土壌の基本知識
土壌の役割と重要性
土壌は地球上の生態系において、以下のような非常に重要な役割を果たしています。
- 作物に必要な栄養を提供する。
- 適切な水分を保持し、作物に供給する。
- 作物の根が成長する基盤となる土壌構造を提供する。
- 多様な生物が生息する場所であり、生態系を支える。
- 二酸化炭素の吸収と貯蔵に寄与し、気候変動への対抗に役立つ。
これらの役割は、農業において作物の成長や収量、環境保護などに直接影響を与える重要な要素となります。
土壌の主な成分
なぜこんなにもの役割を果たせるのでしょうか。その秘密は土壌中の成分に隠されています。
鉱物、有機物、空気、水
土壌中の成分を物質の性質によってこのように分類することが出来ます。
- 鉱物:主に土壌の骨格を形成する。
- 有機物:土壌の肥沃度や微生物活動に影響を与える。
- 空気:植物の根が酸素を必要とするため、土壌中の空気の存在が重要である。
- 水:植物の栄養吸収や生理活動に重要な役割を果たす。
これらの成分から生み出されるのが「土壌団粒」という構造です。
土壌団粒は、水や有機物が鉱物の微粒子に付着し、微生物がこれを固めることで形成されます。これにより土壌が通気性や保水性を持ち、植物の根が成長しやすい空間となったり、栄養素の循環や土壌の安定性にも繋がります。
主要栄養素、二次栄養素、微量栄養素
次に、土壌中の栄養素を植物が必要とする量に基づくとこのように分類できます。
主要栄養素
植物が大量に必要とし、生育に不可欠な栄養素。窒素、リン、カリウムなど(この三つをまとめて肥料の三要素と呼ぶ)。
二次栄養素
主要栄養素よりは少量だが、植物の成長に重要な栄養素。カルシウム、マグネシウム、硫黄など。
微量栄養素
ごく微量しか必要とせず、植物の生育にはそれほど影響を与えないが、欠乏すると問題が発生する栄養素。鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデン、ホウ素、塩素など。
このように土壌は、土壌団粒があるといった物理的な性質と、栄養素といった化学的性質の双方を持ち合わせているのです。
主要な土壌の種類
日本の畑作地の土壌は、黒ボク土、褐色森林土、低地土、赤黄色土、有機質土といったものがよく知られています。これらは地形や土壌精製過程、特性を包括して分類した名前です。
一方、物理的な性質である「土性」に基づいて土壌を分類することは、土壌改良をおこなううえで非常に有用な分類方法です。土性は、粘土と砂の混ざり具合のことで、大きく以下の三種類に分類されます。
砂土・砂壌土(さど・さじょうど)
砂粒子が主体の土壌で、水はけがよく、温暖な地域で多く見られます。保水性が低いため、肥料や水の供給が重要です。
壌土(じょうど)
砂と粘土が半々で含まれており、保水性・水はけのバランスが良いです。そのため「土壌団粒」構造が発達しやすいです。農業をおこなうのにもっとも優れている土壌といえます。
埴土・埴壌土(しょくど・しょくじょうど)
粘土粒子が多く含まれる土壌で、保水性が高く肥沃ですが、水はけが悪い特徴があります。
土壌別!栽培に適した作物と土壌改良
栽培したい作物と土壌の性質が合わない‥というこの場合におこなうお手入れのことを「土壌改良」といいます!これから紹介するような土壌改良をおこない、野菜を栽培する際の環境を整えることで、野菜の成長と収穫が期待できます!
自身の土壌がどの種類に当てはまるか分からない!という方は、コチラの記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
砂土で作物栽培したい場合
砂土で作物を栽培する場合には、保水力が低く栄養分が不足しやすいためお手入れをおこなうのが良いでしょう。
- 有機物(腐葉土、堆肥、鶏糞など)を混ぜて土壌の保水力を向上させる
- バランスの取れた肥料を与える
- 石灰などを添加して適切なpHに調整する
- 砂土は保水力が低いため、頻繁に水やりをおこなう
- 土の乾燥を防ぐため、土の表面にマルチング(わらや木くず、プラスチックシートなど)を敷く
比較的砂土でも育てやすい野菜があります。例えば、サツマイモ、ダイコン、キャベツ、トウモロコシ、カボチャなどは砂土でも比較的育ちやすい野菜です。
壌土で作物栽培したい場合
壌土はもともと保水力・排水性に優れていることが多いので、比較的簡単なお手入れだけで栽培が可能です。
- 有機物を混ぜて土壌を調整する
- バランスの取れた肥料を与える
- 石灰などを添加して適切なpHに調整する
- 適切な水やりをおこなう
埴土で作物栽培したい場合
粘土質の土壌で野菜を栽培する際には、排水性や通気性の調整、栄養補給、お手入れを行うのがよいでしょう。
- 有機物(堆肥、腐葉土、刈り取った草など)を混ぜて土壌を緩める
- 砂やパーライトなどの排水性の良い材料を混ぜて排水性を高める
- 石灰などを添加して適切なpHに調整する
- 粘土は保水性が高いため、過剰な水やりに注意する
比較的粘土質な土壌でも育てやすい野菜があります。例えば、トマト、ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、ピーマン、メロンなどです。
おわりに
本記事では土壌の種類についてご紹介しました。土壌の役割や種類について理解を深めることが出来ましたでしょうか?これらの知識をもとに、農業において土壌改良に役立てていただけると幸いです!