サツマイモとは
学名 | 和名/別名 | 分類 | 原産地 | 発芽適温 | 生育適温 |
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Ipomoea batatas | サツマイモ/カンショ | ヒルガオ科サツマイモ属 | 中南米 | 20~30℃ | 20~35℃ |
サツマイモは中南米原産のヒルガオ科の作物です。塊根と呼ばれる肥大した根を食用にします。日本には江戸初期に伝わったといわれており、琉球王国から薩摩藩を経由して本州へと伝来したために「サツマイモ(薩摩芋)」の名前がついたとの説が有力です。
その後、痩せた土地でも育つというサツマイモの特長を見抜いた青木昆陽(あおき こんよう)という人物によって、全国的にサツマイモの栽培が奨励されるようになりました。現在では焼きいもブームが起きるほど人気の高い作物となっています。
サツマイモ栽培の歴史についてはこちらの記事をご覧ください。
サツマイモの歴史、日本で広まるまで~遠く離れた原産地と青木昆陽の活躍~ | AGRIs
今では日本人にとって非常に親しみ深い作物のひとつとなっているサツマイモ。原産地のアメリカ大陸から世界中を回って日本に伝わり、青木昆陽という人物の活躍によって日本で栽培が広まるまでの歴史をご紹介します。
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サツマイモには肌の調子を整える効果のあるビタミンCや整腸効果のある食物繊維、高血圧を予防する働きを持つカリウムなど、様々な栄養素が豊富に含まれており健康によい作物として知られています。
栽培の基本情報
栽培時期
サツマイモは5月頃に苗を定植し、9月~10月頃にかけて収穫をおこないます。秋に旬を迎える作物というイメージがありますが、実は収穫後すぐに食べてもそれほど美味しくありません。収穫後、2~3か月貯蔵することでデンプンが糖に変化し、甘みが増します。
サツマイモの旬について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
サツマイモを最も美味しく食べられる時期は?秋の定番サツマイモの旬 | AGRIs
焼き芋、お芋ご飯などで、秋が旬のイメージが強いサツマイモ。実際にサツマイモの旬は9月から11月ごろと、ずばり秋です。しかし、実はサツマイモを最も美味しく食べることができるのは秋ではない?のです。
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栽培環境
サツマイモは根を食用にするため、ある程度の深さがある場所で育てる必要があります。そのため、一般的には地植えにしますが、土嚢や大きなプランターを用いて栽培することも可能です。酸性の土壌に強いため、pHが6以下であっても生育できます。
サツマイモを育てるときには、風通しがよくて日当たりが良好な場所を選びます。また、水はけが良いかどうかも合わせて確認し、水のやりすぎで根腐れが起こらないように注意します。収穫までの期間が長いため、雑草の管理にも注意が必要です。マルチを張るとなおよいでしょう。
サツマイモの育て方・栽培方法
苗の準備
サツマイモの苗は、ホームセンターや種苗店で購入することができます。ポット苗ではなく、サツマイモから芽出しして切ったつるが苗として販売しています。茎が太くて葉が濃い緑色をしている苗を選びましょう。節が4~5節で長さが15~20㎝のものが最適です。
種芋から自分で育苗することも可能ですが、手間や苗の質を考慮すると購入するのが簡便です。購入した苗は、バケツに浅く水を張って日陰に置いておくと、植え付けまで1週間ほど保存することができます。
土づくり
サツマイモは土質を選びませんが、施肥量が多すぎると「つるぼけ」の原因となります。つるぼけとは、畑の窒素分が過多になることによって茎や葉が過度に旺盛に生長し、食用となる根茎の肥大に必要なエネルギーが損なわれてしまうことを指します。サツマイモだけでなくカボチャやスイカなどのつる性の作物で起こる可能性があります。
つるぼけを避けるため、サツマイモ栽培では追肥はおこなわず、元肥だけで育てます。施肥量の目安は、1㎡あたり窒素30~60g、リン酸40~80g、カリウム80~120gです。
窒素は地上部の生育が盛んな栽培初期から中期に充分吸収させ、後期には吸収を押さえてイモの肥大化を促します。リン酸は初期に充分吸収させて根張りをよくしょう。
カリウムは全期間吸収できるようにするため、深層施肥や緩効性肥料を使用します。
土の準備が整ったらマルチを敷くとよいでしょう。害虫の飛来や雑草の繁茂、さらに雨が降ったときの泥はねを防ぐ効果があります。
土のpHは5.5~6.0が目安です。サツマイモの根は地中深くまで伸びるため、よく耕して土を柔らかくしておきましょう。
プランターや土嚢で栽培する場合には、野菜用の培養土を使用するのがおすすめです。
定植
定植当日は、マルチに深さ10㎝程度の楕円形の穴をあけます。株間は30㎝とします。
苗を畝に平行に横に寝かせて、3~4節が土の中に埋まるように植えましょう。土中に埋まった部分の茎から根が生え、水や肥料を吸収します。
定植後は、土が乾燥しないようにたっぷりと水をやりましょう。
サツマイモの育て方・栽培方法:栽培管理
つる返し
大きなサツマイモを収穫するには「つる返し」の作業が欠かせません。つる返しの手順は以下の通りです。
手順①:サツマイモの不定根を切る
サツマイモの蔓を持ち上げ、節間から伸びている不定根を切り落とします。
手順②:サツマイモの蔓を畝の上に乗せる
持ち上げたサツマイモのつるをひっくり返し、畝の上に乗せていきます。
サツマイモの茎は、地面に接していればどこからでも根が生えてイモができてしまいます。つる返しをすることによって、植えつけた部分ではないところから生えてきた根を剥がし、養分の分散を防ぐ効果があります。
病気・害虫に注意!
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サツマイモの育て方・栽培方法:収穫
地温が9℃を下回るとサツマイモが腐りやすくなるため、霜が降りる前に収穫しましょう。
収穫前に地表の芋づるを鎌で刈っておきます。株の位置がはっきりわかる状態になったら、スコップで地面を掘り下げます。サツマイモに当たらないよう、少し離れた位置から鍬を差し込んで土を軽くほぐしてから掘ると、比較的簡単にイモを収穫できます。
茎を少し残しておくことで貯蔵性が高まります。
おわりに
今回はサツマイモの栽培方法についてご紹介しました。
JA里浦では徳島県の鳴門に位置する産地で、独特な砂地に海のミネラルが溶け込み、美味しく美しいなると金時・里むすめが育てられています。ぜひ一度ご賞味ください!