はじめに
耕した時はすごくふかふかだったのに、いつの間にがガチガチでひび割れた土に戻ってしまう、そんな経験はありませんか?
この記事を読んで土のことをしっかりと理解し、ふかふかした土を作りましょう。
土が固いのはなぜ?
土が固いのは団粒構造が発達していないからです。家庭菜園においてふかふかな土というのは団粒構造が発達した土のことを指しています。団粒構造が発達した土は様々な面で野菜にとって好ましい環境です。特に水はけや通気性といった土壌の物理性が良い状態になることが知られています。
土壌の物理性など、良い土についてもっと知りたい方はこちらの記事からご覧ください
畑の土壌を改良して発育を促す!より大きく、より多く育てよう | AGRIs
畑で家庭菜園をはじめてみたいけどなぜかうまく育たない。その原因は土にあるかもしれません。この記事では良い土の基本原則3つを紹介し、土壌改良の代表的な方法を解説します。
https://www.agri-smile.app/articles/soil-improve
団粒構造とは?
団粒構造が発達した土は、土の中に空気と水をたくさん含みます。理想的には、固相(土や有機物)・液相(水)・気相(空気)の割合がほぼ同じぐらいの40%:30%:30%になった土が良いとされています。
粘土質や砂質といったその土地ごとの土の性質を変えることは大変ですが、団粒構造をつくることで、ふかふかな土を作ることができます。では、団粒構造の詳しい仕組みはどうなっているのでしょうか。
土の粒が塊になる
土の成分は、砂や粘土といった細かい鉱物と生物由来の有機物に分けることができます。目に見えている土はこれらが複合したもので、実際には目に見えないほど微細な粒子からできています。
微細な粒子は、粘土鉱物が持つ微弱な静電気によって互いにくっつきます。また、土壌微生物が出す分泌物も接着剤の役割を果し、大きな塊を作ります。これが団粒です。
ミクロ団粒とマクロ団粒
実は団粒にも種類があります。粘土鉱物の静電気力や微生物の分泌物で接着する直径0.25mm以下の小さな団粒をミクロ団粒と言います。一方で複数のミクロ団粒が糸状菌の菌糸によって集まった大きな団粒をマクロ団粒と呼びます。
ミクロ団粒とマクロ団粒があることで、土壌中に隙間ができ、より空気や水が通りやすい土になっています。
通気性・水はけに優れる
団粒という大きな塊ができることによって、団粒同士の間に隙間ができます。この隙間に空気や水が入りやすくなるため、ふかふかな土になるのです。単粒構造の土では粒子同士が隙間なく並んでおり、水や空気が入り込む余地がないことが下の模式図からも分かります。
ふかふかにする方法
土をふかふかにする具体的な方法についていくつか代表的な方法を紹介します。
土壌改良材を入れる
堆肥や腐葉土などの有機物を入れることで団粒構造の発達を促進します。化学肥料しか与えないと土中の微生物のエサがなくなってしまい、土中に残っている有機物が分解され尽くされます。接着剤の役目を果していた有機物も消えるため、団粒構造が壊れます。
また、土地柄として粘土が極めて多い土壌では有機物だけでは団粒化が難しい場合もあります。粘土質の改善のためにバーミキュライトや赤玉土などの土を混ぜ込むことも検討しましょう。
市販の土壌改良材は様々な土や有機物がブレンドされているため、そちらを購入するのも一つの手でしょう。
マルチをする
土が固く締まってしまうのは、雨粒が地表面に当たることが原因のこともあります。マルチを張って栽培することで、ふかふかを保つことができます。
カバークロップをする
カバークロップはリビングマルチや植物マルチとも呼ばれる緑肥の一種です。土の表面を露出させないことで雨粒が当たるのを防ぐとともに、土中環境を安定化させて団粒構造の発達にもつながります。
不耕起栽培
一般的に畑を耕すことによって、固まった土をほぐし空気を含ませる効果があると言われています。一方で耕すことによって土壌中の環境がかき乱され、せっかくできた団粒が壊れたり、土壌中の生態系が破壊されたりするのも確かです。
有機栽培を目指す農家の中には不耕起栽培という手法を取る人もいます。長期的に不耕起栽培をおこないつづけていると、土壌中の環境が安定することで野菜の生育に適した土になるという手法です。
おわりに
今回は団粒構造の仕組みやつくり方を紹介しました。ふかふかな土を作って、いきいきと育つ野菜をぜひみたいですね。
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