選果機とは？
選果機とは、果物の品質を自動的に検査し、規格外の品物を選別する機械のことです。大規模な果物選果場では、選果機が果物の等級付けを行っています。
選果機には様々な種類がありますが、主に以下の3つの機能で果物の品質を判断します。
- 外観検査：カメラで果実の大きさや形状、表面の色や傷を検査します。
- 重量選別：ベルトコンベアの振動で果実の重さを測定し、規格外の重量のものを排除します。
- 内部品質検査：光センサーを使い、果実内部の糖度や熟度などの品質を非破壊で検査できます。
選果機は人手に比べて格段に高い能力を発揮します。特に、内部品質の検査では人の目では判別しきれない部分まで機械が見抜くことができるのが大きなメリットです。
このように、選果機は生産者が出荷する前の果物の品質管理に欠かせない装置となっています。
光センサー選果機の仕組み
ここからは、光センサー選果機の仕組みを紹介します。
光を使って果物内部の糖度や熟度を非破壊で測定
光センサー選果機は、光を用いて果実内部の品質を非破壊で検査することができます。
具体的には、果実に光を当てると、その透過光や反射光の強度が糖度や熟度によって変化します。この光の強弱を高感度のセンサーで捉え、予めプログラムされた判別基準に基づいて果実の内部品質を自動的に評価するのです。
例えば、熟した果実ほど糖度が高くなるため透過光が弱くなります。センサーがこの透過光の強さを検知することで、果実の糖度や成熟度合いを正確に把握できるわけです。
こうした非破壊による内部検査は、人の目では判別が困難な果実の品質を、光を使って客観的かつ高精度に評価することを可能にしています。
透過光や反射光の強度から品質を判別
光センサー選果機は、果物に光を当て、透過光や反射光の強度から内部の糖度や熟度を非破壊で測定します。
果物に光を当てると、光は一部が反射し、一部が果実内部を透過します。この透過光と反射光の強度は、果実内部の糖度や熟度によって変化します。
例えば、透過光が強ければ果実内部が軟らかく熟していることを示し、反射光が強ければ果実が硬く未熟であることがわかります。このように、透過光と反射光の強弱のパターンから、選果機が自動で品質を判別するのです。
このように、透過光と反射光の強度を測ることで、目視では判断しづらい果実内部の状態を正確に知ることができるのが光センサー選果機の大きな特徴です。
光センサー選果機のメリット
ここからは、光センサー選果機のメリットを紹介します。
内部品質を詳細に検査できる
光センサー選果機は、果物の内部品質を詳細に検査することができます。従来の目視選別では判別が難しかった糖度や熟度を、非破壊で正確に測定できるのが大きな利点です。
例えば、りんごの糖度を測定する場合、透過光の強度を利用します。
- 透過光の強度が弱ければ ⇒糖度が高い(熟している)
- 透過光の強度が強ければ ⇒糖度が低い(未熟)
と判断できます。反射光の強度からも同様に内部品質を推定できます。
このように、光の透過や反射の性質を利用することで、目視では分からなかった果物の内部品質を客観的に評価できるのです。さらに複数の光センサーを組み合わせた複合式センサーでは、より高精度な選別が可能になります。
つまり光センサー選果機の最大のメリットは、果物の本当の価値を適切に見極められる点にあります。これにより、過剰な廃棄ロスを防ぎ、付加価値の高い商品を提供できるのです。
果物の価値を適切に評価可能
光センサー選果機は、果物の内部品質を非破壊で詳細に検査できるため、その価値を適切に評価することができます。
例えば、リンゴの糖度は外見からはわかりません。しかし、光センサーで透過光や反射光の強度を測定すれば、リンゴ内部の糖度を正確に推定できるのです。
つまり、光センサー選果機を使えば、人の目では判別しづらい内部品質まで考慮して、果物の本当の価値を適切に評価できるのです。これにより、生産者への適正な支払いや、消費者への新鮮で価値の高い果物の提供が可能になります。
人手で選別するよりも効率的
光センサー選果機は人手による選別と比較して、はるかに効率的な選果作業が可能です。
まず、選果の速度が人手を大きく上回ります。1時間あたりの処理量は、人手の数倍~数十倍となることが一般的です。大規模な選果場では時間当たり数トンという処理能力を有する選果機が導入されています。
さらに、人手に頼る選果では見落としや選別の均一性に難があるのに対し、光センサー選果機なら果物1個1個の内部品質を正確に検査できます。均一な選別基準を適用できるため、商品価値に見合った適正な選別が行えます。
このように、光センサー選果機の導入により、選果作業を大幅に効率化し、人手に頼る場合の課題を克服できるのです。
光センサー選果機の種類
ここからは、光センサー選果機の種類について詳しく紹介します。
透過光式センサー
透過光式センサーは、果物の内部を透過する光の強度を測定することで、糖度や熟度を判別する選果機です。
センサー部に光源があり、この光を果物に照射します。果物内部を透過した光の強度は、糖分濃度や熟度によって変化します。透過光の強度を測定することで、果物の品質を非破壊で評価できるのが特徴です。
例えば、リンゴなどの果物では、透過光の強度が強いほど糖度が高く、熟度が進んでいることを示します。この原理を利用し、透過光の強度が一定の範囲内であれば合格、範囲外であれば不合格とカテゴリー分けされます。
