「パクチー(コリアンダー)の栽培は難しいのだろうか」
「パクチーの育て方や種まきをする時期を知りたい」
このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
パクチーはセリ科の一年草で、日本では料理のスパイスとして活用されています。パクチーは「コリアンダー」と呼ばれることもありますが、どちらも同じ植物のことです。
英語圏では「コリアンダー」、タイ語では「パクチー」、中国では「香菜(シャンサイ)」と呼ばれるなど、地域によって呼び名が異なります。
このように様々な呼び名があるパクチーですが、家庭菜園で育てる場合はどうすれば良いのでしょうか。本記事では下記の内容について解説しています。
- パクチーを育てる前に知っておきたいこと
- パクチーの栽培方法
- パクチーを収穫し続ける方法
- パクチーを育てるうえで注意すべきポイント
ご家庭でパクチーを栽培しようか考えている方はぜひご一読ください。
パクチー(コリアンダー)を育てる前に知っておきたい3つ
パクチーを栽培する前に知っておきたいことを3つご紹介します。
- 栽培環境を整える
- 栽培に必要なモノを揃える
- 水やりのポイントを理解する
栽培環境と水やりのコツを把握すれば、パクチーをうまく育てやすくなります。まずはパクチーの栽培環境について確認していきましょう。
栽培環境を整える
まずはパクチーの栽培に適した、日当たりの良い環境を用意しましょう。プランターで育てるなら、自宅のベランダや窓際といった日が当たりやすい場所がおすすめです。
パクチーの発芽適温は17〜20℃前後、生育温度は18〜25℃前後です。真夏や真冬など、気温が極端に暑かったり寒かったりする場合はうまくパクチーが育ちません。また土が乾燥しすぎていたり蒸れていたりする場合、パクチーが元気に育ちにくいです。
なお、パクチーは水耕栽培でも育てられます。水耕栽培とは、土に植えず水と液体肥料で植物を育てる方法です。ネット通販では初心者向けのパクチー向け水耕栽培キットも多く販売されているため、興味のある方はチェックしてみましょう。
自宅でパクチーを栽培する場合に必要なモノは、下記のとおりです。
- 苗もしくは種
- プランター(もしくは畑)
- 培養土
- 鉢底石
- 土
はじめて家庭菜園にチャレンジする方は、パクチーの苗からプランターで育てるのがおすすめです。慣れてきたら種から栽培したり、本格的に栽培するなら畑を用意したりしましょう。
水やりのポイントを理解する
パクチーへ水やりを行う回数は「1日1〜2回」が適切です。
パクチーは水を好む植物です。土が乾燥しないよう、たっぷりと水を与えましょう。ただし水を与えすぎてしまうと、根腐れを引き起こしかねません。土を触って十分に湿っているようであれば、水やりを控えましょう。
水やりは基本的に午前中の1回と、真夏の暑い時期は夕方にも追加で1回水を与えるぐらいのペースで十分です。
パクチー(コリアンダー)の栽培方法
ここからはパクチーの栽培方法について、全体の流れをもとに解説します。
- 育てる種を選ぶ
- 土作りを行う
- 種をまく
- 追肥を行う
- 間引きを行う
- 収穫する
各段階で具体的に何をするのか、さっそく栽培方法を見てみましょう。
育てる種を選ぶ
まずは育てるパクチーの種を購入しましょう。家庭菜園で選ばれやすいパクチーの種類は下記の3つです。
- パクチー・ラー
- パクチー・ファラン
- パクチー・ラオ
パクチー・ラーは日本でもっとも目にする品種です。タイ料理やベトナム料理に入っています。
パクチー・ファランは別名「ノコギリコリアンダー」と呼ばれています。ギザギザしている大きな葉っぱが特徴的です。
パクチー・ラオは日本では「ディル」という名称で呼ばれています。3種類の中で香りが最も強く、肉・魚料理の香り付けとして活用されている品種です。
