「カボチャは初心者向けの野菜と聞いたことがあるけれど本当?」
「カボチャ栽培の方法を簡単に教えてほしい」
このように考えている方もいるのではないでしょうか。
カボチャの栽培は家庭菜園初心者にもおすすめです。ポイントを押さえておけば、プランターで栽培しても実をつけることができます。
本記事では、カボチャの栽培時期や収穫時期、失敗しない育て方などについて紹介します。育てる前に知っておきたいポイントをまとめたので、カボチャ栽培を始める前にぜひご一読ください。
カボチャを育てる前に知っておきたいこと
カボチャを育てる前に知っておきたいポイントは3つあります。
・種まきの時期は4月前後
・日当たりがよく水はけの良い環境を準備する
・うどんこ病に注意する
上記に気を付けて、カボチャ栽培の準備を進めましょう。
種まきの時期は4月前後
気温が25℃前後になったら種まきのタイミングです。地域によって多少のずれはあるものの、4月前後の種まきがおすすめです。暖かい場所だと3月から、寒い場所だと4月中旬から6月初旬ごろが種まきの目安時期になります。
カボチャの種は、地植えだけではなく、ポットまきやプランター栽培も可能です。ポットまきとは、ホームセンターで苗を買うときのようなポリ鉢をつかって種をまくことです。1つのポリ鉢に対して1つの苗を育てます。すべての種から芽が出るわけではないので、ポットに2粒入れて育てます。
4月に種まきをしたカボチャは、7〜9月ごろに実を付けて収穫時期をむかえます。
種ではなく、苗からカボチャを育てる人もいます。ホームセンターなどで市販の苗を購入して育てるのも1つの手です。
日当たりがよく水はけの良い環境を準備する
カボチャは土質を選ばず、日がよく当たればどんどん成長するため、初心者でも育てやすい夏野菜です。
ただ、水はけが悪いと病気にかかりやすくなるので、水はけのよい環境を準備することが大切です。特にプランターや鉢で育てるときは、水がはけやすいかどうか注意しましょう。
プランターの底に軽石や鉢底石などを敷いて対策できます。
排水性や保水性に優れた家庭菜園用の土も販売されているので、導入を検討してみるのもおすすめです。
うどんこ病に注意する
カボチャは病気や害虫の被害に遭うことが比較的少ない野菜です。しかし「うどんこ病」にはかかることがあるため注意しましょう。うどんこ病とは、カボチャの葉に白い斑点がつき、そのまま症状が悪化すると葉の表面全体に白い粉が付く病気です。
カボチャがうどんこ病にかかる原因は、下記のとおりです。
- 【原因1】養分不足や窒素過多による軟弱徒長
- 【原因1】日当たりが悪く日照不足
- 【原因1】畑が乾燥した環境
軟弱徒長とは、苗がヒョロヒョロと伸び、虚弱で枯れやすい状態のことをいいます。
うどんこ病にかからないようにするためには、日当たりの良い場所で育てることや水やりをこまめに実施するなどの予防が必要です。乾燥する季節には注意が必要です。
カボチャがうどんこ病にかかったら、まん延を防ぐためにも該当部分をすぐ摘み取りましょう。
カボチャの栽培方法
カボチャの栽培方法をステップ別に紹介します。
- 種まきをする
- 土作りを行う
- 植え付けを行う
- 栽培スペースが狭い場合は支柱を立てる
- 親ツルを摘心する
- 受粉させる
- 受粉から50日前後で収穫する
1つずつ詳しく説明します。
種まきをする
カボチャの種まきは地植えも可能ですが、育苗ポッドで育てるのが手軽でおすすめです。すべての種から芽が出るわけではないので、種は2粒ずつまきます。
種をまいたら上に5mm~1cmほど土を軽くかぶせましょう。芽がでるまで土を乾燥させないようにします。夜は水分をほとんど使わないため、早朝の水やりがおすすめです。
土作りを行う
次に、土作りを行います。土作りは植え付けの2週間ほど前には準備をしておきましょう。カボチャは水はけのよい土壌を好むので、土作りは大切です。
苦土石灰、たい肥、化成肥料を適切な割合で混ぜて、カボチャに最適な土を作ります。混ぜる割合が難しい場合は、ホームセンターで販売されている家庭菜園用の土を活用すると簡単です。
植え付けを行う
土作りが終わったら、畑に植え付けを行いましょう。ポットまきの場合、本葉が3〜4枚くらい出たときが植え付けに適した時期です。
ホットキャップをかぶせれば、寒冷地でも暖かい環境で育てることができます。ホットキャップは小さなビニールハウスのようなもので、ビニールで苗を上から覆うものです。冷たい風など、寒さ対策に役立つアイテムです。
植え付けのときには、苗がぐらつかないよう、周りの土を少し固めます。植え付けから3週間ほど経過したら、元気な苗を1本だけ残してキャップを外しましょう。
