肥料焼けとは
肥料の不適切な使用によって、株全体が急激にしおれてしまったり、葉が焼けるように枯れてしまったりする現象です。乾燥や病気による被害症状と似ていることがありますが、追肥を与えた数日後に急に症状が表れた場合には、肥料焼けを疑うとよいでしょう。
また、根に直接被害を受けて根が黒くなってしまう被害や、種まきをした種子の周りに肥料が多い場合には発芽直後に枯れる発芽障害があらわれることもあります。
肥料焼けの原因
肥料焼けの原因は大きくわけて2つあります。
1つ目は、化学肥料の過剰投入による浸透圧の変化です。速効性のある化学肥料は施用後すぐに水に溶けます。過剰に肥料を入れた場合、土壌中では高濃度の肥料が溶け込んだ水に野菜の根が囲まれます。植物の体の中の液体は土壌中と比較して低濃度になるため、内から外へと水が流れていきます。つまり、植物は根から水を吸うことができなくなってしまいます。急激にしおれてしまう症状の原因です。
浸透圧
水だけを通す膜「半透膜」を介して接している二つの液体の濃度が異なるときに、濃度の低い方から高い方へと水を流して2つの液体の濃度を同じにしよう とする力がかかり、これを浸透圧と呼びます。
植物の細胞膜は半透膜であり、通常時、植物は体の中の液体の濃度を高めることによって、土壌の中の水との浸透圧差を利用して水を吸収しています。
2つ目は、窒素肥料の分解によって発生するアンモニアです。硫安といったアンモニアイオンが含まれている肥料や、尿素を多く含む未熟な家畜の糞尿堆肥を大量に施用すると、夏の高温時期に急速に分解されて空気中に出てきます。アンモニアは葉の隙間に入り、葉緑素を破壊してしまうため、葉が白くなったり枯れたりします。夏のハウス栽培において起こる可能性が高くなります。
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肥料焼けの予防法・対処法
肥料焼けを予防する上では、過不足ない量の肥料をまくのが大切です。また、肥料を均等にまかず、偏りができてしまった場合にも局所的に濃度が高くなることがあります。また、根にくっつくようにまいた場合にも障害がでてきます。化学肥料は特に畑全体に均等にまくようにしましょう。追肥の時には株元から離して、根が伸びる先へとまくことを意識します。
株全体がしおれる被害や発芽障害があらわれてしまった場合には、土壌中の肥料の濃度を下げるために、水を通常の数倍まきます。一時的に濃度が薄くなるとともに、肥料が土壌の深いところへと染みていくように流れていき濃度が低くなっていきます。
アンモニアによる被害が出る場合には、ハウス内の換気をするとともに、土の表面を耕して土壌中に溜まっているアンモニアを放出します。
おわりに
今回は肥料焼けの症状と原因と対処法について見てきました。もっと元気に育ってほしいと肥料をあげ過ぎてしまうと、肥料の量は大は小を兼ねるとはいかず、野菜はダメージを受けてしまいます。適量を守って野菜を健康に育てていきましょう!
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