桃栽培の魅力
家庭菜園で桃を育てることには、たくさんの魅力やメリットがあります。まず一つに、採れたて新鮮な桃を思う存分味わえること◎桃は果物の中でも高級で、特に名産地で採れたブランド桃などは高くて手が出せないという人も少なくないはず。しかし家庭菜園で桃を育てれば、お値段にとらわれることなく、家族みんなで美味しい桃を味わうことができます。
また桃を自分で育て、収穫するという貴重な体験ができることも、桃栽培の魅力の一つ。お子さんがいるご家庭では、自分だけでなくお子さんの食育にも繋がる良い経験になるはずです。桃栽培を通じて、食べ物を育てることの大変さや喜びを学べたら、まさに一石二鳥。自分たちで大切に育てた桃は、きっと格別な美味しさですよ!
桃栽培をはじめる前に知っておきたいこと
実際に桃を育てる前に、まずは桃栽培における基礎知識を身に付けておきましょう!
特にこれからはじめて桃栽培をはじめようと思っている人は、栽培の難易度や収穫までにかかる期間などをあらかじめ知っておくことで、モチベーションの維持に繋がるはずです。桃栽培を長く健全に楽しむためにも、ぜひチェックしてくださいね◎
桃栽培の難易度
桃はデリケートで病気や害虫に弱い植物のため、栽培の難易度はやや高めです。家庭菜園では十分な設備や資材を用意することが難しく、実を収穫する前に株を枯らしてしまう可能性もあります。
しかし日々のお世話を欠かさず、上手に育てることができれば、初心者でも十分美味しい実を収穫することが可能です◎また品種によっては鉢植えなどでコンパクトに育てることもでき、失敗のリスクはあるものの、桃は家庭菜園でも人気の果物となっています。
品種選びのポイント
品種選びは、桃栽培における重要なポイントです。桃の品種には、1本の木で実がつくものと、受粉樹と呼ばれる他の品種の木が必要なものとがあります。受粉樹が必要な品種を育てる場合、最低でも2本の桃の木を管理することになり、難易度はその分高くなります。
そのため初心者はまず、「大玉白鳳」や「ちよひめ」などの、1本で結実する品種を選ぶのがおすすめです。また桃には数多くの品種が存在し、味や食感、大きさなどの特徴がそれぞれ異なります。ある程度、栽培に関して知識がある人は、自分好みの品種を選んで育てるのもおすすめです。
こちらの記事では、桃の品種とそれぞれの特徴について解説しています。品種ごとの味わいや収穫時期など、より詳しく知りたい人はぜひ合わせてチェックしてくださいね♪
実を収穫できるまにかかる年数
「桃栗三年柿八年」ということわざがあるように、桃は実がなるまでに最低でも3年はかかります。また幼木のうちから無理に実をならせると、木がエネルギーを消費してしまい、生育が悪くなります。
そのため実際に桃の実を収穫できるのは、6~7年目頃と考えておくと良いでしょう。木が順調に育てば、1本の木から数百個もの実を収穫することも可能になるので、焦らずにじっくりと育てていきましょう◎
桃の育て方・栽培の手順
桃栽培は決して簡単ではありませんが、きちんと手順を守り、大切にお世話すれば数年で美味しい実を収穫できるようになります◎
ここからは、桃の育て方や具体的な栽培の手順について詳しく見ていきましょう!
2024年産地別の桃人気ランキング
※2024年5~8月までのデータ※JAふくしま未来・JAフルーツ山梨・JA新潟かがやき・JAさがえ西村山の桃の売上データ
植え付け・定植の方法と時期
桃の植え付け時期は、11月~2月頃が適切といわれています。暖かい地域では開花が早いため、12月中には完了させておくと良いでしょう。
また美味しい桃を育てるためには、土づくりも重要なポイント。桃は水はけと水持ちのバランスが良い土を好みます。地植えの場合と、鉢植えの場合でやり方が異なるので、それぞれの植え付け方法について詳しく解説します。
地植え
- 植え付けの2週間ほど前に苦土石灰、1週間前に腐葉土と堆肥を混ぜ合わせた土をつくり、寝かせておきます
- 苗は、あらかじめ根の部分に水を吸収させておきます
- 準備が整ったら植えたい場所に穴を掘り、寝かせておいた土と掘り出した土を混ぜ合わせて穴の半分くらいまで入れます
- その上に根が絡まらないよう広げながら苗を植え、支柱を立てたらたっぷりと水をやります
鉢植え
- 10号鉢に鉢底石を入れ、上から赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜ合わせた土、または果樹用の培養土を加えます
- 鉢の高さの8割程度まで釣りが入ったら穴を掘り、根が絡まらないよう広げながら苗を植えます
- 植え付けたら、苗の先端を土から80~90cmの高さで切り詰めておきます
- 苗が不安定でぐらつく場合は支柱を立て、たっぷりと水をやります
定植後の栽培管理と頻度
定植後は日々のお世話と管理を行います。桃の味や収穫量に直結する大切な作業となるので、それぞれのやり方やポイントをしっかりとおさえておきましょう!
