カブとは
学名 | 和名/別名 | 分類 | 原産地 | 発芽適温 | 生育適温 |
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Brassica rapa subsp. rapa | カブ | アブラナ科アブラナ属 | ヨーロッパ西南部/中央アジア | 20~25℃ | 20℃前後 |
カブは、根だけでなく葉も栄養価が豊富なアブラナ科の野菜です。日本では古くから栽培されており、各地に様々な色や大きさの地方品種が存在します。新鮮なカブは生でサラダや浅漬けにしたり、煮物や汁物の具にしたりと和洋中問わず様々な料理に活用されます。
日本で栽培されているカブは、大きさによって大カブ、中カブ、小カブの3つに分けることができます。特に小カブは鉢植えでも十分に育てることができるため、家庭菜園でも人気の高い野菜です。
そこで今回は、栽培初心者の方向けにカブの育て方をご紹介します。カブ栽培に必要な知識や栽培のコツを押さえて、美味しいカブを作りましょう!
栽培時期
カブの生育に適した温度は20~25℃前後で、年に2回栽培が可能です。春まきの場合には3月~5月に播種を行って5月下旬~7月上旬にかけて収穫します。また、秋まきの場合には7月~9月に播種し、8月~1月上旬まで収穫することができます。
カブの栽培
土作り
カブは地植えでもプランターでも、どちらでも栽培可能です。カブは根も食用にする野菜のため、プランターで育てる場合には十分な深さのあるものを用意しましょう。
カブを育てるときには、風通しがよくて日当たりが良好な場所を選びます。また、水はけが良いかどうかも合わせて確認し、水のやりすぎで根腐れが起こらないように注意しましょう。さらに、土が柔らかいと根が伸びやすくなるため、土づくりが大切になります。
まず、種まきの2週間以上前に1㎡あたり150g(約3つかみ)の苦土石灰をすき込み、土となじませます。その後、1週間前になったら1㎡につき堆肥を約3㎏、化成肥料100gをまいて、30㎝ほどの深さまでよく耕します。地表近くの石ころや土の塊を丁寧に取り除くと、発芽しやすくなります。
苦土石灰と化成肥料が土と混ざったら、畝を立てます。カブは密植に適した野菜のため、10~15㎝ほどの株間があれば十分に栽培が可能です。一つの畝に2列ずつ植えていく場合には、畝の幅は60㎝がよいでしょう。畝間は30㎝程度あけておきます。
プランターで栽培する場合には、市販の野菜用培養土がおすすめです。
畝をつくった後に黒マルチを張るようにすると、雑草の生育が抑えられる、地温を上げるなどの効果が得られます。マルチの種類や効果についてはこちらの記事をお読みください。
マルチを使い分けて野菜作り!様々なマルチの種類と効果まとめ | AGRIs
マルチには、黒や白といった色や生分解性といった特性の違うものがたくさんあります。それぞれのマルチがどういった効果を持つのかまとめました。
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播種
畑の準備が整ったら、種まきを行います。カブは栽培の途中で植え替えることができないため、畑に直に種をまきます。
畝と畝の間の距離はカブの大きさによって変えます。大株の場合には畝間は40~50㎝、中カブでは20~25㎝、小カブの場合には15㎝あけて条まきします。
条の深さは1~1.5㎝になるようにし、種の間隔は1㎝程度あけます。播種が終わったら覆土してたっぷり水をやりましょう。カブは水はけのよい環境を好むため、雨が多い地域では20~25㎝ほど高畝にするとよいでしょう。
新聞紙やワラ、寒冷紗をかぶせておくと、過度の乾燥を防ぐことができます。
寒冷紗
寒冷紗とは、麻や綿を平らに織り込んだ布のことです。園芸だけでなく、料理で出汁を取る際に使われたり、漆喰の下地補強に用いられたりします。畑では、育苗期を中心に頻出のアイテム。保湿だけでなくアブラムシやネキリムシなどの害虫対策、さらには風対策にも役立ちます。
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間引き
カブの間引きは3回に分けてタイミングよく行いましょう。本葉が1枚出たころに初めの間引きをします。2回目、3回目はそれぞれ本葉2~3枚の時期と本葉が5~6枚の時期に行い、最終的な株間をカブの大きさに合わせて調整します。
間引く際には、生育が早すぎたり遅すぎたりする苗のほか、病害虫による被害が見られる苗を取り除くようにします。特に苗の時期には病害虫からの被害が深刻化する場合が多いため、寒冷紗や防虫ネットなどをかけるとよいでしょう。
※間引いた苗は柔らかいため、サラダやおひたしにして食べるのがおすすめです。
カブの栽培:栽培管理
追肥・水やり
小カブの場合には、栽培期間が短いため基本的に追肥をする必要はありません。元肥だけで育てることができます。
中カブや大カブでは追肥が必要です。2回目と3回目の間引きの後、1㎡あたりひとつかみ(約20g)の化成肥料をまきます。
カブは頭の部分が土の上に出た状態で大きくなる野菜です。追肥をするタイミングで地表近くの土を軽く耕してサラサラにし、土寄せを行うと表面に傷がないきれいなカブができます。
カブは、水分が不足すると根が割れたり肥大しにくくなったりします。水のやり過ぎは病気を引き起こすため避けなければなりませんが、土が極端に乾いた状態も好ましくありません。表面が乾いてきたら、放置せずにきちんと水やりを行いましょう。
病気・害虫に注意!
カブの柔らかい葉は害虫にとって絶好のごちそうです。また、害虫による食害が起こると、その傷口から菌が侵入して病気が発生することもあります。
本サイトでは、根くびれ病や萎黄病、ホウ素欠乏症など、カブ栽培で気をつけたい病気について、前編・後編に分けて原因や対処法をご紹介しています。
カブを病気から守る!知っておくべきカブの病気と対策法【前編】 | AGRIs
冬野菜の代表格、カブはアブラナ科の植物です。美味しいカブを育てるために、注意しておきたい病気とその対処法をご紹介します。
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カブを病気から守る!知っておくべきカブの病気と対策法【後編】 | AGRIs
日本全国、様々な色や形の品種があることが知られているカブは、アブラナ科の野菜です。美味しいカブを育てるために、注意しておきたい病気とその対処法をご紹介します。
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カブの柔らかい葉は害虫にとっても非常に魅力的です。カブラハバチやアオムシ、ハムシなど、カブ栽培で注意すべき害虫は少なくありません。
こちらの記事では、害虫による被害が生じた場合の見分け方や対策方法をご紹介しています。
カブの栽培で気をつけたい病害虫については下記の記事をご参照ください。
カブの害虫対策!知っておくべきカブの害虫6種まとめ | AGRIs
アブラナ科のカブは、サラダや漬物、煮物、炒め物など、お料理の活用の幅が広く家庭菜園でも人気の高い野菜です。今回は、カブの栽培で特に注意したい害虫とその予防法・対処法をご紹介します。
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カブの栽培:収穫
カブは収穫時期を逃すと根にスが入ったりひび割れが生じたりするため、大きくなったものから早めに収穫するようにしましょう。
小カブは播種してから40~50日前後の直径4~5㎝の時期に収穫します。中カブは50~60日経って8~10㎝に成長したもの、大カブは播種後60~90日ほどの20~30㎝になったものが収穫の目安です。
おわりに
今回はカブの栽培方法についてご紹介しました。カブは家庭菜園でもプランターで手軽に栽培できる野菜です。病気や害虫に注意しながら、ぜひ一度、カブ栽培に挑戦してみてください。