お米の品種改良とは?
お米の品種改良とは、主にお米の質や食味を向上させるため、また病気や気候変化に対する耐性を持たせ、農家がより育てやすい形にするために行われる行為です。品種改良の主な目的は以下の6つとなります。
- 食味、炊き上がりのツヤ向上
- 収量性の向上
- 病気・害虫に対する強さ
- 風等による倒れにくさ
- 寒さ・高温に対する強さ
- 収穫時期の早さ
品種改良は、その時代や育成地域の状況に応じて進められます。冷害に悩まされていた地方でも、温暖化の影響で高温対策が必要となるなど、目指す方向性は常に変わり続けています。
お米の品種改良の歴史
お米の品種改良の歴史は長く、多くの挑戦と試行錯誤を経て現在のお米が作られています。初期の品種改良は、収穫量を増やすことや、日本の四季や地域に合わせた適応力を持つお米を作るために行われてきました。その後、病害虫や天候変動に強い、または特定の食味を追求するための改良が進められてきました。
〈販売中〉お米人気ランキング
※2024年1~8月のデータ品種改良によって誕生した代表的なお米
品種改良の一例として、「コシヒカリ」が挙げられます。1956年に新潟県で開発されたこの品種は、その優れた食味から全国的に広まり、現在でも日本で最も栽培されているお米の一つです。
また、このコシヒカリを超えるべく開発されたのが、山形県産の「つや姫」です。つや姫は、コシヒカリをはじめとする美味しいお米のルーツといわれている品種「亀の尾」の特徴が強く引き継がれたお米で、もっちりとした食感と芳醇な甘みを持ち合わせています。
しかし、品種改良は一筋縄ではいきません。その時代や育成する地域によって、求められる性質は変わってきます。例えば、昔は冷害に悩まされていた地方が、温暖化の影響で高温対策も必要になるなど、時代と共に新たな課題が発生しています。これを解決するため、様々な品種の交配が試みられ、新しい品種が生まれ続けているのです。
いつから品種改良が行われたのか
お米の品種改良は古代から行われてきましたが、現代的な意味での米の品種改良は明治時代から始まりました。この時代には、農業の近代化に伴い品種改良が科学的に行われるようになり、品種改良の初期段階では主に収量の向上が目指されました。
その後、昭和30年代に入るとお米の食味に注目が集まり、食味を高めるための品種改良が進められました。その結果、日本人の口に合う美味しいお米が生まれてきたのです。そして現在、地球温暖化や新たな病害虫の出現に対応するため、さらなる新品種の開発が進められています。
主要な品種改良の流れとそれによるお米の変化
品種改良の歴史を見ると、時代や地域のニーズに応じて、目指す成果物が変化してきています。例えば、古くからの品種改良の目的は、食味や見た目の向上、収量性の高さ、病気・害虫に対する強さが主でした。
しかし、気候変動に伴い、寒さや高温に強い品種の開発が求められるようになりました。また、収穫時期の早まりも重要な改良目的となっています。
具体的には、ある品種AとBをかけ合わせて得られた新品種C、さらにCに別の品種Dをかけ合せることで、目的とする特性を持った新たな品種が生まれます。これが現代の米の品種改良の流れであり、その結果として多様な種類のお米が我々の食卓に並んでいるのです。
米の品種改良のプロセス
お米の品種改良のプロセスは非常に長期的なものであり、一般的には10年から20年程度かかると言われています。初めに、目指す特性を持つ2種類のお米を掛け合わせ、新たな種類のお米を生み出します。この新たな種類のお米には親から受け継いだ特性が混ざり合っています。
その後、この新種のお米から目的とする特性を持つものを選び出して育成します。そして一定期間育てることで、その新種が安定した特性を持つかどうか、また病気や気候変化に対する強さを確認します。
このような品種改良のプロセスを行っているのは、農業・食品産業技術総合研究機構や都道府県の農業試験場などの研究機関です。これらの機関では、品種改良によってお米の収穫量が向上したり、味が改善したりすることを目指して活動しています。
品種改良の結果、どう変わったのか?
品種改良を経たお米は、一体どのように変わったのでしょうか。その答えは、お米の質や食味といった「味」、そして農家が育てやすい「利便性」、さらに病気や気候変化に対する「耐性」に見られます。
まず「味」の面では、改良により炊いたときのツヤや食味が向上しました。これにより、私たちが日々味わっている美味しいご飯が生まれています。
次に農家にとっての「利便性」も重要な改良点です。高い収量性や風などで倒れにくい強度、早い収穫時期等が求められ、それにより安定した生産が可能となりました。
最後に「耐性」について。病気や害虫に強い種類の開発、寒さ・高温に強い種への改良が行われ、それぞれの地域や環境に適したお米が育てられるようになりました。
これら全てが、お米の品種改良による大きな変化といえるでしょう。
まとめ
お米の品種改良は、私たちが日々食べているお米が美味しく、栽培しやすいものになるための重要なプロセスであること、そしてそのプロセスが複雑で時間を要するものであることが分かりましたね◎
品種改良を通じて、お米は病気や気候変化に強くなり、収量性や食味が向上します。また、環境や社会の変化に対する対応も品種改良を通じて行われており、その結果として、時代とともにお米の品種も変化してきました。これからもお米は、私たちの暮らしを豊かにするために、さらなる品種改良が求められていくでしょう。
お米を食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中で注目されるようになった中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!