はじめに
夏の風物詩、スイカは、みずみずしくジューシーな果実が特徴のウリ科の作物です。近年では、赤い果肉に黒い種がある従来の品種だけでなく、果肉が黄色いスイカや種がないスイカなど、様々な品種が開発されています。
今回は、スイカ栽培で注意したい害虫とその予防法・対処法をご紹介します。
スイカ栽培で注意したい害虫
早速、スイカ栽培で注意したい害虫とその防除方法について見ていきましょう。
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※2024年4~8月のデータミナミキイロアザミウマ
ミナミキイロアザミウマは、体調1.2mmほどの小さな虫です。
ウリ科のスイカやキュウリ、メロンやナス科のナス、ピーマンなど様々な作物に食害をもたらします。ミナミキイロアザミウマは1979年に宮崎県で初めて確認され、現在では九州・四国・本州の40都府県以上に生息域が拡大しています。
ミナミキイロアザミウマは、成虫や幼虫が作物の葉や茎から汁液を吸うことによって食害を起こします。ウリ科作物のスイカでは主に若い葉や新芽が被害を受けるため、生育が阻害されて収穫量が減少してしまいます。
また、ミナミキイロアザミウマはTospovirus属のウイルスを媒介することが知られており、スイカの葉を灰白色に変色させて果実の生育を阻害するという被害を引き起こします。
予防法・対処法
ミナミキイロアザミウマは薬剤への抵抗性が高いことが知られています。
そこで、天敵であるカメムシを用いて捕食させる方法や、栽培施設への侵入を防ぐために寒冷紗でビニルハウスの開口部を覆う方法などが取られています。また、太陽光をよく反射するマルチを用いて株元を保護することもミナ
ミキイロアザミウマの発生を予防する効果があります。
- 雑草でも繁殖するため、圃場の周囲の雑草は取り除きましょう。
- マルチを敷くことで株の根元への侵入を予防しましょう。
- 寒冷紗で覆うと苗への被害を抑えることができます。
ウリハムシ
ウリハムシは、ウリ科のスイカやキュウリ以外にもインゲン豆やハクサイ、ナスなど多くの作物に被害をもたらします。成虫は上の写真のように光沢のある橙色をしており、体長は7~8mmほどです。成虫はおもにウリ科作物の葉や実に食害を起こし、下の写真のように円形の跡を残します。被害が多発すると、葉が食い荒らされて生育が妨げられます。
幼虫はウリ科作物の根を食害するほか、果実の一部が地面に接しているとそこから内部に侵入します。
苗が幼い時期に根がウリハムシの幼虫による被害を受けると、生育が阻害されて枯死にいたることもあります。
予防法・対処法
- 幼苗期に防虫ネットで周りを囲んでおくと、予防できます。
- 薬剤による防除も効果的です。
アブラムシ
アブラムシは体長0.5~3㎜の虫で、葉や茎に大量に発生します。体色は写真の様に黄色のものから緑色、黒色、灰色など様々な種類があります。
成虫、幼虫ともに葉や茎を吸汁します。アブラムシが大量に発生した株は生育が阻害されてるだけでなく、アブラムシの排泄物にカビが発生してすす病を発病します。
また、アブラムシはモザイク病を媒介することが知られています。
予防法・対処法
- マルチを敷くと、成虫の飛来を予防することができます。
- アブラムシと共生関係にあるアリを除去することで、アブラムシの増殖を抑制する方法もあります。
ハダニ
ハダニは、成虫、幼虫ともに食害をもたらします。体長は0.5~1㎜ほどで、葉の裏にくっついて吸汁します。ハダニが吸汁した後の葉は、葉緑素が抜けて白く見えるようになり、やがてその部分が枯死して写真の様に黒くなります。
被害が広がると、光合成が行えなくなり葉が枯死します。
予防法・対処法
- マルチを敷くと、ハダニの発生を予防できます。
- ハダニは雑草でも発生するため、株の周囲の雑草は丁寧に除去しましょう。
スイカを健康に育てるために
害虫が発生すると、作物の生育が阻害されるだけでなく、病気の発生につながる場合もあります。
スイカを病気から守る!知っておくべきスイカの病気7つまとめでは、スイカに発生しやすい病気についてご紹介しています。美味しいスイカを育てるために必要な対処法について、合わせて押さえておきましょう。