ジャガイモとは
学名 | 和名/別名 | 分類 | 原産地 | 発芽適温 | 生育適温 |
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Solanum tuberosum | ジャガイモ/バレイショ | ナス科ナス属 | 南米 | 15~20℃ | 15~20℃ |
ジャガイモは南米原産のナス科の作物です。塊茎と呼ばれる肥大した地下茎を食用にします。日本には16世紀末に持ち込まれました。「ジャガイモ」の名前の由来には諸説ありますが、インドのジャカルタを経由して伝わったため「じゃがたらいも」と呼ばれるようになったという説が有力です。
ジャガイモの語源と日本伝来の歴史について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ジャガイモの語源はインドネシアに?ジャガイモの語源とその歴史 | AGRIs
カレーや肉じゃがなど、日本人の国民食ともいえる料理で大活躍するジャガイモですが、実は日本に伝わってきたのは最近でだったということをご存じですか?ジャガイモの歴史を辿ると、北海道開拓使からアンデス山脈まで、意外な物語が見えてきます。
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ジャガイモには肌の調子を整える効果のあるビタミンCが含まれています。ジャガイモやサツマイモでは、デンプンがビタミンCを保護しているため、加熱しても栄養価が損なわれないという利点があることが知られています。他に、高血圧を予防する働きを持つカリウムや、水溶性ビタミンの仲間・ナイアシンなど、様々な栄養素が豊富に含まれています。
皮が茶色で中が黄色いメークインや男爵などが一般的ですが、皮も中身も赤紫色のシャドークイーンという品種や、皮は紫で中は黄色いシェリーという品種など、様々なバリエーションがあります。異なる品種を取り合わせて植えることで、食卓にもたらされる彩りを楽しめます。
栽培の基本情報
栽培時期
ジャガイモの栽培は、春に植えつける春作と秋に定植する秋作の2つに大別されます。
春作の場合は3月に植え付けをおこなって6月~7月頃に収穫します。秋作の場合は8月に定植して11月~12月にかけて収穫するのが一般的です。
栽培環境
ジャガイモは塊茎を食用にするため、ある程度の深さがある場所で育てる必要があります。そのため、一般的には地植えにしますが、土嚢や大きなプランターを用いて栽培することも可能です。また、土質は比較的選ばないと言われており、pHが4.5~8.5程度と大きく幅がある場合にも生育できます。
比較的涼しい環境を好むため、日本では北海道が一大生産地として有名です。
ジャガイモの育て方・栽培方法
種イモの準備
ビニールハウスや納屋などの雨が直接当たらない場所で、風通しが良い環境を確保し、稲わらやもみ殻を敷いた上に種イモを並べます。できるだけ乾燥した環境で20日~30日間置いておきます。この工程によって、濃い緑色の強い芽が出るようになります。
植え付けの際には、種イモを1片40g程度になるように切ります。芽が出て葉が光合成をおこなうようになるまでの間、養分として用いられるのは種イモに含まれるデンプン質のため、あまり小さく切りすぎないように注意してください。
土づくり
畑は根が十分に伸びるように深めに耕しておきましょう。葉が混み合わないように畝幅は70cm程度取るようにします。肥料の量は土壌酸度や品種によって異なりますが、1㎡あたり窒素17g、リン酸29g、カリウム23gが一つの目安です。
土中の窒素成分が多すぎると根が肥大しにくくなり、リン酸過多だと生育が衰えてしまいます。窒素とリン酸のバランスをよく保つように気をつけましょう。
プランターや土嚢で栽培する場合には、野菜用の培養土を使用するのがおすすめです。
定植
畝の中央に鍬で浅めの溝を作り、株間30cm~40cmで芽が上を向くように種イモを置いていきます。切り分ける必要のない小さな種イモの場合は、芽の多い頂部を上にするようにしてください。
厚み3~5cm程度で覆土をします。株間を広げて栽培すると根茎は肥大しやすくなりますが、デンプン価は低下してしまいます。適度な間隔を保ちましょう。
植え付け後の水やりは必要ありません。定植を降雨後におこなうと土が湿っていて種イモが腐ってしまう可能性があるため、土が乾くのを待ってから植え付け作業を行うようにしましょう。
ジャガイモの育て方・栽培方法:栽培管理
間引き
草丈が約20cmに生長した際、1つの種イモから多くの芽が出ていたら、芽かきをして生育の良い1、2本を残します。この時、株元の土を押さえながら作業をおこない、種芋ごと引き抜いてしまわないように注意しましょう。
また、栽培後期に花が咲いている場合は、土中の根茎に使用されるべき養分が花に取られてしまうため、摘み取るようにしましょう。
中耕・土寄せ
中耕は、土をやわらかくして通気性をよくし、微生物の活動を活性化させる作業です。栽培期間中、1か月に1度ほどのペースでおこないましょう。
中耕と同時にセットで取り組む作業が土寄せです。土寄せとは、株の周囲の土を軽く掘り起こして株の根元に寄せることを指します。土寄せをせずにイモが露出すると、イモが緑化して毒素が発生してしまいます。また、土寄せをすることで排水が良くなり、疫病による腐敗を対策することができます。
ジャガイモは太陽光にあたると皮が緑色に変色して毒を持つほか、芽の部分が発芽することによっても毒となります。こちらの記事では、ジャガイモが持つ有毒成分についてご紹介しています。
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病気・害虫に注意!
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ジャガイモの柔らかい葉は害虫にとっても非常に魅力的です。ヨトウムシやアブラムシなど、ジャガイモ栽培で注意すべき害虫は少なくありません。
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ジャガイモの育て方・栽培方法:収穫
茎葉が黄変してから約15日後が収穫の目安です。イモの表皮が硬くなり、乾燥した状態になっていれば収穫適期です。しっかり育っているか不安な場合は、試し堀りをして十分な大きさになっているか確認してみると良いでしょう。
雨が降っているとイモに泥がついてその後腐りやすくなるため、土が乾いている日に作業するようにします。イモを傷つけないように株元から少し離れた位置からスコップを差し込んで土を掘り起こし、茎を引っ張って収穫します。皮が剥がれると腐りやすくなるため、気を付けて作業をしてください。掘った後に土の中にイモが残っていることがあるため、注意してください。
おわりに
今回はジャガイモの栽培方法についてご紹介しました。ジャガイモは多量のデンプンを含み、カリウム、ビタミンB、ビタミンCなどの栄養素も多く含まれる栽培しがいのある作物です。ぜひこの記事を参考にジャガイモ栽培にも挑戦してみてください。
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