そもそも「連作」とは?連作するとどんな悪いことがあるの?
連作とは、同じ(似たような)作物を同じ畑に植えてしまうこと
連作とは、毎年同じ作物を同じ畑で植えてしまうこと。全く同じ作物でなくても、同じ科であれば殆どの場合良くありません。例えば、アブラナ科である、キャベツとホウレンソウを同じ畑で連続して育ててはいけないのです。
さらに、二年連続で植えるのはもちろんダメですが、一度ある作物を植えた畑は、それと同じ科の作物は〇年植えることが出来ません。
例えば、アブラナ科であるホウレンソウとキャベツは1年間空ければ植えることが出来ますが、トマトとナスが4年程度など、作物の種類によってその年数は大きく異なります。
また、連作せずに同じ場所に順にさまざまな作物を植え付ける方法のことを「輪作」といいます。
連作すると、作物は病気にかかりやすくなる
連作をすると、作物は上手く育たなかったり、病気になりやすくなったりするという問題が生じます。これを「連作障害」と呼びます。
例えば、同じナス科のトマトとナスを、同じ畑に続けて栽培すると、収量や品質が悪くなり、病害虫の発生が多くなってしまいます。
ちなみに、作物は「科」といういくつかのグループに分けることができます。例えば以下のようなものが代表的です。これらを知っていると連作に気を付けやすくなります。
- アブラナ科 キャベツ・ブロッコリー・コマツナ・ダイコン
- ナス科 トマト・ピーマン・ ナス
- ウリ科 キュウリ・カボチャ・ズッキーニ
- ユリ科 タマネギ・ニンニク
- セリ科 ニンジン・パセリ
なぜ連作障害って発生する?
連作の基本がお分かりいただけたでしょうか?同じ科の作物を同じ畑で栽培することにより生じる不具合である連作障害。次に、この連作障害が生じるしくみについて紹介します!
ある作物を育てた畑で、つづけてまたは一定期間内に、同じ科の作物を育ててしまうと連作障害が生じます。連作障害は、以下のように大きく3種類に分類することが出来ます。
土壌病害
土壌中に特定の細菌・カビ・ウイルスなどが増加しすぎてしまうことで、それらの微生物が根や葉に侵入して病気を引き起こしてしまいます。
生理障害
土壌中の栄養素がかたよることで、作物は栄養素の過剰や不足が起こり正常に生育できなくなります。
線虫害
土壌中の栄養素など環境にかたよりが生じることで、線虫にとって好ましい環境となり、大量増殖します。線虫は、多くの作物の成長を阻害するような病気を引き起こします。
上記3つに共通するのが、土壌環境のバランスが崩れるということ。通常では、さまざまな微生物や栄養素がバランスよく土壌中に存在していますが、それぞれの作物は特定の栄養素を利用したり、特定の微生物を増殖させたりします。
そのため、本来であれば輪作や土壌改良をして「バランスのとれた土壌」に戻す必要があるのにもかかわらず、連作をしてしまうとそのバランスの崩れを悪化させることになるのです。
どうすれば連作障害は発生しない?
ここまで、連作障害の怖さをみてきました。最後に、連作障害を発生させないための予防法を学んでいきます!
連作障害を起こさない一番の方法は何でしょうか?
それは、つづけて同じ科の作物を育てないこと、つまり「輪作」をすることです!連作をしなければ連作障害はおきないですよね。
輪作では同じ科の作物を一定期間内に同じ畑に植えないように、農地をうまく管理しましょう。
しかし、どうしても場所が限られていてやむを得ない場合や、また、輪作以外にも出来る対策はないの?という方もいらっしゃると思います。以下の二つの方法を紹介します。
土壌改良をおこなう
土壌改良とは、土壌を性質や成分を改善することです。これにより、植物が健康に育ち、良い収穫を得ることができます。具体的には、栄養の補充やバランス調整、水の通り道や空気の流れを整えること、有機物を加えて土壌を豊かにします。
土壌改良について詳しく知りたいかたはこちらの記事へ:「土壌改良」
土壌消毒をおこなう
土壌消毒とは、土壌中の糸状菌や細菌、ウイルスを死滅させること。そのため、土壌消毒をおこなえば連作障害のリスクを軽減することが出来ます。
簡単な土壌消毒の方法としては、太陽熱消毒や寒起こしなどがあります。
【夏】太陽熱消毒
レーキや土ふるいで被害を受けた株の根をすべて取り除き、土を透明なビニール袋に入れて水分を含ませ密封します。2~3日ごとに袋の両面をひっくり返して、直射日光に長時間当てます。道具も必要最低限で済む、夏におすすめの方法。
【冬】寒起こし
一方、冬は晴れていて風のない日に、土を掘り返します。その後、1ヶ月ほど寒さにさらします。このとき、土が含んでいる水分の凍結や解凍を繰り返すことで害虫や病原菌へダメージを与えられます。道具がいらない、冬におすすめの方法です。
土壌消毒について詳しく知りたいかたはこちらの記事へ:「土壌消毒」
またこれらに加えて、最近注目されているのが微生物資材。水溶性のものが扱いやすくおすすめ。(マスターピース水和剤など)
連作障害が発生してしまった圃場についてもすぐに土壌消毒をおこない、その後 微生物資材を施すと良いでしょう。その後も1か月ごとなど定期的に施肥し続けます。
微生物資材とは
微生物資材とは、その名の通り、微生物が含まれています。資材中の微生物は植物の健康にとって良い微生物がおおく含まれているだけでなく、これらが土壌中で増殖することで病原菌の増殖を抑えることができるのがすごい点!
おわりに
今回は連作障害について紹介しました。連作障害の発生の原因がわかったことで、輪作・土壌改良・土壌消毒など基本を徹底することの重要性をお分かりいただけたでしょうか?
本記事を参考にして、ぜひ連作障害の対策に挑戦してみてください!