水やり
桃は加湿を嫌うため、基本的には乾燥気味に育てます。ただし若木のうちは、夏場の過度な乾燥に注意しましょう。夏の水やりでは、朝早くか夕方の涼しい時間にやります。それ以外の時期は水やり不要で、結実したときは5月頃から水をきると、より甘くなります。
肥料・追肥
桃に肥料を与える回数は、地植え鉢植え共に年2回が目安。与えるタイミングは、2月の寒肥と7月のお礼肥と覚えておきましょう。実がなる5月頃に、木や葉の状態を見て与えるのもOK。鉢植えの場合は、生育状況を見ながら液肥を薄めたものを与えるのがおすすめです。
剪定
桃の剪定は、枝や実に日の光がよく当たるよう、ある程度バッサリ切ってしまって大丈夫です。剪定は基本的に冬に行いますが、夏も生育旺盛になるので、徒長した枝を見つけた際は切り落として形を整えましょう。
樹形は、木が高くなってきたところで主幹を途中で切り戻し、側枝を伸ばして樹高を低く保つ「変則主幹形仕立て」か、骨格となる枝を株元の低い位置から2〜4本発生させ、樹高が低くなるように紐などで枝を斜めに誘引する「開心自然形仕立て」にするのがおすすめです。
摘蕾・摘果
桃は蕾が多い場合、摘蕾して数を間引きます。摘蕾する際は、短い枝や細い枝に2つ以上ついている蕾を取ります。また桃の蕾は下向きについている方が良いので、上向きについている蕾を選んで取るようにしましょう。
花が咲き終わり、枝に小さな実がつきはじめたら、最終的に充実した桃を実らせるために摘果を行います。少しもったいないと感じるかもしれませんが、あまり多くの実を成長させると1つ1つが大きく育たず、翌年の実りも悪くなってしまうので、葉25~30枚につき1つの実を残す程度に数を間引いておきましょう。
病害虫対策
桃につきやすい病害虫として代表的なのが、アブラムシとカイガラムシです。アブラムシは葉の裏側にくっついていることが多いので、見つけたらすぐに駆除しましょう。
また病害虫は葉が育つ3月~5月頃に多く発生し、桃の生育を大きく妨げます。この時期からは、定期的に殺菌殺虫剤を散布して桃の木を守りましょう。
収穫
桃の収穫時期は、香りと色づきで判断しましょう。まず実が全体的にピンク色に染まり、緑がかっていないかを確認します。そして顔を近づけてみて、桃特有の甘い芳香を感じられれば、収穫のタイミングです。
収穫する際は、片手で実を優しく持ち、枝とヘタの接合部分を一緒に連れて行くようなイメージで横方向にひねります。こうすることで枝や実が傷つかず、強い力を込めなくても簡単に収穫することができますよ◎
桃栽培でよく発生する問題と原因
最初に紹介したように、桃栽培の難易度は高めで、時には失敗してしまうこともあるでしょう。しかし、あらかじめ桃栽培における失敗パターンを予習しておけば、そのリスクを低減することができます◎
ここからは、桃栽培で失敗しないために、よくある問題とその原因について見ていきましょう!
花が咲かない
まず発生しがちな問題として挙げられるのが、花が咲かないこと。桃の花が咲かない原因はいくつか考えられますが、最も多いのが「剪定で花芽を切り落としてしまった」です。
特に初心者の場合、冬の剪定で花芽を見逃してしまうことも少なくありません。そのため慣れないうちは、花が咲き終わった時期に剪定するのが良いでしょう。
実がならない
木が育って花は咲いたのに、肝心の実がならないという残念な問題が生じることもあるかもしれません。考えられる原因は、花が育ち過ぎたこと。桃は花の部分が実になるため、開花の時点で栄養を使い果たしてしまうと実がならないこともあります。
そうならないためにも、つき過ぎた蕾は適宜摘み取り、数を調整してあげましょう。目安としては、15~20枚の葉に実が一つなるくらいが良いでしょう。
実が割れたり変形してしまう
最後に桃の実が割れてしまったり、変形してしまう問題。これは、一度にたくさん摘果し過ぎてしまったことが原因で起こります。摘果は、美味しい桃を育てるうえで必要な作業ですが、一度にやり過ぎると最終的に残したい実に均等に栄養が行きわたらず、実割れや変形を起こしてしまいます。
これを防ぐためにも、摘果は花が咲いてから20~30日頃と、40~50日頃の2回に分けて行うのがおすすめです。
まずは食べてみて!山形県の美味しい桃
山形県は、日本を代表する桃の名産地。毎年暑い夏の時期に入ると、県内各地で甘くて美味しい桃がたくさん収穫されています。中でも人気品種となっている「川中島白桃」は、とろけるような甘さとシャキッとした心地よい歯ごたえを合わせ持ち、家庭用だけでなく贈答用としても高い人気を誇っています。
これからはじめて桃栽培をはじめようと思っている人は、まず育てたい品種を決めることからスタートするのがおすすめ!山形県の美味しい桃を食べて、自分でも育ててみたいと思えるお気に入りの品種をぜひ見つけてみてください。
桃を食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!