キュウリとは
学名 | 和名/別名 | 分類 | 原産地 | 発芽適温 | 生育適温 |
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Cucumis sativus L. | キュウリ | ウリ科キュウリ属 | 北インド | 25~30℃ | 18~25℃ |
キュウリは北インド地方が原産のウリ科の野菜です。日本に初めて伝わったのは9世紀前後と言われていますが、当初は薬用に用いられていたようです。江戸時代の初期に今度は食用として伝えられ、江戸時代の後期から一般に好んで食べられるようになりました。今では代表的な夏野菜のひとつとして親しまれています。
現在、日本で最も流通量が多いのは「白いぼキュウリ」と呼ばれる種類です。生食に適しており、皮全体が濃い緑色をしているのが特徴です。かつて栽培の主流だった半白キュウリは、現在でも奈良県や馬込、相模などで栽培されています。キュウリの品種や旬についてはこちらの記事をご覧ください。
意外と知らないキュウリの種類!日本が誇る6種類のキュウリの違いまとめ | AGRIs
夏野菜の代表格として人気の高いキュウリ。キュウリには、日本でも数多くの種類が存在します。最も広く流通している白イボきゅうりの他、キュウリには形や色の異なる種類が。その中でも特に有名な6つの品種をご紹介します。
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皮が緑色をしているため、緑黄色野菜と思われがちなキュウリですが、実は淡色野菜です。栄養価はあまり高くありませんが、水分が非常に豊富でみずみずしく、爽やかな香りを楽しむことができます。
栽培時期
キュウリの旬は夏で、6月~9月頃までは露地栽培が可能です。
家庭菜園では、4月に種をまいて5月に植え付けをし、6月~8月にかけて収穫をする春まきがおすすめです。また、6月や8月に種を畑に直まきして育てる夏まきや秋まきにも挑戦すると、長くキュウリの収穫を楽しむことができます。
キュウリの栽培
播種・育苗
以下では、最もオーソドックスな春まき栽培について説明します。キュウリを種から育てる場合には、直径9㎝の育苗ポットに2~3粒ずつ種をまきます。覆土は1㎝ほどと厚めにおこない、たっぷりと水をやりましょう。
キュウリの発芽適温は25~30℃と比較的高温です。一方で、キュウリの種は暗発芽種子であると言われており、播種後の覆土を厚めに施す必要があります。
暗発芽種子
キュウリをはじめとするウリ科野菜は暗発芽種子に分類されると言われています。暗発芽種子は別名「嫌光性種子」とも呼ばれ、太陽光を浴びることによって発芽が抑制されることが知られています。
種が発芽し、本葉が1~2枚の頃になったら最も成長のよい1本を残して間引きます。 きゅうりの発芽適温は25~30℃と比較的高温のため、育苗は暖かい環境でおこなう必要があります。ビニールで簡易的に温室をつくり、育苗に用いるとよいでしょう。
育苗ポットに植えている苗の本葉が3~4枚に増えたら定植します。定植に適した大きさに育つまでにはおよそ30日程度必要です。
土づくり・定植
定植の2週間以上前に、1㎡あたり石灰100gを散布して耕します。
植えつけの1週間前になったら、1㎡あたり堆肥を2kg、化成肥料を150gまいて再びしっかりとすき込みます。
土の準備が整ったらマルチを敷くとよいでしょう。害虫の飛来や雨が降ったときの泥はねを防ぐ効果があります。
土のpHは6.0〜6.5が目安です。
キュウリの根は浅く広く張るため、過湿や乾燥に弱く排水性や通気性の悪い土だとうまく育ちません。そこで、根をしっかりと張れるように15cmほどの深さまで十分に耕し、土を柔らかくしておきましょう。
プランターで栽培する場合には、野菜用の培養土を使用するのがおすすめです。
定植当日は、育苗ポットの直径よりも大きめに畑に穴をあけ、苗をポットから移植します。株間は50~60cm程度が良いでしょう。
植え替えた後はたっぷりと水をやりましょう。
キュウリはつるを伸ばしながら成長していきます。そこで、つるの先端部分が風によって折れたりしないようにするため、仮支柱を立ててつるを誘引し、支えにします。
また、キュウリは肥料を多く必要とするため、定植後に苗の周囲に堆肥や腐葉土をかぶせておくと栄養が補給されて生育がよくなります。
キュウリの栽培:栽培管理
支柱立て
生育にしたがって盛んに伸びるキュウリのつるや巻きヒゲを支えるため、支柱を立てる必要があります。
