はじめに
マルゲリータピザやジェノベーゼでおなじみのバジルは、爽やかな香りが特徴的で、料理に彩りを添えてくれます。ご家庭でも気軽に栽培でき、トマトやキャベツの隣に植えるコンパニオンプランツとしても人気の高いバジルの育て方を、栽培のプロフェッショナルであるJAとぴあ浜松の営農指導員さんが解説します。
家庭菜園でバジルを育てよう!
道具の用意
- 深さ10㎝前後のバット(底に穴があるタイプ)
- 土
- バジルの種
- じょうろ
- 新聞紙
- 3号ポリ鉢
- 堆肥
- 化学肥料
- 鍬(くわ)
苗づくり
バジルの種は温度が20℃以上になると発芽します。4月下旬から5月にかけて、気温が安定して霜にあたる心配がなくなったら種をまきましょう。
- バットの8分目くらいまで土を入れて、7〜8cm間隔の列になるよう種を撒きます。
- 種がぎりぎり隠れる程度に薄く培養土をかけ、表面を板などで平らにならします。
- じょうろでまんべんなく水をかけます。バットの下の穴から水が出てくるまでたっぷりとかけましょう。
- 発芽に最適な25℃前後に温度を保ちます。バットの上に新聞紙を1枚かぶせることで乾燥を防ぎましょう。
- 表面が乾いていないか、種の部分が湿る程度に水を与えます。
- 1週間程度で本葉が出始めるので、苗の間隔が1〜1.5㎝になるように間引きをおこないます。間引いた小さなバジルも食べることができます。
- 本葉が1~2枚出た頃に、ポリ鉢に植え替えます。
- 本葉が5~6枚になったら畑に定植します。
苗が小さいときに10℃以下の低温にさらされると生育が進まず、早期に花芽が出てきて収量や品質が低下します。苗づくりはバジル栽培の要です。保温・加湿を怠らないように心がけましょう。
畑の準備・植え付け
苗づくりと並行して、畑の準備を進めましょう。ここでは露地栽培の方法をご紹介します。
- 畑1㎡あたりに、堆肥5〜6にぎり、化学肥料大さじ3杯、油粕大さじ5杯を加えて、鍬でよく混ぜます。
- 鍬を使って、幅90㎝、高さ10〜15㎝の畝を立てます。畝間は40㎝程度とりましょう。
- 苗と苗の間隔を50cm開けて、ひとつの畝に2列ずつ交互に苗を植えていきます。
追肥
定植後は、20日〜25日に一回程度を目安に、1㎡あたりにつき大さじ1〜2杯の化成肥料を苗の根元にかけます。苗が成長したら根元ではなく通路にかけるようにしましょう。
収穫
養分が花に取られると葉っぱの味や香りがおちてしまうため、花蕾(つぼみ)が開く前に収穫します。また、枝分かれしてきたら、摘心を兼ねてその先端を摘み取りましょう。
摘心とは、先端の新しい芽を摘み取ることで、植物の中心だけではなく側面の枝を成長させることを指します。摘心をすると枝分かれが増えるため株が横に広がりやすくなり、草丈をコントロールし、収穫量も増やすことができます。
コンパニオンプランツとしても大活躍!
バジルはコンパニオンプランツとしても効果があることが知られています。コンパニオンプランツとは、一緒に栽培することで互いに良い影響を与え合う植物の組み合わせを指します。
バジルとトマト/ミニトマトは代表的なコンパニオンプランツです。バジルは水分や窒素(N)を多く必要とするため、土壌の養分・水分過多を防いで甘くて美味しいトマトをつくることができます。また、トマトの葉の青臭い香りをモンシロチョウやアオムシが嫌うため、バジルの食害も避けることができます。
バジルをトマトと一緒に植える際には、トマトを中心に植えてその脇にバジルを植えるようにしましょう。プランターで栽培する場合は、バジルとトマトの間は5㎝以上離します。地植えの場合には50㎝の間隔を確保できるとよいでしょう。バジルが成長するとトマトの根元付近で空気の通りが悪くなるため、バジルを積極的に収穫して風通しの良い環境を保ちましょう。
そのほかにも、キャベツなどのアブラナ科やナス科の野菜と組み合わせた場合、バジルの香りによってアブラムシ、コナジラミなどの害虫を遠ざける効果が期待できます。
終わりに
今回は、農業のプロフェッショナル・JA営農指導員監修のもと、家庭菜園でのバジルの育て方についてご紹介しました。種まき、苗づくりを丁寧に行って、美味しいバジルを育てましょう。バジル栽培の豆知識!バジル栽培で知っておきたい2つの病気と3つの害虫 ではバジルに発生する病害虫の種類とその対策について書いています。
JAとぴあ浜松の公式ホームページでは、バジル以外にも、四季折々の作物を家庭菜園で上手に育てるコツを紹介しています。栽培現場のプロの技が満載ですので、こちらも併せてご覧ください!