梨に含まれる栄養素と効能
梨にはエネルギー源となる糖質をはじめ、食物繊維やミネラルなどが含まれています。その他むし歯の原因となりにくい糖質「ソルビトール」を含んでいることも特徴の一つです。ここでは梨に含まれる主な栄養素について詳しく見ていきましょう。
体を動かすエネルギー源となる「糖質」
糖質はたんぱく質、脂質とともに私たちが活動するためのエネルギーとなる栄養素です。糖質が不足すると集中力がなくなったり疲れやすくなったりするなどの悪影響が出てしまいます。一方摂りすぎてしまうと脂肪として蓄えられ、肥満や生活習慣病などを引き起こす恐れがあります。梨の糖質量はそこまで多くはありません。むしろ他の果物と比べると少ない部類に入るのではないでしょうか。
状態など | 糖質 | |
---|---|---|
日本なし | 生 | 8.3g |
バナナ | 生 | 21.1g |
りんご | 皮なし/生 | 12.4g |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 9.6g |
うんしゅうみかん | 生 | 9.2g |
いちご | 生 | 6.1g |
整腸作用のある「食物繊維」
食べ物に含まれる栄養素のうち、ヒトの消化酵素で消化されない成分の総称が食物繊維です。食物繊維は消化・吸収されずに大腸まで届き、体に良い影響をもたらします。
食物繊維の主な作用は、便通を整えることです。食物繊維を十分に摂取すると、便のカサが増えて腸が活発に働くようになります。その結果、便秘の改善も期待できるでしょう。
その他、食物繊維には糖や脂質などを体外へ排出する作用もあるため、生活習慣病の予防に役立つと言われています。
日本人にとって食物繊維は積極的に摂取すべき栄養素です。梨の食物繊維含有量は特別多いわけではありませんが、不足気味な食物繊維を補うためにも摂取したい食品であると言えますね。
状態など | 食物繊維総量 | |
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日本なし | 生 | 0.9g |
バナナ | 生 | 1.1g |
りんご | 皮なし/生 | 1.4g |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 2.6g |
うんしゅうみかん | 生 | 1.0g |
いちご | 生 | 1.4g |
塩分(ナトリウム)の摂りすぎに役立つカリウム
体の調子を整えることに役立つ「ミネラル」の一種がカリウム。カリウムは、同じくミネラルの一つであるナトリウムとともに、体内の浸透圧を正常に保つよう働いています。
また、カリウムは体内に増えすぎてしまったナトリウムを体の外へ排出してくれる作用があります。ナトリウムは主に食塩として摂取され、摂りすぎると高血圧の原因となることが知られている栄養素です。そのため高血圧の予防・改善には、ナトリウム制限(食塩制限)に加えカリウムを十分摂取することも重要であると言われています。
その他カリウムは神経伝達や筋肉の収縮にも関わっています。
状態など | カリウム | |
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日本なし | 生 | 140mg |
バナナ | 生 | 360mg |
りんご | 皮なし/生 | 120mg |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 300mg |
うんしゅうみかん | 生 | 150mg |
いちご | 生 | 170mg |
鉄とともに赤血球をつくる「銅」
銅はカリウムやナトリウム同様、体にとって必要なミネラルです。たんぱく質と結合し体内で起こるさまざまな化学反応に関与するほか、血液をつくることにも関わっています。
特殊な場合を除き、銅が不足をきたすケースや過剰摂取となるリスクはほとんどありません。
状態など | 銅 | |
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日本なし | 生 | 0.06mg |
バナナ | 生 | 0.09mg |
りんご | 皮なし/生 | 0.05mg |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | 0.10mg |
うんしゅうみかん | 生 | 0.03mg |
いちご | 生 | 0.05mg |
むし歯の原因にならない「ソルビトール(糖アルコール)」
糖質の一種である「糖アルコール」に分類されるのがソルビトールです。
ソルビトールをはじめとする糖アルコールには消化・吸収されにくく低カロリーであることや、むし歯の原因となる「酸」をつくらないという特徴があります。
でんぷんなどから人工的につくられたソルビトールは、むし歯予防の食品(ガムや飴など)や歯磨き粉などに利用されています。
梨に口内の健康に役立つ成分が含まれているとは意外ですね。
状態など | ソルビトール | |
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日本なし | 生 | 1.9g |
バナナ | 生 | - |
りんご | 皮なし/生 | 0.7g |
キウイフルーツ | 緑肉種/生 | - |
うんしゅうみかん | 生 | - |
いちご | 生 | 0g |
梨は1日何個まで?どこからが食べ過ぎ?
みずみずしさが美味しい梨ならいくらでも食べられるという方も多いのではないでしょうか。しかし食べ過ぎは禁物です。
ここでは1日あたりの梨の適量や、食べすぎた場合の健康への影響などを見ていきましょう。
7~8月の梨人気ランキング
※2024年7~8月のデータ1日に食べる梨の目安
農林水産省「食事バランスガイド」では、1日に食べる果物の目安量を200g(可食部)程度としています。
梨1個当たりの重さは平均300gくらいです。これを踏まえて考えると1日に食べる梨の目安は2/3個くらいであるといえますね。
丸ごと1個以上食べると食べ過ぎになる可能性があるため、分けて食べるようにすると良いでしょう。
食べすぎると・・・?!
梨に含まれる栄養素の多くは糖質です。梨の糖質量は果物の中で特別多いわけではありませんが、食べすぎてしまうと糖質を摂りすぎてしまう可能性があります。
糖質を摂りすぎるとカロリーオーバーや脂肪の蓄積につながり、それが続けば肥満や生活習慣病を引き起こす恐れもあるでしょう。
1日の適量を目安に、食べすぎないようにすることが大切です。
梨の健康効果を最大限に活かす!調理のNG
梨の栄養を最大限に取り入れるには、どのような食べ方がより効率的なのでしょうか。
朝に食べる
梨にはエネルギー源となる糖質が含まれています。その日1日を元気に過ごすためには、朝食が重要な役割を果たします。とはいえ朝は忙しく食事が十分摂れない方などは、梨などの果物でエネルギーを補給するのもおすすめです。決して完璧な食事であるとは言えませんが、手軽な朝食として活用してみると良いでしょう。
また食物繊維も含まれているため、朝のお通じにも役立つ可能性があります。
加熱してもOK
梨には加熱による損失の大きいビタミンCやビタミンB群などの栄養素はあまり含まれていません。
そのため生で食べても加熱して食べても、摂取できる栄養素はあまり変化しないと考えられます。コンポートなどにしてケーキ作りに活用するなどしてみてくださいね。
ただしカリウムは水に溶け出しやすい性質があるため、効率良く摂取するにはコンポートのシロップごと使用する。
他の果物と組み合わせて食べる
梨はビタミンの含有量が比較的少ない果物です。そのためビタミン類が豊富な他の果物と組み合わせて食べると良いでしょう。
例えばビタミンCの豊富な柑橘(かんきつ)類やキウイフルーツなどを盛り合わせにすると、彩りも良くおすすめですよ。
まとめ|梨はこんな人におすすめの果物!
梨には糖質や食物繊維、カリウムや銅などのミネラルが含まれているほか、むし歯になりにくい糖質「ソルビトール」が含まれています。適量食べることでエネルギー補給や食塩制限対策、便秘解消などに役立つ可能性があるでしょう。
食べ過ぎに注意しつつ、梨を健康づくりに役立ててくださいね。
〈参考サイト〉