さくらんぼの接木と挿し木とは
接木と挿し木は、ともにさくらんぼの木を増やす方法です。
接木とは、元からあるさくらんぼの木(台木)に、新たなさくらんぼの枝(穂木)を接合する手法です。台木は根を張る部分で、穂木は新たに実をつける部分となります。接合部より下は台木の性質を、接合部より上は穂木の性質を持った苗木ができます。
挿し木とは、元の木から直接切り取った枝を土に挿して新たな苗木を作る方法です。挿し木は比較的簡単に行うことができますが、種類によっては接木の方が適している場合もあります。
これらの方法を通じて、さくらんぼの木は増えていきます。
さくらんぼの接木・挿し木の最適な時期
さくらんぼの接木に適した時期は、春である3月末頃とされています。これは台木が新たな生長を始める時期で、接合部の癒合が良くなるからです。また、穂木は接木の1~2ヶ月前に採取し、冷蔵保管しておくことが必要です。
挿し木の時期については一般的には新芽が出始める春から初夏にかけてが適しています。なお、接木・挿し木では、元の品種と同じ性質を保つための手法なので、さくらんぼを育てはじめた方でも、比較的難易度が低く取り組めます。
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※2024年4~6月のデータ接木・挿し木の手順
(1)接木の手順と必要なツール
接木は、美味しいさくらんぼの木を増やす一般的な方法で、台木(根を張る部分)に穂木(佐藤錦などのさくらんぼの品種の枝)を合体させる手法です。その手順は以下の通りです。
まず、台木を地上から約10-15cmの高さで切ります。次に穂木と台木の形成層を合わせ、接木テープで固定します。穂木は1芽あれば良いですが、安全のために2芽を持つものを使用することが推奨されます。穂木の採取は2月頃に行い、接木は台木が動き始める3月末頃に行います。
接木後、1ヶ月ほどで穂木から新たな芽が出てきます。このとき台木からも芽が出てきますが、穂木の成長を優先させるため台木から伸びてきた芽は切ります。
接木に必要なツールは刃物(台木と穂木を切るため)、接木テープ(台木と穂木を固定するため)です。接木は適切な知識と技術が必要なため、初めての方は専門の指導を受けることをお勧めします。
(2)挿し木の手順と必要なツール
さくらんぼの増やし方として、挿し木法はやや難易度が高いですが、成功すれば1年で収穫可能な苗が得られます。挿し木に必要なツールは「剪定鋏」、「水」、「挿し木用土」、「プランター」、「ビニール袋」、「ゴムバンド」です。手順は次のとおりです。
- 剪定鋏で枝を切る際は、新芽が出てきた部分を含むよう5~6節分を切り取ります。
- 切り取った枝の下部の2~3節の葉と芽を取り除きます。
- 水に2~3時間浸けておき、その後挿し木用の土に挿します。土は湿らせておくと良いでしょう。
- プランターに挿したらビニール袋で覆い、ゴムバンドで口を閉じます。これにより高温多湿の環境を作り出します。
- 毎日、ビニール袋を開けて通気を行い、土が乾いていたら適度に水やりをします。
挿し木は根付くまでに時間がかかりますが、約1ヶ月で新芽が出てくることが多いです。耐え忍びながら栽培しましょう。
さくらんぼの木と桜の木の関係性
さくらんぼの木と桜の木は、どちらもバラ科サクラ属に属していますが、それぞれ異なる特性を持っています。さくらんぼは果物を生産するのに対して、桜はその美しい花で知られています。
さくらんぼの木と桜の木は、接木や挿し木といった方法で増やすことが可能です。特にさくらんぼの木は、接木によって美味しいさくらんぼが成る木を増やすことが一般的です。また、桜の木も接木や挿し木で増やすことができますが、その方法はさくらんぼの木とは少し異なります。
以上の内容からわかる通り、さくらんぼの木と桜の木は、同じサクラ属に属しながらもそれぞれ異なる特性を持ち、育て方も少しずつ異なります。しかし、どちらも接木や挿し木といった方法で増やすことが可能であり、それぞれの特性を生かした育て方が求められます。
さくらんぼの増やし方として接木や挿し木を用いる方法を詳しく述べてきました。接木は台木と呼ばれる根がない部分に、穂木と呼ばれるさくらんぼの枝を接続し一体化させる方法です。穂木は良い果実が実る木から採取します。接木の最適な時期は3月末で、穂木は2月頃に採取しておきます。
まとめ
挿し木については、詳細な説明は省きましたが、これも一つの手段として考えてみてください。
また、さくらんぼの木と桜の木は同じ科に属しますが、同一種ではありません。しかし、接木で使う台木としては桜の木が使われることもあるという事実も覚えておいてください。
これらの知識を持つことで、さくらんぼの増殖に関する理解が深まることでしょう。
また、さくらんぼの育て方についてより詳しく知りたい方は、こちらのサイトもご覧ください♪
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