シュンギクとは
学名 | 和名/別名 | 分類 | 原産地 | 発芽適温 | 生育適温 |
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Glebionis coronaria | シュンギク/キクナ | キク科シュンギク属 | 地中海沿岸 | 15~20℃ | 15~20℃ |
シュンギクは地中海沿岸が原産のキク科の野菜です。日本に伝来した時期ははっきりとはわかっていませんが、15世紀頃にはすでに伝わっていたと考えられています。
現在、日本で栽培されているシュンギクには大きく分けて3つの種類があります。それぞれ、葉幅と切れ込みの深さによって大葉種、中葉種、小葉種と呼ばれ、最もよく栽培されているのは中葉種です。
中葉種はさらに、側枝が多く横に張り出して株ごと収穫できる「株張り型」と、茎が伸びやすいため脇芽を摘み取って収穫する「株立ち型」の2種類に大別されます。
鍋物に欠かせない葉物・シュンギクは、ビタミンや食物繊維の豊富な野菜です。特有の香りやシャキシャキとした食感が特徴です。
近年では、生でも食べられるように改良されたアクが少ない品種も登場し、家庭菜園で育てやすい野菜として人気が高まっています。
そこで今回は、シュンギクの育て方について、畑の準備や栽培管理、収穫に至るまでに必要なことをご紹介します。
栽培時期
15~20℃が生育適温で、1年の中では春まきと秋まきの2回、栽培をおこなうことができます。春まき栽培の場合には、暖かい地域では3月上旬以降、冷涼な地域では4月中旬以降に播種がおこなわれ、4月から7月にかけて収穫できます。秋まき栽培では8月から10月にかけて種まきをおこない、10月から12月にかけて収穫します。
シュンギクの栽培
土作り
シュンギクは暑さや寒さに強く、越冬も可能な野菜です。栽培に適したpHは6.0~6.5とされており、酸性土壌では病気が発生しやすくなるため注意が必要です。
まず、種まきの2週間以上前に1㎡あたり150g(約3つかみ)の苦土石灰をすき込み、土となじませます。その後、1週間前になったら1㎡につき堆肥を約3㎏、化成肥料100gをまいて、30㎝ほどの深さまでよく耕します。地表近くの石ころや土の塊を丁寧に取り除くと、発芽しやすくなります。
苦土石灰と化成肥料が土と混ざったら、畝を立てます。シュンギクは密植に適した野菜のため、10~15㎝ほどの株間があれば十分に栽培が可能です。畝幅を70cmほど取って畝をたて、条間を30cm程度あけて2列に植えていくのが良いでしょう。
畝をつくった後に黒マルチを張るようにすると、雑草の生育が抑えられる、地温を上げるなどの効果が得られます。マルチの種類や効果についてはこちらの記事をお読みください。
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播種
直まきで栽培をおこなう場合には、畑に溝を作って条まき(すじまき)をおこないます。種をまいたら覆土しますが、シュンギクは発芽に光を必要とする野菜のため、わずかに種が見える程度の薄さで土をかぶせます。種をまいたらたっぷり水をやりましょう。
新聞紙やワラ、寒冷紗をかぶせておくと、過度の乾燥を防ぐことができます。
寒冷紗
寒冷紗とは、麻や綿を平らに織り込んだ布のことです。園芸だけでなく、料理で出汁を取る際に使われたり、漆喰の下地補強に用いられたりします。畑では、育苗期を中心に頻出のアイテム。保湿だけでなくアブラムシやネキリムシなどの害虫対策、さらには風対策にも役立ちます。
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間引き
本葉が2~3枚になったら成長がよいものを残して約半分に間引きます。株間が2~3㎝になるように調整しましょう。
本葉が4~5枚にまで成長したら、今度は株間が5~6㎝になるように間引きをおこないます。最終的に株間が10~15㎝になるようにしましょう。
シュンギクの栽培:栽培管理
追肥・土寄せ
2回目の間引きに合わせて追肥をおこないます。化成肥料を1㎡あたり約30g(軽くひとつかみ)が目安です。このとき、株の周囲の土を軽く掘り起こして中耕した後、株元に土を寄せましょう。追肥は以降2週間ごとにおこないます。
病気・害虫に注意!
シュンギクの柔らかい葉は害虫にとって絶好のごちそうです。また、害虫による食害が起こると、その傷口から菌が侵入して病気が発生することもあります。定植後は2週間に1度のペースで消毒をするとよいでしょう。薬剤にあまり頼りたくないという場合には、防虫ネットをかける方法もあります。
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シュンギクの栽培:収穫
株立ち型の場合、摘心をおこないます。草丈が20㎝ほどになったら、主枝の先端を切りましょう。このとき、株元の葉を4~5枚残すようにします。摘心をおこなうことによって、脇芽の成長が促進されます。
株張り型の場合には摘心は不要です。
株立ち型は、脇芽が十分に成長したら、枝分かれしているつけ根から数えて葉を4枚ほど残し、ハサミで切って収穫します。
一方、株張り型の場合には、草丈が15~20㎝に成長したら根元から抜き取って収穫します。この方法では一つの株から一度しか収穫できませんが、株張り型であっても、脇芽を摘み取る方法を用いれば長く収穫を楽しむことが可能です。
おわりに
今回はシュンギクの栽培方法についてご紹介しました。シュンギクは家庭菜園でも手軽に栽培できる野菜です。病気や害虫に注意しながら、ぜひ一度、シュンギク栽培に挑戦してみてください。