栽培スペースが狭い場合は支柱を立てる
カボチャの栽培には、地這い栽培と立体栽培の2通りがあります。地這い栽培はツルを地面に這わせて栽培します。カボチャはツルだけではなく、根もしっかり広く伸びます。そのため、1つの苗に対して広い栽培面積が必要です。
プランターや狭い畑で育てる場合は、支柱を立てて育てる「立体栽培」がおすすめです。簡単に省スペースでカボチャ栽培を楽しめます。プランターを使う場合は、苗1個につきプランターは1つ必要です。
支柱を立てることで、風通しや日当たりもよくなります。さらに、地面から距離を取ることで病害虫対策にもなります。
親ツルを摘心する
ほったらかしだと成長しすぎてしまうため、親ツルの摘心をします。
親ツルとは、苗から最初に伸びた芽を指します。親ツルについている葉が3〜4枚程度になったら親ツルの先端を切ります。そうすることで親ツルだけが育ちすぎることなく葉の根元から子ツルが生えます。
品種によって摘心の方法は異なります。西洋種では親ツル1本と子ツル1本を残します。日本種とペポ種は親ツル1本に子ツル3本です。
子ツルの長さが50cmを超えたのを目安にして、状態のよいツルを1本もしくは3本ほど残してほかのツルは切ってしまいましょう。子ツルを残しすぎると果実に栄養が行き届きにくくなるので注意が必要です。
受粉させる
花が咲き始めたら、受粉のタイミングです。カボチャは虫が花粉を運ぶことで受粉し果実ができます。ベランダで育てている場合や虫が少ない時期には人工受粉がおすすめです。
人口受粉の方法は、雄花を摘んでその花粉を雌花にこすりつけるだけなので簡単です。花の下にカボチャの赤ちゃんである丸い実があるかどうかで、雄花と雌花を見分けることができます。実がついているものが雌花です。
受粉は花粉がよくでる早朝、遅くても9時頃までにするのがベストです。実ができたら、直接土に付かないように、果実の下に敷きわらやクッションを敷きましょう。こうすることで、果実の乾燥を防いだり防虫、防カビといった効果が期待できたりします。
受粉から50日前後で収穫する
品種や環境によっても多少前後しますが、一般的に受粉が終わってから50日ほどでカボチャは収穫できるサイズになります。おいしいカボチャにするためには、収穫の7〜10日ほど前から「玉直し」という作業が必要です。倒れたカボチャを上向き(花弁が下)に置き直します。
カボチャの実が緑にならず黄色い部分がある場合は、日光不足が原因です。黄色い部分が太陽に当たるように実の向きを変更してください。
収穫時期の目安は、果梗部(実につながる柄の部分)の状態から判断できます。
- 西洋種・・・白くコルク状になる
- 日本種・・・褐色に変色し、果実全体に白い粉が吹きはじめる
これらの状態が確認できたら収穫時期です。ほかにも、カボチャの表面にある凸凹がハッキリし、つやがなくなってくるのも目安になります。収穫時期を逃すと品質が落ちてくるので気を付けましょう。
収穫が終わったら1週間〜1か月ほど追熟することで、でんぷんが糖へと変わり甘く美味しくなります。風通しがよく、直射日光のあたらない日陰で日に当てて乾かすのがおすすめです。湿度が高く暑いところに置いておくと腐りやすいので、周囲の環境には気を付けましょう。
カボチャを育てるうえで注意すべき2つのポイント
カボチャを育てるうえで注意すべきポイントを2つ紹介します。
- 受粉のタイミングのズレに注意する
- 害虫に注意する
どういうことか、詳しく説明します。
受粉のタイミングのズレに注意して育てる
受粉するタイミングのズレに注意しましょう。
カボチャは雄花が先に咲いたあとに、雌花が咲きやすいです。タイミングによっては受粉できずカボチャの実がならないこともあります。受粉のタイミングを見極めることは難しいので、タイミングをずらして受粉用のカボチャを別に育てるのがおすすめです。
害虫に注意する
カボチャ栽培において、害虫は天敵です。特に、ウリハムシという害虫がつきやすく、葉が円形状に食われてしまいます。
カボチャの生育に悪影響を与えるので、見つけ次第捕まえて処分するのがおすすめです。ウリハムシは7~8mmぐらいの害虫で農薬での駆除も可能です。農薬を使いたくない場合、唐辛子酢スプレーや木酢液スプレーでも代用できます。
ほかにも、雑草を茂らせないことや、シルバーマルチといった対処法も有効です。シルバーマルチとは、畝の上を覆うテント状の銀色のシートのことです。虫は光の反射をいやがるので寄り付きにくくなります。
カボチャに関するよくある疑問
カボチャに関するよくある質問を4つ紹介します。
- カボチャはほったらかしで栽培できる?
