豊富に含まれており、HDLコレステロールを増やすのに効果的といえます。

ここでは、そんな玉ねぎを活用したHDLコレステロールを増やす料理のポイントやおすすめレシピを紹介します。

HDLコレステロールを増やす料理のポイント

HDLコレステロールを増やすための料理では、玉ねぎに加えて大豆たんぱくや不飽和脂肪酸が豊富な食材の使用がポイントとなります。

大豆たんぱく

は、コレステロールの吸収を抑える効果があり、豆腐や納豆などの大豆製品に多く含まれています。また、不飽和脂肪酸はHDLコレステロールを減らさずに、LDLコレステロールのみを下げる効果があり、オリーブ油や青魚などに多く含まれています。

具体的な食材の例を以下の表に示します。

品目 栄養素
豆腐 大豆たんぱく
納豆 大豆たんぱく
オリーブオイル 不飽和脂肪酸
青魚(あじ、サバなど) 不飽和脂肪酸

これらの食材を料理に取り入れることで、HDLコレステロールを増やすことが期待できます。

HDLコレステロールを増やす玉ねぎ料理のおすすめレシピ

意外に好相性の玉ねぎとサバ缶のパスタをご紹介します。オリーブオイルとサバは不飽和脂肪酸を含む代表的な食材。玉ねぎと合わせてコレステロール対策は万全です!

【材料(2人分)】

  • スパゲッティ:200g
  • さば缶(水煮):1/2缶
  • 玉ねぎ:1/2個
  • オリーブオイル:大さじ2
  • にんにく(みじん切り):1片分
  • 唐辛子(輪切り):1本分
  • 塩・こしょう:少々

【作り方】

  1. スパゲッティは表示時間より短めにゆで、ゆで汁は1/2カップ取っておく
  2. 玉ねぎはできるだけ薄くスライスする
  3. フライパンにオリーブオイルを熱してにんにくと唐辛子を炒める
  4. 香りが立ったらサバ缶を加え、ほぐしながら炒める(サバ缶の水分少し加える)
  5. スパゲッティと玉ねぎを加えてさっと炒め合わせ、塩・こしょうで味を調えつつゆで汁を少しずつ加えて、全体にからめる
  6. 器に盛り付けて完成

まとめ:HDLコレステロールを増やすための食習慣を維持しよう

健康を維持するためには、HDLコレステロールを適切な水準に保つことが重要です。これを実現するための生活習慣は以下のようにまとめられます。

  • 適度な運動:有酸素運動のウォーキングは特に効果的です。1日30分から始めてみましょう。
  • 禁煙:喫煙はHDLコレステロールを減少させる原因となります。健康のためにも禁煙を心掛けましょう。
  • 標準体重の維持:肥満はHDLコレステロールの低下と関係しています。適正な体重を保つことが推奨されます。
  • 食事内容の調整:玉ねぎや大豆製品、オリーブ油、青魚などの食材を積極的に取り入れましょう。

HDLコレステロールを増やすことで、健康的な生活を送るための一歩を踏み出しましょう。

玉ねぎを食べてJAはが野の挑戦を応援しよう!

いちご王国の首都、真岡市を含む栃木県の南東部を管轄する農協がJAはが野。
イチゴはもちろん、メロンや梨といったフルーツや、なす、ニラ、トマトなどの野菜の生産も盛ん!豊富に降り注ぐ太陽光ときれいな水、肥沃な大地、そして昼夜の寒暖差の大きな内陸型の気候が農作物を鍛え、おいしく育みます。これらに加え、首都圏に近いことから、新鮮な果物や野菜をいち早く大消費地にお届けできることも特徴です。

そんなJAはが野では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。

気候変動問題が世界中で注目されるようになった中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)

とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAはが野では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。

バイオスティミュラントは、植物に生理学的刺激を与えることで、環境ストレスを受けたために発揮されていない「農作物が本来持っている能力」を、最大限まで改善する資材として期待されている新しい農業用資材です。 農作物の品質や収量の向上や、栄養吸収率を高めることによる化学肥料使用量の低減などの効果をもたらします。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会

特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。

現在、はが野地区では「いちご」「玉ねぎ」「アスパラガス」の3品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!

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鈴木 亜子

鈴木 亜子 Suzuki Ako

管理栄養士

管理栄養士。大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病どさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で療養指導や透析予防、重症化予防などを担当した経験も。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、健康に関わる分野の記事執筆などを行う。

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