特にこだわりがなければ、日本で一般的な「パクチー・ラー」の栽培がおすすめです。
土作りを行う
パクチーを元気に育てるためには、栄養をたっぷり含んだ良い土を利用する必要があります。ただしプランターで育てる場合は、無理に土づくりを行う必要はありません。ホームセンターで家庭菜園用の培養土を手軽に購入できるからです。
畑で栽培する場合は、パクチーが元気に育つよう、土づくりを行う必要があります。植え付けの前に苦土石灰や腐葉土、化成肥料などをまいて耕しましょう。
土を作りはじめるタイミングや配合の調整などに気を遣う必要があるため、初心者には土作りが少し難しいかもしれません。家庭菜園で手軽に育てるなら、プランターと培養土の活用がおすすめです。
種をまく
パクチーの種をまく前に、まずは種の殻を割る必要があります。パクチーの種は硬い殻に覆われており、殻を割らずに種をまくと発芽しにくくなります。すり鉢を用意して殻を割り、発芽を促しましょう。ただし、種を潰してしまうと発芽しなくなります。
殻を割ったら、パクチーの種をプランターにまきましょう。1cm程度の深さの穴に種を1~2粒入れて、薄く土をかぶせます。
なおパクチーの種の殻割りに自信がない人は、苗から植えるのがおすすめです。ホームセンターなどで苗のパクチーを購入して、プランターに植えるところからはじめてみてはいかがでしょうか。
追肥を行う
パクチーの生育が悪い場合は追肥を行いましょう。追肥とは、肥料を追加で与えることです。
プランターと培養土を使ってパクチーを栽培する場合、生育状態を考慮したうえで追肥を行いましょう。培養土にはもともと植物が育つよう栄養がありますが、日頃の水やりによって土の養分が流出してしまうからです。
種を植えてから1ヶ月ごとに、生育状態を見たうえで追肥を行いましょう。
間引きを行う
パクチーが育って葉が混み合い、風通しが悪くなってきた場合は間引きを行いましょう。間引きとは、生育の良くない苗を抜くことです。元気に育ちそうな苗は残し、それ以外の苗を抜くことで、残した苗に栄養が集中して元気に育ちます。
また風通しが悪くなると、パクチーが病気になる可能性もあります。風通しが悪くなるほど密集した場合は間引きをしましょう。
収穫する
パクチーが十分に育ったら収穫をします。20センチほどの背丈になったら収穫するタイミングです。種を植えてから1~2ヶ月が目安となります。
パクチーは根っこも食べることができます。また外葉を少しずつ収穫すると、パクチーの葉を長く多く収穫することが可能です。
なおパクチーの花が咲く前に収穫できるようかないように注意しましょう。花が咲くと栄養がそちらにいってしまうからです。パクチーの花が咲いた(咲きそうな)な場合は早めに花を摘み取りましょう。
パクチー(コリアンダー)を長期で収穫し続ける方法
パクチーを収穫し続ける方法は2つあります。
- 外葉から収穫する
- 種を保存する
一つの株で新しい葉をどんどん付けるため、外葉から少しずつ収穫すると、より多くパクチーを収穫できます。
育てているパクチーの種を収穫して保存することで、来年以降も栽培し続けることが可能です。パクチーの種を収穫する場合は、花を摘まずに枯れるまで育てる必要があります。
種を保存する場合の手順は下記のとおりです。
- 種を株ごと刈り取る
- 茶色くなるまで日陰で乾燥させる
- 種を摘む
- 紙袋などに入れて冷蔵庫で保管する
保存したパクチーの種は、翌年に再び土にまいて育てることができます。
パクチー(コリアンダー)を育てるうえで注意すべき3つのこと
パクチーを育てる時に注意すべきポイントは下記のとおりです。
- 害虫対策を実施する
- 葉が密着しないようにする
- 同じ場所で連続して栽培するのを避ける
上記ポイントに注意すれば、健康で元気なパクチーを育てることができます。さっそく1つ目のポイントから確認していきましょう。
