食用ホオズキとは
学名 | 和名/別名 | 分類 | 原産地 | 発芽適温 | 生育適温 |
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Physalis pruinosa Bailey. | ショクヨウホオズキ/ストロベリートマト | ナス科ホオズキ属 | 北米 | 30℃ | 25℃ |
食用ホオズキはナス科ホオズキ属の野菜で、アメリカ大陸原産の野菜です。全世界に100種類以上の種があると言われており、トマトのような丸い実を薄い皮が覆っている独特の実をつけます。
欧米では甘みのあるホオズキは生食のほかジャムの材料として、メキシコではサルサソースの原料として使用されていますが、果実として広く認識されるようになったのは最近になってからのことです。日本では浅草寺のほおずき市のように、薬用や観賞用として江戸時代から親しまれてきました。
近年では「ストロベリートマト」や「ケープグーズベリー」、「グランドチェリー」といった名前で外国から入ってきており、ケーキのトッピングやアイスクリームの材料など食用としての期待が高まっています。家庭菜園向けの種や苗も販売されており、気軽に楽しむことができます。
日本では、観賞用2種と食用3種の5つの種が主に知られています。
食用の種として国内で入手できるのは、カラに縞のあるシマホオズキ、実が直径5cmと大きく緑または紫色になりメキシコ料理のソース原料に使われるオオブドウホオズキ、草丈が30cm程度と小さく熟すと実が黄色く甘くなるショクヨウホオズキの3種です。
シマホオズキは多年草、ショクヨウホオズキは一年草ですが、冬が寒い日本の露地栽培では越冬できず基本的に一年草として扱われています。
種 | 別名 | 実の色 | 実の直径 | 草丈 | 利用法 |
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シマホオズキ | ケープグーズベリー、チェリートマト | 緑黄色 | 1cm程度 | 30cm~100cm | ジャム、生食 |
オオブドウホオズキ | トマティーヨ、ジャムベリー | 緑色、紫色 | 5cm程度 | 100cm~130cm | ソース |
ショクヨウホオズキ | ドワーフグーズベリー、グランドチェリー | 黄色 | 2cm程度 | 30cm | 生食、砂糖漬け |
観賞用のホオズキとしては、ヨウシュホオズキやセンナリホオズキがあります。草丈は低めで、実が赤く色づきます。
鬼灯
観賞用のホオズキの実はお盆の時期に赤く色づき、人魂を想起させるとして「鬼灯」や「鬼燈」という漢字が当てられたと言われています。お盆の縁起物やお供えものとして需要があり、ほおずき市が開催されていました。また、センナリホオズキの果実は解熱効果を持っているため夏風邪に備える意味もありました。
栽培時期
食用ホオズキは霜に弱いため、3月から育苗をおこないます。5月中旬の遅霜の心配が無くなったころに定植して、11月の初霜までに収穫を終えるように栽培します。8月上旬から順次収穫できるようになり、たくさんの果実をつけます。
国内では、秋から春にかけて収穫するハウス促成栽培がおこなわれている地域もあります。
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食用ホオズキの栽培
播種・育苗
食用ホオズキを種から育てる場合には、まずセルトレイにまき、育苗ポットに鉢上げしましょう。どの段階でも温度管理が重要です。
熱帯亜熱帯原産の食用ホオズキの発芽適温は30℃のため、この温度で発芽させましょう。発芽温度が低いと発芽まで時間がかかり、発芽にばらつきが出てしまいます。
本葉が3枚ほどになったら3号の黒ポットに鉢上げしましょう。セルトレイから苗をとり、育苗培土を入れたポットに植え替えます。定植までは温度が20℃を下回らないように管理しましょう。
種をまいてから50日から60日後、育苗ポットに植えている苗の本葉が7~8枚になったら定植の目安です。
土づくり・定植
