はじめに
家庭菜園の土づくりで必ず登場する石灰。まき過ぎてしまったのではないかと不安になったことはありませんか?
本記事では石灰の適切な量とまき過ぎてしまうと起こる問題、対処法を紹介します。石灰の種類やまく目的についての記事はこちらからご覧ください。
苦土石灰とは?自分の畑に必要な石灰は結局はどれ? | 産直プライムブログ | 産直プライム
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石灰の適切な散布量は?
苦土石灰の場合、1㎡あたり100g程度をまくのが一般的です。これは土壌pHを1上げるのに必要な量の目安でもあります。
すでに土壌pHが適切な場合にはまく必要はありません。事前に土壌酸度計を用いて土壌pHをはかっておくと良いでしょう。
正確な散布量はどうはかる?
実際には、石灰の量に対して直線的に土壌pHがあがるわけではありません。土壌にはpHの変動を抑える緩衝能が存在します。また、土壌の種類によって石灰の効果も変動します。
中和石灰量曲線を用いる方法が古典的に使われています。少量の土と石灰を試験管内で混ぜてpHを測定する試験を事前におこなうことで、必要な石灰の量を計算する方法です。
このほかにも、塩基飽和度(CEC)を指標とする方法もあります。
石灰をまきすぎると起こる問題
石灰をまき過ぎてしまった場合、土壌のpHが上がり過ぎてしまいアルカリ性に傾きます。この結果、大きく分けて2つの問題が起こります。
養分を吸収しにくくなる
土壌がアルカリ性になってしまうと、リン酸や鉄といった特定の養分が吸収しにくくなります。これは、一部の栄養の元素がアルカリ性では水に溶けにくくなるためです(下図)。詳細は土壌酸度に関する記事をご覧ください。
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また、海外の乾燥地で起きやすい塩類集積という問題が起こる可能性があります。塩類集積してしまうと、浸透圧の関係で根から養分を吸収できなくなってしまいます。詳しくはこちらの記事からご覧ください。
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病害が発生しやすくなる
アルカリ性に傾くと、一部の病気が発生しやすくなります。代表的なものとして、ジャガイモのそうか病やナスの青枯れ病などがあります。
石灰資材の施用で減る病害
まき過ぎはもちろんよくありませんが、適切な石灰の施用で減る病害もあります。
代表的なものとして、スイカのつるわれ病、トマトの萎凋病、アブラナ科野菜の根こぶ病があります。
石灰をまきすぎた場合の対処法
石灰をまき過ぎてしまった場合には、基本的に何も対処することはできません。雨によって流されたり、植物に吸収されたりして石灰分が抜けるのを待つしかありません。
あまり効果的とも現実的とも言えませんが、いくつかの改善方法を紹介します。
なぜアルカリ性を中和できないの?
化学の授業では、アルカリ性の液体に酸性の液体を加えれば中和し、さらに弱酸性まで戻すことができました。
しかし、実際の畑では、中和して出来た「塩」が土壌の中に溜まってしまいます。この塩が集積することで、別の障害が起こってしまうのです。このため、単純に酸性の資材を入れれば解決とはならないのです。
水で流す
石灰に含まれるカルシウムやマグネシウムが土壌をアルカリ性にしています。大量の水で洗い流すことによって、pHを下げることができます。
しかし、カルシウムやマグネシウムは土壌中の粒子に吸着しており、簡単には流せません。大量の水が必要になるため、現実的ではありません。
他の土と混ぜる
石灰をまいていない他の土と混ぜることで、アルカリ性を緩和する方法です。市販の土を購入して混ぜることもできます。酸性の土として、鹿沼土やピートモスがあります。
しかし、畑の面積に応じて大量の土を持ってくる必要があります。購入する場合にはお金もかかるため、あまり現実的ではありません。
硫酸系の肥料を使う
酸性の液体として硫酸を薄めて使う方法や、硫酸を含む資材である石こうなどをまく方法があります。
しかし、家庭菜園ではまず見られない手法で扱いが難しいため、おこなわない方がよいでしょう。
おわりに
今回は石灰をまき過ぎてしまった場合に起こる問題と対処法について紹介しました。残念ながらまき過ぎてしまった場合に打てる手は基本的にはありません。不安な方は、肥効の弱い有機石灰を使うのも良いかもしれませんね。
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