耕種的防除の基本知識
耕種的防除とは何か?その必要性は?
耕種的防除とは、発病しやすい環境条件を排除することにより、作物の病害の発生を抑制すること。
いくつかの方法をまとめた呼び方であるため、具体的なイメージが想像しずらいと思います。具体的には以下のような取り組みを耕種的防除と呼びます。
- 葉かきや摘芯をする
- 抵抗性品種をつかう
- 抵抗性台木をつかう
- 輪作をおこなう
- 有機資材をもちいて土壌改良をおこなう
そもそも、なぜ耕種的防除をおこなう必要があるのでしょうか。
それは、作物はなにもしないと「病害」にかかってしまうことがよくあるからです!病害にかかってしまうと以下のような被害が出ます。
- 収量がへってしまう
- 見た目や味が悪くなる
- その病気がほかの作物に伝染することもある
- 土壌消毒や土壌改良をおこなうのに手間がかかる
以上の理由から、事前に対策をおこなう必要があるのです!
そのほかの防除法の種類
以下の4種類の防除法が代表的です。()内は具体例と簡単な説明を示します。
- 物理的防除(熱消毒、ネット利用などの自然の力や物理的な道具をもちいる)
- 生物的防除(天敵、フェロモン剤などの生物の力を利用する)
- 化学的防除(農薬などの化学的な薬や肥料をもちいる)
- 耕種的防除(栽培方法や作付けで工夫をする)
防除をおこなわないと、作物が病気になって収穫量が大幅に減ってしまったり、またその病気が近くの畑の作物にまでうつるなど被害が拡大することがあります。
そのため、病気にならないように対策を施す必要があるでしょう。上記の方法のうちいくつかを組み合わせておこなうと効果的でしょう。
耕種的防除の魅力って!?
耕種的防除のメリットとデメリット!
ほかの方法と比較して耕種的防除が優れている点は何でしょうか?また、懸念点はあるのでしょうか。
メリット
- 安価で導入しやすい方法がおおい
- 高い防除効果を示す場合もある
- 作物に負荷(薬など)をかけずに防除をおこなえる
デメリット
- 確実に効果があるわけではない
- 手間がかかることも
耕種的防除はどんなひとにおすすめの方法?
以下のような方におすすめです!
- できるだけ農薬を使いたくない方!
- まずはできるだけ お金をかけずに農業を行いたい方!
- ほかの方法を試したけれど効果が得られなかった方!
耕種的防除は、4つの防除方法のなかでも最も’基本的な’防除方法であるといえます。ほかの防除方法をおこなうとしても、まずは耕種的防除をおこない基本をおさえるのがおすすめです。
耕種的防除をいざ実践!
最後に、耕種的防除の種類やそれぞれのポイントを紹介していきます!
葉かきや摘芯・間引きをする
植物が病害にならないようにするうえで、「通気性」は非常に重要です。
なぜなら、病害を引き起こす細菌や糸状菌などの微生物は、じめじめしたところが大好きだから。
そのため、通気性のよい環境では病原菌は増えづらくなります。
不要な葉や茎、植物本体を取り除くことを、順に葉かき、摘芯、間引きといいます。
これらの作業によって、残った植物に栄養がいきわたり、より大きく成長できるだけでなく、病害にもかかりづらい環境を手に入れることができるのです。
抵抗性品種・台木をつかう
抵抗性品種、抵抗性台木は、特殊な病虫害に対して、抵抗力の強い品種・台木のこと。
つまり、ある作物が非常にかかりやすい病気が事前に分かっているときや、抵抗性の品種や台木が流通している場合には、非常に取り入れやすい方法であるといえます。
輪作をおこなう
毎年同じ作物を同じ畑で植えてしまうことを連作といいます。全く同じ作物でなくても、同じ科であれば殆どの場合良くありません。例えば、アブラナ科である、キャベツとホウレンソウを同じ畑で連続して育ててはいけないのです。
連作をすると植物が病気になり、これを「連作障害」といいます!
つづけて同じ科の作物を育てないこと(これを「輪作」といいます!)で連作障害は回避できます。
輪作では同じ科の作物を一定期間内に同じ畑に植えないように、農地をうまく管理しましょう。
《おまけ》いま注目したい 土壌改良材
環境に優しい資材をもちいて土壌改良をおこなう
これも、耕種的防除のうちの一つであるといえます!
環境にやさしい土壌改良材として注目されているものは、以下のようなものがあります。劇的な変化を求める方には向いていませんが、長期的に使用するのにはどれもおすすめです!
バイオチャーコール
植物由来の原料を高温で加熱して作る炭素固体。二酸化炭素の吸収と貯留を促進し、肥沃な土壌を作ります。植物由来なので、再生可能で環境に優しいですね。
有機質の堆肥
野菜くずや植物の残さを堆肥化して作ります。再生可能な原料を再利用し、肥沃な土壌を作るため、化学肥料の使用を減らすことができます。
微生物資材
土壌内の微生物を調整し、植物の栄養利用効率を向上させます。化学肥料の削減に寄与し、環境への負荷を減らすことが出来ます。
石灰質土壌改良材
石灰を主成分とする耕種的防除材。土壌の適切なpHを保つことで、植物が栄養を効果的に吸収しやすくなり、環境への影響を抑えることができます。
これらの土壌改良材に活用されており、導入が進んでいます。
おわりに
今回は耕種的防除についてご紹介しました。「耕種的防除」って全然イメージ湧かない‥という方もいらっしゃったかもしれません。
しかし、耕種的防除は 作物が健康に育つために必要な環境づくりだということがお分かりいただけたでしょうか。
本記事を参考にして、実践できるものから実践してみてください!