なす栽培における支柱の必要性とメリット
なすに限らず、農作物を育てるうえで支柱は欠かせない資材です。支柱を立てることで、農作物を長く健全に栽培することができ、安定的な収穫が可能となります◎
ここでは、なす栽培における支柱の必要性とメリットについて詳しく解説します。
株の生長を助ける
なすは大きく育ってくると節が増え、株の背丈もぐんぐんと伸びていきます。そのまま支柱を立てずにおくと、株が重みに耐えきれなくなり、せっかく育った枝が折れてしまいます。枝が折れると、株自体が傷むことに繋がり、生育不良や収穫量の低減を招きます。
このような事態を避けるため、なすがある程度育ったら必ず支柱を立てましょう。支柱を立てることで枝が上へ伸び、株の生長を助けます。株が順調に育っていけば、夏にはたくさんの美味しい実を収穫することができますよ◎
実の重みを支える
なすは1本あたり約150gほどの大きな実を付けます。収穫期が近づき、大きくて重みのあるなすがたくさん実ってくると、当然株への負担も大きくなります。
支柱を立てずにそのまま結実させてしまうと、最悪の場合なすの実ごと株が倒れてしまいます。せっかく実ったなすを収穫まで育て上げるには、実の重みを支える支柱の存在が欠かせないというわけです◎
なすの支柱はいつ立てる?
なすの支柱を立てるタイミングは主に2回あり、まず植え付けのタイミングで仮支柱を立て、次に整枝のタイミングで本支柱を立てます。仮支柱は植え付けたばかりの苗を支える役割があり、本支柱には成長した枝を支える役割があります。
プランターなどでコンパクトに栽培する場合、本支柱のみでも十分育てることができますが、地植えで栽培する場合、風などの影響で茎が折れたり、苗が倒れてしまう恐れがあるため、植え付けの時点であらかじめ支柱を立てておくのがおすすめですよ◎
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※2024年8月のデータなすに立てる支柱の種類と選び方
支柱には様々な種類があり、それぞれに違った特徴やメリットがあります。栽培方法や株の成長度合いに合わせて、最適なものを選びましょう!以下の表では、なす栽培におすすめな3つの支柱の種類について、特徴をまとめてます。支柱選びに迷っている人はぜひ参考にしてください◎
イボ付き園芸支柱 | リング支柱 | アーチ支柱 | |
---|---|---|---|
特徴 | イボ付き園芸支柱 | 栽培スペースが狭くても誘引しやすく、初心者におすすめ。 | 雨よけを作りたいときにおすすめ。イボ付き園芸支柱と組み合わせて高さも調整できる。 |
適している栽培方法 | 地植え、鉢植え、プランターなど | 鉢植え、プランター | 地植え、プランター |
イボ付き園芸支柱は、最も一般的な支柱で、なす栽培では長さ90〜240cmくらいのものがおすすめです。イボ状の突起に紐やクリップを引っかけて、簡単に誘引することができます。
リング支柱は、栽培スペースの狭い鉢植えやプランターでの栽培に適した支柱です。数本のイボ付き園芸支柱をリングで固定できる作りになっているので、安定感があります。
アーチ支柱は、ビニールやネットを被せて、株を雨風や病害虫から守るのに役立ちます。小さめサイズも販売されているので、地植えだけでなくプランター栽培にも活用できます。
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なすの支柱の立て方
ここからは、具体的ななすの支柱の立て方について紹介します。
支柱の立て方は、株をどのように仕立てるかによって変わります。また支柱の種類選びと同様に、地植えや鉢植えなど栽培方法によっても最適な支柱の立て方は異なります。今回は、初心者でも簡単にできる、基本的な支柱の立て方を3つ紹介するので、好みの仕立て方や栽培方法に合わせて検討してみてください◎
1本仕立て
1本仕立ては、最もシンプルな方法で、上からまっすぐ伸びている数本の枝に沿うように支柱を刺していきます。支柱は強風で倒れてしまわないように15cm程度の深さで刺しましょう。上から見ると、しっかり枝に沿っているかが確認できます。
この方法は、仮支柱や鉢植え栽培など、小さめの株に対して有効です。地植えなどで株が成長してきた際には、2本仕立て、または3本仕立てにするのが良いでしょう。
V字2本仕立て
V字2本仕立ては、1つの株から枝を2本伸ばし、2本の支柱をV字に交差させて立てる方法です。この方法は合掌式ともいい、メリットとしては日当たりと風通しが良くなり、色付きの良い実を収穫できるうえ、葉による風すれの傷がつきにくくなるなどが挙げられます。
また土壌が柔らかすぎたり、支柱が深く刺さらないなど、直立式では不安な場所でも支柱を立てることができるため、幅広い栽培方法で活用できます。
3本仕立て
3本仕立ては、なす栽培では最も主流となっている方法です。3本仕立てには2段階の手順があり、まず植え付け時に主枝を誘引するための支柱を立て、誘引しておきます。その後、側枝が生長してきたら支柱を2本追加し、向きを合わせて2本の側枝を誘引します。
この方法は逆ピラミッド式ともいい、完成するとピラミッドを逆さにしたような形になります。強度が不安な場合は、支柱どうしが重なっている部分を結束バンドなどで固定しておくと安心ですよ。
なすを支柱に誘引する方法
なすを支柱に誘引する際は、主に以下のような道具を使用します。
- 紐
- 誘引クリップ
- 誘引テープ
紐を使って誘引する場合、麻紐やビニール紐などご家庭にあるものを使ってOKです。2~3節に1回を目安とし、株と支柱を紐で結びつけるようにして固定しましょう。
誘引クリップは、園芸店やホームセンターなどで販売されており、クリップ1つで簡単に誘引できる便利アイテムです。やや費用はかかりますが、株の数が多い場合などは作業を時短できるためおすすめですよ。
誘引テープも、誘引クリップ同様に園芸店やホームセンターで購入できます。また誘引クリップより低コストで、紐を使うより作業量を減らせるため農家では多く採用されています。
まずは食べてみて!山形県の美味しいなす
山形県は、日本を代表するなすの名産地。県内各地では毎年夏から秋にかけて、大ぶりで甘いなすがたくさん収穫されています。中でも人気品種となっている「くろべえ」は、柔らかくとろけるような食感で、煮ても焼いても美味しく食べられます◎
これからはじめてなす栽培をはじめようと思っている人は、まず育てたい品種を決めることからスタートするのがおすすめ!山形県の美味しいなすを食べて、自分でも育ててみたいと思えるお気に入りの品種をぜひ見つけてみてください。
なすを食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!