はじめに
鍋や漬物によく使われる白菜は、冬野菜の代表格のひとつです。その白菜を小ぶりに品種改良することで、結球させるための温度管理がしやすく、一度に食べきれる大きさにしたのが、ミニ白菜です。
通常の白菜は重さ1〜2kgで収穫するのに比べ、ミニ白菜は300〜800gが収穫適期です。密植が可能だったり、収穫までに必要な時間が比較的短かったりという特徴もあり、家庭菜園で育てやすい野菜として人気が高まっています。
そこで今回は、ミニ白菜の育て方について、畑の準備や栽培管理、収穫に至るまでに必要なことをご紹介します。
2. 家庭菜園でミニ白菜を育てよう!
栽培時期
ミニ白菜には、「娃々菜(わわさい)」や「お黄にいり」など、さまざまな品種が開発されています。種をまく時期や収穫のタイミングは品種によって異なるので、栽培前にきちんと確認しておきましょう。
畑の準備・土づくり
アブラナ科のミニ白菜は、根や葉の傷口などから感染する病気によって連作障害が起こることがあります。ハクサイ、キャベツ、ブロッコリーなどの結球系のアブラナ科野菜は、過去2〜3年間はアブラナ科を栽培していない場所に植えるようにしましょう。
土づくりは、ミニ白菜を植える2週間前から行います。ミニ白菜は生育期間が短く、追肥を行わないため、元肥を十分に施しておく必要があります。
まず、植えつけの約2週間前に1㎡あたり2㎏の堆肥をすき込み、土となじませます。その後、1週間前になったら1㎡につき苦土石灰200g、化成肥料150gをまいて、30㎝ほどの深さまでよく耕します。
苦土石灰と化成肥料が土と混ざったら、畝を立てます。ミニ白菜は密植に適した作物のため、15~30㎝ほどの株間があれば十分に栽培が可能です。1つの畝に2列ずつ植えていく場合には、畝の幅は60㎝がよいでしょう。畝間は30㎝あけておきます。
畝を作った後に黒マルチを張ると、雑草の生育を抑えたり、地温を保つ効果が得られます。マルチの種類や効果についてはマルチを使い分けて野菜作り!様々なマルチの種類と効果まとめをお読みください。
種まき・苗づくり
直まき栽培を行う場合には、種をまくための穴をつくります。ビンの底や棒を用いると簡便に穴を開けることができます。
一つの穴につき5~6粒の種をまき、種が隠れる程度に土をかぶせます。種をまいた後はたっぷり水をやっておきます。
その後、本葉が2~3枚になったら成長がよいものを残して約半分に間引きます。苗の段階でも害虫がつくため、途中で消毒を行うとよいでしょう。本葉が6~7枚にまで成長したら、最も育ちのよい1株を残します。
直まきに比べて、苗を作ってから畑に植える場合の方が管理が容易です。育苗は、セルトレーを使うとよいでしょう。セルひとつにつき1粒ずつ種をまいて約3㎜の厚さで土をかぶせます。播種後、最初の2日間は日陰、その後は日なたにセルトレーを置いて育てます。本葉が5~6枚になったら畑に定植します。
植え付け
ミニ白菜の収穫適期は300〜800gですが、少し早めに収穫したり、それ以上に大きくなってからも美味しく食べることができます。収穫したいサイズに合わせて植える密度を変えましょう。
200gほどで収穫したい場合には株間は15㎝ほどで十分ですが、結球して1㎏ほどになるまで育ててから収穫する場合には約30㎝の株間を取る必要があります。
病害虫の防除
ミニ白菜の柔らかい葉は、ヨトウムシやアオムシなどの害虫に好まれます。害虫による食害が起こると、その傷口から菌が侵入して病気が発生することもあります。定植後は2週間に1度のペースで消毒をするとよいでしょう。薬剤に頼りたくない場合には、防虫ネットをかける方法もあります。
知っておくべきハクサイの病気と対処法では、ハクサイを育てる際に気を付けたい病気について紹介していますので合わせてお読みください。
収穫
ミニ白菜の頂部を手で上から押さえた時に、葉が硬く締まっているようであれば収穫するタイミングです。株元が見やすいように株に手をかけて斜めに倒し、結球していない葉の隙間に包丁や鎌を差し込んで手前に引き、収穫します。外側の葉を手で落とせば完成です。
収穫後は、生のままサラダにしたり、丸ごと煮込んで鍋やシチューにしたり、キムチや漬物にして食べるのがおすすめです。保存する場合には、新聞紙にくるんで冷暗所に置きます。
おわりに
今回は、食べきりサイズで家庭菜園でも育てやすいミニ白菜の栽培方法をご紹介しました。ミニ白菜を栽培するうえで最も注意が必要なのが害虫対策です。害虫は防虫ネットをかけることである程度防ぐことが可能ですが、食害がひどい場合には農薬による防除が必要になるかもしれません。本サイトの農薬データベースでは、ハクサイにつきやすい害虫や病気に対して有効な農薬を検索することができます(対象農作物に「ハクサイ」、適用病害虫に病気の名前を入力してください)。合わせてご参照ください。