日本一の玉ねぎ産地は?生産量推移
玉ねぎの出荷量は多く、野菜全体の出荷量の中でも第4位です。ちなみに、1位は馬鈴薯、2位はキャベツ、3位は大根です。たまねぎは長期間貯蔵できることと、春まき、秋巻きで栽培できることもあり、年間を通して安定的に出荷されています。
玉ねぎの収穫量第1位は北海道です。北海道は全体の約6割の収穫量を占め、続いて佐賀県、兵庫県、愛知県が名産地となります。玉ねぎは2006年から2021年までの16年間で5.6%減少し、作付面積は8.1%の増加となっています。
美味しい玉ねぎが育つ条件とは?
玉ねぎは中央アジア原産の野菜です。ユリ科ネギ属に分類され、発芽温度は20℃前後、生育適温は15~20℃と涼しい気温を好む野菜です。
条件①生育条件
美味しい玉ねぎが育つ条件は、日当たりの良い場所で弱酸性から中性の土壌です。北海道では年中気温が低いため、2月下旬から3月上旬頃に種をまく春まきが行われています。一般的には9月下旬から10月上旬の秋まきで行われ、早生種、中生、晩生品種により8月中旬から10月上旬頃に種まきが行われています。
条件②土壌
玉ねぎは一般的には土壌を選ばずに栽培できますが、美味しい玉ねぎを栽培するためには土壌の質が大切です。酸性の土壌に弱い玉ねぎの栽培では、pH6.0~6.5を目安に弱酸性~中性の土壌酸度に調整します。
また、水はけが悪いと発育が悪くなります。ほ場が過湿状態になると、外皮に黒色のしみができ、外観が損なわれます。そして、水はけの悪さは病害を発生させてしまうことにもなります。
条件③気候
玉ねぎの発芽適温は20℃前後です。寒さに強く、生育初期には−8℃程度の低温にも耐えることができますが、暑さには弱く25℃以上になると生育がストップします。北海道の気候は平均温度5~10℃で、真夏でも25℃を超える日が少ないため春まきができます。
あの地域がなぜ?玉ねぎの名産地の秘密に迫る!
北海道が日本全体の出荷量の約6割を占めるのか、その謎の一端に迫ります。
【1位】北海道の玉ねぎ栽培の特長
北海道での玉ねぎ栽培は明治4年頃にアメリカから導入した各作物と一緒に栽培がはじまりました。2021年の収穫量は665,800t、作付面積は14,600haです。長年に渡り玉ねぎ生産量第1位の座に君臨し続けています。北海道の中でも盛んに栽培が行われている地域は北見市。1位の北見市の収穫量は239,800tに対し、2位の訓子府町では92,900tと2位以下を大きく離す生産量です。
北見市は降水量が少なく、季節により1日の寒暖差が大きい気候です。北見市では8~翌4月まで玉ねぎを長期出荷しています。北見市ではブランド玉ねぎの真白(ましろ)をはじめ、黄玉ねぎ、さらり、ペコロス、サラたま、赤玉ねぎなどが栽培されています。
【2位】佐賀県の玉ねぎ栽培の特長
出荷量第2位の佐賀県で玉ねぎの栽培がはじまったのは昭和30年後半の頃です。米の裏作で玉ねぎ栽培が行われています。代表的な産地は白石平野や唐津地区。白石平野は中世より現代まで干拓事業で造成された土地となり、ミネラル分が豊かな粘質土壌が広がります。年平均気温16.1℃と、玉ねぎ栽培に適した気候があるため、美味しい玉ねぎが収穫できます。白石町の特産品、白石タマネギは甘みもほどよく、高い評価を受けています。
【3位】兵庫県の玉ねぎ栽培の特長
兵庫県で玉ねぎ栽培がはじまるようになったきっかけは、1888年に輸入した玉ねぎの種子を現在の南あわじ市で試作したのが始まりとされています。淡路玉ねぎは泉州玉ねぎの栽培技術を導入し、黄、赤、紫、白の4種類の玉ねぎ種子を県から配布を受けて試作したそうです。兵庫県の中でも玉ねぎが盛んに生産されているのは淡路島。「淡路島たまねぎ」は全国でも認知力の高いブランド玉ねぎとして有名です。
淡路島は兵庫県の南東にある細い島。年間を通じて瀬戸内海特有の温暖な気候と、日照時間が長く、美味しい玉ねぎが栽培されています。淡路島の玉ねぎは9月に種まきを行い、5~6月に収穫出荷されます。収穫した玉ねぎは玉ねぎ小屋と呼ばれる小屋に吊り下げ、自然乾燥することで甘みが強くなり色艶も良くなります。そして、7月中旬から8月にかけて冷蔵貯蔵を行い11~3月まで出荷しています。
まとめ
玉ねぎの生育適温は15~20℃と涼しい気候を好むため、北海道では春まき、九州や兵庫では秋まきで生産され、1年中手に入ります。生産量が多い北海道、佐賀、兵庫の3件だけで全国生産量の約80%を占め、いつも美味しい玉ねぎが生産されています。