マスカットに含まれる栄養素と効能
マスカットには糖質やビタミン、ミネラルなど人体に欠かせない栄養素のほか、抗酸化作用のあるポリフェノールなどが含まれています。
ここではマスカットを食べることで摂取できる主な栄養素やその働きについて詳しく見ていきましょう。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)の「ぶどう」をもとに解説します。
体を動かすエネルギー源となる「糖質」
糖質はたんぱく質、脂質とともに私たちが活動するためのエネルギーとなる栄養素です。
糖質が不足すると集中力がなくなったり疲れやすくなったりするなどの悪影響が出てしまいます。
一方摂り過ぎてしまうと脂肪として蓄えられ、肥満や生活習慣病などを引き起こす恐れがあります。
他の果物の糖質量と比較してみると、マスカットの糖質量は意外に多いことが分かりますね。特に糖質の中でも吸収が速く素早くエネルギーとなる「ブドウ糖」が多く含まれています。
状態など | 糖質 | ブドウ糖 | |
---|---|---|---|
ぶどう | 皮なし/生 | 14.4g | 7.3g |
ぶどう | 皮つき/生 | 17.0g | 8.4g |
バナナ | 生 | 21.1g | 2.6g |
りんご | 皮なし/生 | 12.4g | 1.4g |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 9.6g | 3.7g |
うんしゅうみかん | 生 | 9.2g | 1.7g |
いちご | 生 | 6.1g | 1.6g |
抗酸化作用のある「ビタミンE(α−トコフェロール)」
ビタミンEは脂(油)に溶けやすい脂溶性ビタミンの一種です。ビタミンAやビタミンCとともに「抗酸化ビタミン」と呼ばれ、主に体内の脂質の酸化を防止する働きがあります。このことから動脈硬化の予防や血圧の低下、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の減少などの効果が期待できます。
天然に存在するビタミンEにはいくつかの種類がありますが、最も多く存在し効力が高いのが「α−トコフェロール」です。
状態など | α−トコフェロール | |
---|---|---|
ぶどう | 皮なし/生 | 0.1mg |
ぶどう | 皮つき/生 | 0.4mg |
バナナ | 生 | 0.5mg |
りんご | 皮なし/生 | 0.1mg |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 1.3mg |
うんしゅうみかん | 生 | 0.4mg |
いちご | 生 | 0.4mg |
細胞の増殖・造血に欠かせない「葉酸」
ビタミンB群の一種である葉酸は、たんぱく質やDNA・RNAの合成の合成に関与している栄養素です。細胞の分裂・増殖と深く関係するため、体の発育には欠かせません。
特に胎児の正常な発育に不可欠な栄養素で、妊娠を希望する方や胎児の細胞増殖が盛んな妊娠初期の方では積極的な摂取が推奨されています。
葉酸が不足すると動脈硬化を進める要因となったり、未熟な赤血球がつくられることで起こる「巨赤芽球性貧血」を引き起こしたりすることが明らかとなっています。
状態など | 葉酸 | |
---|---|---|
ぶどう | 皮なし/生 | 4mg |
ぶどう | 皮つき/生 | 19mg |
バナナ | 生 | 26μg |
りんご | 皮なし/生 | 2μg |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 37μg |
うんしゅうみかん | 生 | 23μg |
いちご | 生 | 90μg |
葉酸は皮付きのぶどうで含有量が多くなっていることから、皮ごと食べられるシャインマスカットなどで効率よく摂取できそうですね。
塩分(ナトリウム)の摂り過ぎに役立つ「カリウム」
体の調子を整えることに役立つ「ミネラル」の一種がカリウム。カリウムは、同じくミネラルの一つであるナトリウムとともに、体内の浸透圧を正常に保つよう働いています。
また、カリウムは体内に増え過ぎてしまったナトリウムを体の外へ排出してくれる作用があります。ナトリウムは主に食塩として摂取され、摂り過ぎると高血圧の原因となることが知られている栄養素です。そのため高血圧の予防・改善には、ナトリウム制限(食塩制限)に加えカリウムを十分摂取することも重要であると言われています。その他カリウムは神経伝達や筋肉の収縮にも関わっています。
状態など | カリウム | |
---|---|---|
ぶどう | 皮なし/生 | 130mg |
ぶどう | 皮つき/生 | 220mg |
バナナ | 生 | 360mg |
りんご | 皮なし/生 | 120mg |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 300mg |
うんしゅうみかん | 生 | 150mg |
いちご | 生 | 170mg |
ポリフェノールの一種「レスベラトロール」
マスカットの皮や種にはポリフェノールの一種「レスベラトロール」が含まれています。赤や紫の果皮のぶどうには、同じくポリフェノールの一種「アントシアニン」が多く含まれていますが、マスカットなどの色の薄いぶどうに多いのがこのレスベラトロールです。
レスベラトロールを含むポリフェノール類には、抗酸化作用があります。抗酸化作用とは体内で過剰発生すると老化を進める「活性酸素」の働きを抑えたりそのものを除去したりすること。つまりポリフェノールには若々しい体を保つ作用が期待できるということになります。
マスカットは1日何個まで?どこからが食べ過ぎ?
