なす栽培の魅力や難易度は?
なす栽培の難易度は野菜の中でも低めで、初心者でも十分美味しい実を収穫することができますよ◎実際に育てる際は、日当たりが良い場所を選び、28〜30℃前後の気温の中で管理すると、より生育しやすいです。
またなす栽培には、たくさんの魅力やメリットがあります。まず1つに、自宅で採れたて新鮮ななすを思う存分味わえること!なすは収穫したてが最も美味しく、フレッシュな甘みとジューシーな果肉の食感を楽しめますよ。
さらになす栽培は初心者向きで、お子さんと一緒に育てることも可能です。野菜を自分の手で育て、収穫するという貴重な体験は、食育にも繋がります。自分だけでなく、お子さんの食育のためにも、手軽にはじめられるなす栽培はおすすめです。
なすの栽培方法
播種・育苗
なすを種から育てる場合には、育苗ポットに数粒ずつまく方法と、畑の一角や箱などに条まきする方法があり、いずれの場合にも温度管理が重要です。なすの発芽適温は25~30℃で、日光を十分に当てる必要がありますが、これ以上高温になると発芽し辛くなります。
【ポットまき】
- 直径12~15cmの育苗ポットに種を3~4粒ずつまきます
- 5㎜ほどの厚みで土をかぶせ、たっぷり水をやります
- 発芽後、本葉が1~2枚になったらまず1本間引きます
- その後、本葉が2~3枚に増えたらさらに間引いて最も成長のよい1本を残します
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※2024年8月のデータ【条まき】
- 土に深さ1㎝ほどの溝をつけて約1㎝の間隔で種をまきます
- 覆土はポットまきの場合と同様に5㎜ほどにし、たっぷり水をやります
- 本葉が出てきたら適宜間引きを行います
- 本葉が4~5枚になったら育苗ポットに一本ずつ植えつけます
苗の本葉が8~9枚になり、花蕾(つぼみ)が付き始めたら定植します。定植に適した大きさに育つまでには、目安として2~3か月程度かかります。
土づくり・定植
定植の2週間ほど前に、1㎡あたり石灰150gを散布して耕します。その1週間後に、1㎡あたり堆肥を3〜4kg、化成肥料を150gまいて再びしっかりとすき込みます。土のpHは6.0〜8.0が目安です。なおプランターで栽培する場合には、野菜用の培養土を使用するのがおすすめです。
なすは肥沃で保水性の高い土を好むため、できるだけ深く耕しましょう。苗を植え付けるまに、あらかじめマルチを敷いておくと、害虫の飛来や雨が降ったときの泥はねを防ぐことができます。
植え付けの準備が完了したら、高さ20~30cm、幅130cmほどの畝をつくり、60~80cm間隔で苗を植え付けていきます。2本仕立てで栽培する場合は株間50cm、3~4本仕立てで栽培する場合は70~90cmほどの間隔をとるようにしましょう。
仕立て・誘引
なすが膝くらいの高さまで成長すると、脇芽がどんどん伸び、たくさんの花を咲かせます。全ての花に実を付けてしまうと株が疲労してしまい、色づきの良い大きななすは取れず、収穫期間が短くなります。また、枝が込み合うと病虫害の原因になるとともに、株の上部が重くなりすぎて倒れやすくなります。
枝を剪定して伸ばす枝数と付ける実数を制限し、倒伏しないように支柱を立てて枝を固定することをなすを「仕立てる」といいます。一般的になす栽培では、主枝と側枝2本を伸ばす3本仕立てがよく使われています。他にも、1本仕立てから4本仕立てまで使われることがあります。
1本仕立ては、幅広い種類のなす栽培に対応できる最もシンプルな仕立て方法です。それに対して2本仕立ては、支柱をV字に交差させて枝を支えるため、日当たりと風通しが良くなり、色付きの良い実を収穫できるうえ、葉による風すれの傷もつきにくくなります。
このいずれかの方法で支柱を立てたら、なすの枝と支柱を紐やテープなどを使って結びつけ、誘引します。
なすの支柱の立て方や誘引のやり方についてより詳しく知りたい人は、ぜひこちらも合わせてチェックしてくださいね♪
追肥・水やり
二番果の収穫をおこなった後は、2週間に1回の頻度で、化成肥料を一株につき約50g(およそ一握り)ずつ追肥します。
1~2回目の追肥では、マルチをめくったり、マルチに穴をあけたりしてきちんと畝の中に肥料を入れる必要があります。それ以降、6月下旬頃からの追肥では、なすの根が広く伸びるため、畝と畝の間の通路の部分にばらまきしても充分に効果があります。
暑くなってくると追肥の作業も大変になり、株が弱ってしまいがちですが、通路にまくだけであれば比較的短時間で終わるため、できるだけ追肥は欠かさないようにしましょう。
またなす栽培では、水管理も非常に重要です。なす栽培では肥料不足と同時に水不足に陥りがちです。特に梅雨明け以降は、水やりを十分におこなうようにしましょう。
病害虫への対策
なす栽培では、うどんこ病や菌核病、青枯病などによる被害に注意する必要があります。これらの病気は一度かかると治せないので、症状が見られる箇所は切り落として被害が拡散するのを防止しましょう。
こちらの記事では、なすに発生しやすい9つの病気について、原因や対処法をご紹介しています。病気への対策を万全にしておきたい人は、ぜひ合わせてチェックしてください◎
なすの柔らかい葉は害虫にとっても非常に魅力的です。アブラムシやハダニ、ヨウトムシなど、なす栽培で注意すべき害虫は少なくありません。見つけた際は早急に薬剤を散布し、駆除しましょう。
こちらの記事では、害虫による被害が生じた場合の見分け方や対策方法をご紹介しています。病気と同様に、害虫対策の知識を深めたい人はぜひ合わせてチェックしてください◎
授粉・収穫
開花後15~20日ほどで、なすの実を収穫できるようになります。1~3番果はそれほど長く木に残しておかないようにして若どりすると、木の負担が軽くなり実がつきやすくなります。多く着果した場合も同様に、早めに収穫するとより長く楽しむことができます。
収穫後は鮮度が落ちやすいため、新聞紙やラップにくるんで日陰で保存し、できるだけ早めに食べきりましょう。
まずは食べてみて!山形県の美味しいなす
山形県は、日本を代表するなすの名産地。県内各地では毎年夏から秋にかけて、大ぶりで甘いなすがたくさん収穫されています。中でも人気品種となっている「くろべえ」は、柔らかくとろけるような食感で、煮ても焼いても美味しく食べられます◎
これからはじめてなす栽培をはじめようと思っている人は、まず育てたい品種を決めることからスタートするのがおすすめ!山形県の美味しいなすを食べて、自分でも育ててみたいと思えるお気に入りの品種をぜひ見つけてみてください。
なすを食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!