このように、透過光式センサーは簡便に果物の内部品質を判別できる優れた選果機の一種です。
反射光式センサー
反射光式センサーは、果物の表面に光を当て、その反射光の強度を測定することで品質を判別する方式です。
反射光の強度は、果実の熟度や糖度によって変化します。 未熟な果実は、表面が平坦で光を強く反射するため、反射光が強くなります。 一方、熟した果実は表面が粗くなり、光が乱反射するため、反射光が弱くなる傾向があります。
【反射光の強弱の違い】
- 未熟な果実(反射光強)→〇〇〇
- 熟した果実(反射光弱)→△△△
このように、反射光の強弱を検出することで、果実の熟度を非破壊で判別できます。
ただし、反射光式センサーは果実の表面状態にのみ着目するため、内部の品質は判断できません。 内部品質の検査が必要な場合は、透過光式センサーや複合式センサーが適しています。
複合式センサー
複合式センサーは、透過光式センサーと反射光式センサーの両方を組み合わせた選果機です。 2種類のセンサーを使うことで、果物の外観だけでなく内部の状態もより詳細に検査できます。
例えば、透過光式センサーで果実の糖度を測定し、反射光式センサーで外観の色づきや形状を評価します。これらのデータを組み合わせて総合的な品質判定を行うのが複合式センサーの特徴です。
複合式センサー選果機のメリットは以下の通りです。
- 品質検査の精度が高い
- 選別作業の自動化が可能
- ロスの削減につながる
一方で、導入コストが高くなる点やセンサー調整が複雑になる点はデメリットとして挙げられます。
このように複合式センサー選果機は、より高度な選別を実現する半面、十分な準備と検討が必要となります。しかし、今後の需要拡大が見込まれる選果機の1つです。
光センサー選果機導入の留意点
ここからは、光センサー選果機導入の留意点について紹介します。
機種選定は専門家に相談する
光センサー選果機には様々な種類があり、用途や対象となる果物の種類によって最適な機種が異なります。自社の選果ラインに合わせて機種を選定する際は、メーカーや専門家に相談するのが賢明です。 専門家には以下の点を相談しましょう。
- 選果対象の品種や品質基準
- 処理能力(時間当たりの処理量)
- 設置スペースの制約
- 導入コストと維持コスト
- データ解析や操作性の要件
メーカーによっては、こうした要件をヒアリングした上で最適機種を提案してくれるところもあります。また、既存ユーザーの利用事例なども参考になるでしょう。
専門家に相談することで、無駄な機種選定ミスを防ぎ、効率的な選果ラインを実現できます。光センサー選果機への投資は長期に渡るものですから、事前の準備は重要です。
導入コストと維持コストを考慮
光センサー選果機は優れた機能を持つ反面、高価な設備投資が必要です。機種や付属機器によって価格は大きく変わりますが、中小規模の選果場で導入する場合、数百万円から数千万円の初期コストが見込まれます。
また、定期的なメンテナンスや消耗品の交換が欠かせません。
例えば光源ランプの寿命は、約1万時間と言われています。 作業時間が1日8時間とすると、約3年で交換が必要になります。
| 部品名 | 交換費用(目安) |
|---|---|
| 光源ランプ | 10万円前後/台 |
| ベルトコンベアなど | 20万円前後/年 |
このように、ランニングコストも無視できない金額となります。機械を長期間安定稼働させるには、メーカー保守契約の締結も有効な手段です。
初期投資額とランニングコストを見積もり、選果場の事業規模と照らし合わせて、総合的にメリットがあると判断できれば光センサー選果機の導入は検討に値するでしょう。
作業員への十分な教育が必要
光センサー選果機の導入は単に機械を設置するだけでは十分な効果は得られません。作業員への適切な研修が不可欠となります。作業員には以下の点について教育する必要があります。
【機械の構造と操作方法】
- 機械の各部品の名称と役割
- 正しい操作手順 ・異常時の対処法
【選果基準の理解】
- 選果の評価基準(糖度や熟度の基準など)
- 基準外の果物の扱い方
【データの解釈】
- 選果結果データの見方
- データに基づいた改善点の特定
このように、光センサー選果機を最大限に活用するには、機械自体の操作はもちろん、選果基準や選果データの解釈力も求められます。作業員への継続的な教育により、選果の品質向上と生産性の維持につなげることができるのです。
まとめ：光センサー選果機の展望
光センサー選果機は、果物の内部品質を非破壊で詳細に検査できる革新的な機器です。人手による選別に比べて格段に効率的であり、糖度や熟度に応じて適正な価格評価も可能になります。
現在、透過光式、反射光式、複合式の3種類が主流ですが、今後はAIやIoT技術の進化に伴い、より高精度な選別が実現するでしょう。例えば、果実の微細な色味の違いから品質を判断するAI選果機の登場が期待されています。
| 従来の選果機 | 次世代の光センサー選果機 |
|---|---|
| 単一の光センサ | 複数の高性能センサー/台 |
| 人手による目視確認 | AIによる自動判別 |
| 人手による目視確認 | AIによる自動判別 |
このように、IoTとAIの融合によって、より低コストで高度な選別が可能になる見通しです。農家の皆様には、新しい光センサー選果機の動向に注目していただきたいと思います。
