土壌改良の基本知識
土壌改良とは何か?その必要性は?
土壌改良とは、土壌を性質や成分を改善することです。これにより、植物が健康に育ち、良い収穫を得ることができます。具体的には、栄養の補充やバランス調整、水の通り道や空気の流れを整えること、有機物を加えて土壌を豊かにすることなどが土壌改良であるといえます。
良い土壌状態をつくることが出来れば、植物が栄養を吸収しやすい、適度な通気性、土壌改良は病気や害虫のリスクの低減、などのメリットがあります。
これらを実現することで、連作障害を回避できるなど、農業を持続的におこなうことが出来るようになるでしょう。
また、家庭菜園等でプランターを使用している方は、土をまるごと入れ替えるのが手間が少なくおすすめです。畑の方は、土壌改良を行う必要があるでしょう。
土壌改良をしないとどのような課題がある?
もし土壌改良をしないとどうなるのでしょうか。以下のような問題が生じてしまいます。
栄養不足
土壌が栄養不足で植物が十分な栄養を得られず、成長や収量が低下します。土壌中の栄養素が不足しているケースと、土壌中の保水性が悪く、肥料を保つことが出来ないケースがあります。
排水性不良
適切な排水ができず、根が酸欠状態になるため、植物が枯れやすくなります。
pH不適切
土壌の酸性やアルカリ性が適切でないため、植物が栄養を効果的に吸収できません。
土壌中生態系への影響
長く使われている農地では、土壌中の微生物などの生態系が破壊されている場合があり、それにより植物は病気にかかりやすくなってしまうのです。
さらに、これらの課題は、植物の生育や収量の低下、病気や害虫の増加などを引き起こしてしまいます。土壌改良はこれらの課題を解決できる重要な手法です!
土壌改良の基本がお分かりいただけたでしょうか? 次項では、土壌改良を実践する方法についてご紹介します!
土壌改良の実践
実際に土壌改良をおこなう手順とそのポイントを紹介していきます!
まず大きな流れは以下のようになります!
STEP1:土壌の状態を知る
土壌の状態を把握することは、これ以降どのような土壌改良材を使えばいいかを選択する判断材料になります。
STEP2:適切な土壌改良材を選択する
土壌分析の結果や目標に基づいて適切なものを選びます。
STEP3:施用量と均一な施用
適切な量を使い、施用後によく混合して均一に分散させます。作物の植え付け2週間前までには施用します。
STEP4:水分管理
土壌の水分状態を適切に管理します。
STEP5:定期的なモニタリングと調整
成長過程で土壌を定期的に観察し、必要に応じて調整を行います。
このなかでとくに重要な、STEP1・STEP2について、詳細な方法を説明していきます。
STEP1 : 土壌の状態を知る
土壌の状態を把握することは、これ以降どのような土壌改良材を使えばいいかを選択する判断材料になります。より詳細にみていきましょう。
土壌の種類
畑土壌の約50%は保水性・排水性が良く、耕作に適した「黒ボク土壌」です。土の色が黒ければ「黒ボク土」と判断できます。山林近くで褐色なら「褐色森林土」、元が水田であれば「灰色低地土」、あるいは「グライ土」になります。
土壌pH
土壌酸度計(pHメーター)を使うのがよいでしょう。多くの作物は弱酸性のpH6.5程度を好みます。日本の土壌はもともと酸性であることが多いことも念頭に置いておきましょう。
排水性
雨が降ったあとに、半日程度で水が引けば排水性良好、3日後でも水が引いていなければ排水性が悪いと判断できます。
保水性
土を一つまみして、ねじってその感触で判断することが出来ます。
ざらざら‥保水性の悪い砂土
中間‥排水性・保水性のバランスが良い壌土
つるつる‥排水性の悪い埴土
養分
養分が含まれているかどうかは、専門業者等に土壌分析を依頼するとよいでしょう。
STEP2 : 適切な土壌改良材を選択する
土壌分析の結果や目標に基づいて、適切なものを選ぶ方法を紹介します!
- 排水性・通気性が悪い場合は‥ 牛糞堆肥、腐葉土、ピートモス、もみ殻、もみ殻くん炭、パーライト、バーミキュライト、バーク堆肥
- 保水性・保肥性が悪い場合は‥牛糞堆肥、腐葉土、ピートモス、パーライト、バーミキュライト
- 土壌pHを上げたい場合は‥ピートモス、苦土石灰、消石灰、もみ殻くん炭
いま注目したい 土壌改良材
環境にやさしい土壌改良材の選択
環境にやさしい土壌改良材として注目されているものは、以下のようなものがあります。劇的な変化を求める方には向いていませんが、長期的に使用するのにはどれもおすすめです!
バイオチャーコール
植物由来の原料を高温で加熱して作る炭素固体。二酸化炭素の吸収と貯留を促進し、肥沃な土壌を作ります。植物由来なので、再生可能で環境に優しいですね。
有機質の堆肥
野菜くずや植物の残さを堆肥化して作ります。再生可能な原料を再利用し、肥沃な土壌を作るため、化学肥料の使用を減らすことができます。
微生物資材
土壌内の微生物を調整し、植物の栄養利用効率を向上させます。化学肥料の削減に寄与し、環境への負荷を減らすことが出来ます。
石灰質土壌改良材
石灰を主成分とする土壌改良材。土壌の適切なpHを保つことで、植物が栄養を効果的に吸収しやすくなり、環境への影響を抑えることができます。
これらの土壌改良材は、環境への影響を最小限に抑えつつ、土壌の健康を向上させるために活用されており、導入が進んでいます。
おわりに
今回は土壌改良についてご紹介しました。「土壌改良材」っていろいろあって難しそう‥というイメージがあったかもしれませんが、人間が健康な生活のために運動や食事をするのと同じように、土壌改良は土壌の健康を守るために重要です。
本記事を参考にして、実践できるものから実践してみてください!