自宅で育てやすいりんごの品種
りんごは「自家不和合性」で自身の花粉では実つきが悪いため、異なる2品種を一緒に植える必要があります。そのため自宅でりんご栽培をはじめるなら、まず育てやすい品種を選ぶことが大切です◎特に初心者のうちから難易度の高い品種を育てると、実を収穫する前に病気を発症してしまったり、生育不良に陥りがちなので注意しましょう。
自宅での栽培におすすめな品種には、以下のようなものがあります。
- ふじ
- ぐんま名月
- つがる
- ジョナゴールド
- 紅玉
- 秋陽
中でも、ぐんま名月とつがるはどちらも早生品種で生育期間が短く、親和性も高いため初心者におすすめです。またふじは日本で最も生産量の多い品種で、育てやすさだけでなく味や香りにも優れています。
りんごの栽培カレンダー
りんご栽培は、以下のカレンダーのような流れで行います。生育を良くするため、植え付けや剪定のタイミングには注意が必要ですが、1つ1つの作業はそこまで時間のかかるものではないため、家事や仕事の合間に行えますよ◎
りんごの育て方
ここからは、りんご栽培の具体的な手順を解説します。
りんご栽培では、同時に2品種以上を管理する必要があり、難易度はやや高めとされています。しかし相性の良い品種どうしを選び、日々のお世話をきちんと行えば、初心者でも美味しい実を収穫することができますよ◎
鉢植え・地植えの時期・方法
家庭菜園でりんご栽培をはじめる際は、まずホームセンターで苗を購入します。先ほど紹介した相性の良い品種を2種類選び、植え付けていきます。植え付けの適期は、地植え、鉢植え共に11月から3月頃ですが、株を傷める可能性があるためできれば真冬は避けましょう。
ではりんごの苗を植え付ける手順について、地植え、鉢植えそれぞれのパターンで詳しく見ていきましょう!
地植え
鉢植えの場合、深さが30cm以上ある7~8号鉢に1苗を目安に植え付けていきます。土は、赤玉土(小粒)7~8:腐葉土2~3の割合で混ぜたものか、市販の果樹用培養土を使用します。植え付けの手順は、以下を参考にしてください。
- 用意した鉢に鉢底石を入れます
- 鉢の底から1/3~1/2ほどのところまで土を入れます
- 苗木を中心に置き、周りに土を入れて株を固定します
- 接ぎ木部分が土に隠れて深植えにならないよう注意しながら植え付けます
- 樹高を70cmくらいに切り戻します
- 支柱を苗の横に立て、麻ひもなどで固定します
- 鉢の底から流れ出るくらいたっぷりと水をやり植え付け完了です
鉢植え
鉢植えの場合、深さが30cm以上ある7~8号鉢に1苗を目安に植え付けていきます。土は、赤玉土(小粒)7~8:腐葉土2~3の割合で混ぜたものか、市販の果樹用培養土を使用します。植え付けの手順は、以下を参考にしてください。
- 用意した鉢に鉢底石を入れます
- 鉢の底から1/3~1/2ほどのところまで土を入れます
- 苗木を中心に置き、周りに土を入れて株を固定します
- 接ぎ木部分が土に隠れて深植えにならないよう注意しながら植え付けます
- 樹高を70cmくらいに切り戻します
- 支柱を苗の横に立て、麻ひもなどで固定します
- 鉢の底から流れ出るくらいたっぷりと水をやり植え付け完了です
栽培管理方法
植え付けが完了したら、日々のお世話をしっかりと行いましょう!りんごは注意が必要な病気や害虫が多く、気を抜くと大きな被害に繋がる恐れもあります。こまめに様子を観察し、時期ごとに適切な管理を施しましょう。
水やり・肥料
りんごの水やりは、地植えの場合、厳しい暑さや日照りの強い日が続いたときを除き、基本的に必要ありません。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたタイミングで適宜与えましょう。
肥料は、植え付けの際、土にゆっくりと効く緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。その後11月から2月の間と、9月の年2回に植え付け時と同じ肥料または有機質肥料を与えます。鉢植えは、さらに5月にも肥料を与えると生育が良くなりますよ。
剪定
りんごは成長が落ち着き、下垂した枝に良い果実がつきます。そのため美味しいりんごを育てるには、定期的に剪定を行い、整枝することが大切です。