植えつけの1週間前になったら、1㎡あたり堆肥を2㎏、化成肥料(8-8-8)を150gまいてしっかりとすき込みます。生育期間が長くたくさんの実をつける食用ホオズキは肥料をよく吸うため、定植前に十分に施肥をおこなうようにします。苦土石灰はpHが6程度になるように調整して入れましょう。
食用ホオズキは他のナス科の野菜と同じく、日当たりがよく排水の良いところであればよく育ちます。生育期間が長く根を広く伸ばすので、良く耕しておきましょう。
プランターで栽培する場合には、野菜用の培養土を使用するのがおすすめです。
大型のシマホオズキやオオブドウホオズキを栽培する場合には、畝幅を200cm程度、株間を100cmほどとり一条植えにしましょう。小型のショクヨウホオズキの場合は畝幅は70cm~80cm、株間は40~50cmほどで大丈夫です。
土の準備が終わったら、黒マルチを張ります。防草や泥はね防止による病害予防に効果があります。
定植当日は、育苗ポットの直径よりもやや大きめに畑に穴をあけ、苗をポットから移植します。植え替えた後は根が活着しておらず弱りやすい時期のため、たっぷりと水をやります。植える前の穴に水をたっぷりと注いでから植え付ける方法も有効です。
植えつける深さは、鉢土の表面が地表面に揃う程度にします。
食用ホオズキの栽培:栽培管理
追肥・水やり
追肥は、盛夏の生育が旺盛な時期に、10日に1回の頻度でおこないます。1㎡あたり化成肥料を20g(1つかみ)程度まくとよいでしょう。
株元から少し離して、葉が茂っている範囲にやるようにします。
露地栽培では基本的に水やりは必要ありません。しかし、夏場に晴天が続くようであれば早朝か夕方に水をやるようにしましょう。プランター栽培の場合は土がすぐに乾いてしまうため、毎日水やりをしてください。
誘引・剪定
株が大きくなると、強風によって茎が折れてしまう危険性があるため、支柱を立てて誘引しましょう。大きな枝を4本伸ばす4本仕立ての場合は、それぞれの枝に沿うように支柱を斜めに立てます。4本仕立てでは1番花より上に出たわき芽を伸ばして枝を4本にします。
枝数を少なくすることで、実の数を調整し株に負担をかけすぎないようにします。また、枝や葉が多すぎると株に負荷がかかって折れやすくなるほか、通気性が悪くなり病害虫が発生しやすくなってしまいます。不要なわき芽や、株の根元に近い部分にある古い葉、大きな葉を取り除き、株をすっきりとさせましょう。
病気・害虫に注意!
食用ホオズキの栽培では、9月頃にオオタバコガの食害を受けることがあります。成虫が飛来し卵を産みつけた後、孵化した幼虫が大きくなるにつれて被害も大きくなります。日々の栽培管理の中で見つけた卵を除去したり、幼虫は小さいうちに捕殺するようにしましょう。
小型のホオズキでは防虫ネットをかけて予防することも可能です。あわせてご覧ください。
寒冷紗・防虫ネットの正しい使い方!野菜栽培で大活躍、寒冷紗・防虫ネットの使い方まとめ | AGRIs
防虫効果があり、防寒や防風でも活躍する寒冷紗。野菜栽培の様々な場面で活躍する寒冷紗の役割や設置方法を野菜栽培を始めたばかりの方にもわかりやすく説明しています。寒冷紗や防虫ネットは、防虫効果に加え、防寒や防風効果も発揮する優れものです。しかし、正しい方法を知らず、「せっかく張ったのに害虫にやられてしまった」という声も少なくありません。そこで今回は、寒冷紗や防虫ネットの種類や張る際の注意点をご紹介します。
https://www.agri-smile.app/articles/kanreisha
ナス科全般に発生するうどんこ病といった病害にも注意が必要です。風通しを良くして病気の予防に努めましょう。
食用ホオズキの栽培:収穫
食用ホオズキは定植から3か月ほどで収穫できるようになります。カラが黄色いうちに収穫します。露地栽培では収穫が遅れると過熟し、黒いカビが出てくることもあるためです。
霜が降りる11月頃まで継続して収穫が可能です。収穫が終わった枝は切り、新しい枝に栄養をまわしてあげることで長く収穫を楽しめます
おわりに
今回は食用ホオズキの栽培方法についてご紹介しました。
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