支柱の立て方には主に2種類あり、キュウリの株数が少ない場合や1列で栽培する場合には「直立型」、十分にスペースを取って2列で育てる場合には「合掌型」がおすすめです。
また、キュウリ用のネットを利用すると、巻きヒゲが勝手にネットに絡みつくため誘引の手間を省くことができます。なお、親づるがネットにきちんと絡みついていない場合には、ビニール紐や麻紐などを利用してネットにこまめに結びつけるとよいでしょう。
誘引・芽かき・摘芯
誘引とは、茎が途中で折れてしまわないように支柱に引き寄せておくことを指します。ビニール紐や麻紐などを用いて、20~30cm間隔で茎を支柱に結びつけましょう。
芽かきとは、脇芽を取り除くことで株の栄養が複数の枝葉に分散するのを防ぎ、大きな実をつくる作業です。
特にキュウリを長期間にわたって収穫するためには、適切に芽かきをおこなって生育の初期に十分に根を伸ばせる状態にしておくことが大切です。
脇芽と同時に雌花も付きはじめますが、5~8節まではすべて摘み取りましょう。それよりも上にある脇芽は子づるとして伸ばします。
子づるに雌花がついたら、雌花より先の部分のつるにある葉を2枚残して、それより先のつるは切ってしまいます。これを「摘芯(摘心)」と呼びます。摘芯には、芽かきと同様に、必要な部分に栄養をいきわたらせることで実を大きく太らせる効果があります。
追肥・水やり
花が咲いて実がつき始めたら、追肥をおこないましょう。
株元から少し離して、葉が茂っている範囲にやるようにします。その後は草勢を見つつ、2週間に1度のペースで追肥をおこないます。肥料のやり過ぎは逆に株を弱らせるため、注意しましょう。
みずみずしさが特徴のキュウリは、95%以上が水分と言われています。そのため、肥大期には特に水やりを十分におこない、畑の水分が不足しないようにすることが大切です。
キュウリの花が咲かない!なぜ?
キュウリやナス、トマトのように果実を食べる野菜は、花が咲いて受粉がおこなわれなければ実がなりません。
しかし、キュウリの栽培ではしばしば「花が咲かない」という事態が起こり得ます。
原因として、日照不足や風通しの悪さ、肥料不足などが考えられます。
こちらの記事ではキュウリに花が咲かない場合の原因や対処法、キュウリの雄花と雌花の見分け方についてご紹介しています。
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病気・害虫に注意!
キュウリの栽培では、うどんこ病や炭疽病などの病気による被害に注意する必要があります。こちらの記事では、キュウリ栽培で気を付けたい6つの病気について、原因や対処法をご紹介しています。
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キュウリの柔らかい葉は害虫にとっても非常に魅力的です。アブラムシやヨトウムシ、コナジラミなど、キュウリ栽培で注意すべき害虫は少なくありません。
こちらの記事では、害虫による被害が生じた場合の見分け方や対策方法をご紹介しています。
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キュウリの栽培:収穫
開花から5~10日後が収穫適期です。ハサミで実の上部のつるを切り取りましょう。
キュウリは、株が枯れるまで比較的長期間にわたって収穫が可能な野菜のため、収穫の際に茎や葉を必要以上に傷つけないように注意しましょう。
はじめの2、3本は、株を成長させるために小さめの段階で収穫しましょう。その後は20㎝前後のものを取るようにするとよいでしょう。
なお、キュウリは成長が早いため、こまめに収穫を心がけることが大切です。
キュウリの収穫をはじめたら、積極的に下葉かきをおこなうことも重要です。
下葉かきとは、株の根元に近い部分にある古い葉や大きな葉を取り除くことをさします。「摘葉」とも呼ばれます。
下葉をかくことによって風通しや日当たりがよくなるほか、不要な葉を取り除くことで果実が管理しやすくなります。また、過度に葉が茂るのを防ぐことで葉に栄養が取られないようにし、収穫量が減らないようにする効果があります。
6. おわりに
今回はキュウリの栽培方法についてご紹介しました。有料会員にご登録いただくと、ナスをはじめ、300以上のプロ農家さんの栽培動画が見放題です。ぜひこの機会にご登録してみてはいかがでしょうか。
みなさんもぜひ家庭菜園でキュウリを栽培してみてください。