いちご栽培の基本:ランナーから子苗を作る方法
いちごの栽培において、まず基本となるのが、親株(花をつける本体)から伸びる「ランナー」を利用して子苗を作る方法です。この子苗の育て方と増やし方を具体的にお伝えします。
発根しやすい子苗と発根しにくい子苗の見分け方
ランナーが伸びたらその先の膨らみ(これが新たな苗になる部分)を見ます。旺盛に成長するための葉が3つ以上ついていて、かつ花芽が確認できないものが発根しやすい子苗です。
子苗の育成方法
ランナーの先をプランターや鉢に挿し、途中で引き抜かれないように固定します。その状態で水やりを続け、2週間程度で新たな根が生えます。
子苗の切り離し方
新たな子苗がしっかりと根を張ったら、親株からランナーを切ります。ここで注意すべきは、切る位置です。親株から直接出ている部分を切ると、新たなランナーが出にくくなるため、子苗から5cm程度離れた位置を切るのが良いです。
子苗の育苗方法
切り離した後は、子苗をそのまま育てます。水やりや日光管理を適切に行うことで、新たないちごの親株として育つでしょう。
定植タイミング:いちごを健康に育てるための最適な植え付け時間
ここからは、苗の定植と栽培の手順について具体的に解説します。
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※2023年12月~2024年4月のデータ最適な定植タイミングとは
いちごの定植タイミングはランナーから子苗を作り、成長させる上で極めて重要なポイントとなります。最適な定植タイミングは、地域や気候条件により異なりますが、一般的には春から5~6月にかけての初夏が理想的です。
この期間に定植することで、夏の暑さを避けた冷涼な気候を利用して、苗が健康に成長するのに適した環境を提供することができます。
また、培養土の準備も定植のタイミングに合わせて行います。株間30cm間隔に、ランナー(根茎)を通路の反対側に向けて植え付けます。そして、クラウンの部分が地上に出る程度のやや浅めに植えつけることが推奨されます。
定植後の作業準備とその手順
いちごの苗を定植した後、適切な育成を行うためにはいくつかの作業が必要です。
まず、植え付け後はたっぷりの水を与えてください。これは新たに植えられた苗が十分に水分を吸収し、新しい環境に順応する助けとなります。また、過度の乾燥を防ぎ健康な成長を促進します。
次に、マルチングと呼ばれる作業を行います。これは地温や乾燥を防ぎ、果実が直接土に触れるのを防ぎ果実の汚れを防ぐために行います。マルチングは2~3月に行い、黒ポリを使ったり、わらを敷き詰めることが一般的です。
そして、株の生育状態を見ながら1~2回追肥を行います。1回目は根が活着した11月頃、2回目は冬越しをした2月中旬頃が目安です。施す肥料は緩効性のものを1m²あたり30gが適量とされています。
以上の作業により、美味しいいちごを健康に育てることが可能となります。
農業資材の活用:いちご栽培を快適にするマストなアイテム
自宅でいちごを育てる際は、栽培に必要なアイテムを一通り揃えておくことも大切です。では、いちご栽培のマストアイテムにはどんなものがあるのか、詳しく見ていきましょう!
アグリランプ(いちご向け)
アグリランプは、LEDを活用した農業用の照明器具です。イチゴ栽培においては、特に重要な役割を果たします。光合成を促進し、果実が甘く、豊富な収穫を促すための適切な光線を提供します。
まず、アグリランプは、日照不足の時期や天候に左右されずにイチゴが育つ環境を提供します。これにより一年中安定した品質のイチゴを生産することが可能となります。また、アグリランプの光線は、イチゴの成長に最適な波長を持つため、植物の光合成を最大限に引き出し、イチゴの生育を促進します。
アグリランプは省エネルギーであり、従来の照明器具と比較して消費電力を大幅に削減できます。これにより、コスト削減と環境への配慮を両立することができます。
キンコンバッキー
キンコンバッキーは、いちご栽培に役立つ農業資材の一つです。このアイテムは、直射日光からいちごを守りながら、十分な光を内部に取り込むことができます。また、通気性も良好で、害虫や雨風からもしっかりと保護してくれます。
具体的な使用方法は、まず、栽培したい場所に設置します。次に、養生テープで上部を閉じ、両サイドを土で固定します。これにより、風で飛ばされることもありません。穴があいているため、水やりも容易で、必要な栄養素を確実に供給することが可能です。
スマートキャッチャーⅡ
スマートキャッチャーⅡは、いちご栽培において非常に便利な農業資材の一つです。特に、このアイテムは害虫対策に優れており、いちごの生育を妨げる虫たちから作物を保護します。スマートキャッチャーⅡは、虫を引き寄せる特殊な色彩と香りを利用しており、この強烈な引力によって虫を捕らえます。
その結果、栽培場所の環境改善に貢献し、いちごの健康的な育成をサポートします。購入や設置も容易で、いちご栽培初心者からプロの農家まで幅広く利用されています。 スマートキャッチャーⅡの利用を検討している方は、詳細な情報と使用方法を確認することをおすすめします。
まとめ:丈夫な苗から始め、美味しいいちごを育てる秘訣
美味しいいちごの栽培は、丈夫な苗からはじまります。まずはランナーから良質な子苗を選び出すことが大切です。発根しやすい子苗と発根しにくい子苗を見分け、確実に発根できる子苗を選びましょう。次に、子苗を育てるための環境を整えます。適切な養分と水分を与え、適度な日当たりを確保しましょう。
また、いちごの定植タイミングも重要です。最適な定植タイミングを見極め、そのタイミングに合わせて定植を行います。定植後は、いちごが健康に育つための作業を追加します。これには、キンコンバッキーやスマートキャッチャーⅡなどの農業資材の活用が有効です。
これらの基本的な要素を踏まえ、しっかりと手間をかけて育てることで、自宅でも美味しいいちごの栽培が可能になります。良質な苗から始めて、栽培に必要な手間を惜しまないことが美味しいいちごを育てる秘訣です。
いちごを食べてJAはが野の挑戦を応援しよう!
いちご王国の首都、真岡市を含む栃木県の南東部を管轄する農協がJAはが野。
イチゴはもちろん、メロンや梨といったフルーツや、なす、ニラ、トマトなどの野菜の生産も盛ん!豊富に降り注ぐ太陽光ときれいな水、肥沃な大地、そして昼夜の寒暖差の大きな内陸型の気が農作物を鍛え、おいしく育みます。これらに加え、首都圏に近いことから、新鮮な果物や野菜をいち早く大消費地にお届けできることも特徴です。
そんなJAはが野では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAはが野では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、はが野地区では「いちご」「玉ねぎ」「アスパラガス」の3品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!