- カボチャはプランターで栽培できる?
- カボチャを摘心しないとどうなる?
- カボチャの肥料は何が良い?
家庭菜園の初心者によくある質問ばかりなので、知っておくと安心です。ぜひ参考にしてください。
カボチャはほったらかしで栽培できる?
カボチャは栽培が比較的容易で、ほったらかしでも栽培できる野菜です。ただし、ほったらかしで育てると、普段私たちがお店で見かけるようなきれいなカボチャにはなりません。
きれいなカボチャに育てるなら、害虫のウリハムシや「うどんこ病」などにも注意が必要です。形や品質をよく良いモノに育てるためには、人工授粉や玉直しなど定期的なお手入れが必要です。
カボチャはプランターで栽培できる?
カボチャはプランターでの栽培もできます。ただし根が大きく広がり、さらにツルも長く伸びるので大きめのプランターを用意すべきです。
プランター栽培の場合は、支柱やネットを活用して空中栽培にしましょう。地面に這わせると病害虫の被害に遭いやすく栽培の難易度が上がります。ほかにも、水はけと風通しが悪くなりがちなので注意しましょう。水はけや風通しが悪いと根腐れや病気の原因になります。
プランター栽培向けの品種は、ミニカボチャです。プランターでも栽培しやすいためおすすめです。
カボチャを摘心しないとどうなる?
カボチャ栽培では、摘心しなくても成長して実をつけることがあります。
ただしツルや葉がどんどん実るため、日当たりが悪くなって病害虫の被害に遭いやすくなります。また、ツルや葉に栄養を取られ、果実がうまく育たないケースがあります。
摘心しなくてもカボチャの実はなりますが、サイズがそろわず十分な大きさまで育つのは難しいです。美味しいカボチャに育てるなら摘心がおすすめです。
カボチャの肥料は何が良い?
植え付けを行うときの肥料(元肥)には、ホームセンターで販売されている市販の有機肥料がおすすめです。家庭菜園用の商品も販売されているので、入手しやすくて扱いやすいのが特長です。
肥料には、有機肥料と化成肥料の2種類があります。有機肥料とは、油粕や発酵鶏糞などのように、炭素を含んだ有機物から作られた肥料です。
一方で化成肥料は、追肥時の使用がおすすめです。速効性のあるものが多く、効率的に栄養を与えることができます。
ただし肥料のやりすぎには注意しましょう。肥料をやりすぎると「ツルボケ」をおこし、雄花は咲いても雌花が咲きにくくなるので注意が必要です。追肥の量を正しく調整すると雌花が咲きやすくなります。
カボチャは初心者でも育てやすい!
カボチャの栽培は家庭菜園初心者にもおすすめです。ポイントさえ押さえておけば、プランターでも実をつけることができます。地植えだけではなく、プランター栽培も可能です。
水はけや病害虫に注意が必要ですが、ほかの野菜に比べると病害虫にも比較的強く、栽培方法の手順を守ればきっと美味しいカボチャが育つはずです。
4月を種まき時期とした夏野菜を探しているなら、カボチャを検討してみませんか。この記事を参考に、美味しくて栄養満点のカボチャを育ててみましょう。