【ポイント1】害虫対策を実施する
パクチーにはアブラムシやカメムシ、ハダニといった害虫がつく可能性があります。害虫がつくとパクチーの元気がなくなったり枯れてしまったりする原因になるため、対策が必要です。
アブラムシは風通しの悪い環境を好むため、間引きを行ってパクチーの風通しを良くしてあげましょう。他の害虫は薬剤で駆除できます。
【ポイント2】葉が密着しないようにする
パクチーの葉が密着しすぎないよう、適度に間引きを行いましょう。
葉が密集した状態でもパクチーは育ちます。しかし密集しないよう間引きをすることで、下記のメリットがあります。
- アブラムシが寄りつきにくくなる
- 土の栄養をより元気な株に集中できる
健康で美味しいパクチーを育てるなら、適切なタイミングで間引きを実施することが重要です。
【ポイント3】同じ場所で連続して栽培するのを避ける
同じ場所でパクチーを栽培する時は、連作障害が発生しないよう注意が必要です。
連作障害とは、同じ場所で植物を収穫し続けることで発生する現象です。連作障害が発生すると、植物の成長が遅くなったり上手く育たずに枯れてしまったりします。
畑で育てる場合は1~2年ほど間隔を空けてからパクチーを栽培しましょう。プランターで育てる場合は、古い土を新しい培養土に入れ替えれば連作障害が発生しません。
パクチー(コリアンダー)に関するよくある4つの疑問
パクチーを栽培する時によくある疑問をご紹介します。
- パクチー(コリアンダー)の種まきの時期は?
- パクチー(コリアンダー)栽培は難しい?
- 冬にパクチー(コリアンダー)を育てる方法は?
- 水耕栽培でパクチー(コリアンダー)を育てることはできる?
各疑問について確認していきましょう
パクチー(コリアンダー)の種まきの時期は?
パクチーを育てる場合、種まきや植え付けは春(3〜5月)もしくは秋(9〜10月)がおすすめです。
また、パクチーの発芽に適した気温は20~25℃です。パクチーの種を植えるタイミングの参考にしてください。
パクチー(コリアンダー)栽培は難しい?
パクチーの栽培はそれほど難しくありません。寒さに強く、種まきから収穫まで1~2ヶ月と栽培期間も短いため、初心者でも育てやすい植物といえます。
ただし種から育てる場合、殻を割る必要があります。このとき殻と同時に種まで潰してしまうと発芽しなくなるため、初心者には難しいかもしれません。
はじめてパクチー栽培をするなら、苗を購入して育てた方が安心です。
冬にパクチー(コリアンダー)を育てる方法は?
プランターでパクチーを育てる場合、冬は室内での栽培をおすすめします。霜がおりると株が弱くなるからです。
もし畑で栽培している場合は、トンネル栽培(防寒シートをトンネル上に建てる方法)やマルチング(ビニールで地面の上を覆う方法)など、パクチーに霜がかからないよう工夫する必要があります。
水耕栽培でパクチー(コリアンダー)を育てることはできる?
パクチーは水耕栽培で育てることができます。水耕栽培とは、土を利用せず水と液体肥料を活用して育てる方法です。
土で育てる場合と比較して、初期費用や水質管理などの手間がかかります。一方で害虫がつくリスクが少なく、天候にも左右されないため安定した環境で育てることが可能です。
ネット通販で販売されている水耕栽培キットはおしゃれなデザインのものがあり、室内の良いインテリアにもなるでしょう。
パクチー(コリアンダー)の栽培は決して難しくない
本記事ではパクチーの育て方を中心に解説しました。パクチーは家庭菜園が初めての方でも育てやすい植物です。
ただし殻を割るのが少し難しかったり種がうまく発芽しなかったりする可能性があるため、最初は苗を購入して育てることをおすすめします。
害虫や連鎖障害などに注意しつつ、さっそくパクチーを育ててみませんか。プランターや種(もしくは苗)は、ホームセンターから手軽に購入できます。