夏場に伸びた不要な枝は、間引いたり切り詰めたりして整理します。適期は7月から8月です。また花芽は1つの芽の中に花房と枝になる芽を含む混合花芽で、主に枝の先端につくため、冬の剪定では強い切り詰めを避け、軽く整える程度にしましょう。
人工授粉
4月中旬頃になると、白くてキレイなりんごの花が咲きます。花が咲いたら、綿棒や筆などを使って、相性の良い品種どうしを人工授粉させます。花粉を綿棒や筆の先に付けたら、他の木の花に優しくこすり当てていきます。
またりんごの花粉は、採取してから数日は室温で保存でき、冷蔵庫ならもっと長い間保存がきくので、慣れてきたら開花期が違う品種どうしでも人工授粉させることができます。初心者のうちは、できるだけ開花時期の近い品種どうしを選んだ方が安心です。
摘果・袋かけ
花が咲いてから3週間ほど経つと、果実が少しずつ膨らんできます。りんごは、1つの果房にたくさん実がつくので、栄養が分散しないよう中心果に結実した形の良いものを1個だけ残して摘果します。また結実が多い場合は、さらに摘果が必要です。
果実がある程度大きくなってきたら、害虫の被害を防ぐために袋かけを行います。かけない場合は、数回の薬剤散布が必要になります。
病害虫対策
りんごは葉に小斑点ができ落葉する「斑点落葉病」に弱く、最も注意が必要です。薬剤での防除はもちろん、被害を受けた葉や花、枝の切除、落ち葉の徹底した処理が大切です。
また病気に負けないよう樹勢を保ち、日頃から木の観察と管理を怠らないことが何よりも重要なポイントです。
害虫では、キンモンホソガ、シンクイムシ類、アブラムシ類などに注意が必要で、葉や果実を食害されてしまいます。収穫前の時期には袋かけを行うほか、適宜薬剤を散布して防除しましょう。
収穫
実全体が赤くなってきたら、いよいよりんごの収穫適期です。つけ根をハサミで切り取って、丁寧に収穫していきます。収穫した実を食べきれないときは、薄いポリ袋や新聞紙に包んで冷蔵庫で保存すると長持ちします。
また「ふじ」など貯蔵性の優れた品種は、箱に入れて冷たい物置などで保管すれば、長期保存することも可能です。
りんご栽培のQ&A
りんご栽培は、コツさえおさえれば初心者でも美味しい実を収穫できます。しかしちょっとした見落としが病気や失敗に繋がることもあり、やはり簡単ではありません。
そこでここからは、りんご栽培でよくある問題とその原因について紹介します。せっかくのりんご栽培を失敗に終わらせることがないよう、初心者は特に要チェックです◎
りんごは種から育てられる?
りんごを食べた後の種からでも栽培をはじめることはできますが、非常に難易度が高く時間もかかります。りんごを種から育てる場合、まず発芽させて苗を育てる必要があり、この段階からこまめな水やりや害虫対策などの作業を行います。
時間としては、実をつけるまでに10年ほどかかるため、のんびりと栽培を楽しみたい人にはおすすめですが、初心者で早く実を収穫したい人にはあまりおすすめできません。
りんごはプランターや鉢植えで育てられる?
りんごは、地植えするイメージが強いですが、鉢植えやプランターでも育てることができます◎鉢植えなら深さ30cm以上の7~8号鉢、プランターなら少し深さのあるものであれば特に指定はありません。
管理場所は、ベランダや庭先で問題ありませんが、できるだけ日当たりの良い場所を選びましょう。
りんごの実がなるまでどのくらいかかる?
りんごを苗から育てた場合、実をつけるまでには4~5年ほどかかります。種から育てる場合に比べると半分ほどの年数で収穫できるようになりますが、それでも長い時間がかかります。
しかし、りんごは成木になるとそこから数十年にわたって実を収穫することができます。栽培に時間はかかりますが、季節の実りを長期間楽しめるのはりんご栽培の大きな魅力です◎
りんごは1本で植えて実はなるの?
りんごは自家不和合性のため、1本だけでは実をつけることができません。実を収穫したい場合は、必ず親和性の高い2品種以上の木を同時に育てる必要があります。
親和性とは、自家不和合性の果物が異なる品種どうしで受粉する際の相性のことで、親和性が高いほど実つきが良くなります。りんごでは、ふじとぐんま名月、つがるなどが親和性が高く、育てやすいですよ◎
りんごを食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、従来より甘みが強くジューシーな「サンふじ」など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!