マスカットにはさまざまな栄養成分が含まれています。そんなマスカットを健康づくりに役立てたいと考えてはいるものの、食べる量について悩んでいる方も多いでしょう。
ここでは、マスカットの適切な摂取量と食べ過ぎた場合の影響などについて見ていきましょう。
1日に食べるマスカットの目安
農林水産省が出している「食事バランスガイド」では、果物の1日当たりの摂取目安量として200g(可食部)程度を推奨しており、マスカットは1/2房程度が目安となるでしょう。粒当たりで考えると、皮ごと食べられるシャインマスカットなら1粒8〜10gなので、20粒ほどが適量であるといえます。
とはいえ1房の大きさや1粒の大きさによっても異なると考えられるため、適宜調整しながら食べてくださいね。
食べ過ぎると・・・?!
マスカットに多く含まれている栄養素は糖質です。そのためマスカットを食べ過ぎるとエネルギー(カロリー)オーバーにつながる他、吸収の早いブドウ糖を多く含むことで血糖値が上昇しやすく「インスリン」を多く必要とします。
インスリンは血糖値を下げるホルモンであると同時に、余った糖を脂肪として蓄える働きをします。つまりマスカットの食べ過ぎは肥満につながり、その結果生活習慣病を引き起こす恐れもあるのです。
健康のためには、適量を目安に食べ過ぎないようにすることが大切ですね。
マスカットの健康効果を最大限に活かす食べ方
マスカットの栄養を最大限に取り入れるには、どのような食べ方がより効率的なのでしょうか。
こまめに食べる
マスカットに含まれるポリフェノール「レスベラトロール」は水溶性の成分です。そのため、一度にたくさん摂取しても体内に蓄えておけません。
1日当たりの摂取目安量以内で、数回に分けて食べるのがマスカットのレスベラトロールを効率良く取り入れるコツであるといえるでしょう。
皮ごと食べる
レスベラトロールはマスカットの皮に多く含まれています。そのためレスベラトロールを効率良く取り入れる方法としては、皮ごと食べる方法がおすすめ。シャインマスカットなど皮ごと楽しめる品種では、レスベラトロールが摂取しやすいでしょう。皮ごと食べる場合はよく洗って食べてくださいね。
ただし通常皮を取り除いて食べる品種では、皮ごと食べると渋みや硬さが気になる場合があります。せっかくの美味しいマスカット、無理のない範囲で試してくださいね。
まとめ|マスカットはこんな人におすすめの果物!
マスカットには糖質やビタミンE、葉酸、カリウムなどの栄養素のほか、抗酸化作用のあるポリフェノールも含まれています。皮に多い成分もあり、マスカットの栄養を効率よく取り入れるには皮ごと食べるのも効果的でしょう。
ただし食べ過ぎは禁物です。健康のためには適量摂取を心がけてくださいね。
【参考サイト】