アスパラガス栽培に適した土作りと品種選び
アスパラガスのプランター栽培をはじめる際は、まず土作りと種選びが重要になります。
プランター栽培に適した土の条件
アスパラガスのプランター栽培に適した土は、水はけが良く、栄養分が豊富な土が最適です。具体的には、市販の野菜用培養土が手軽でおすすめです。また、土のpH値(酸性・アルカリ性の度合いを示す数値)は6.0~7.0が適正とされています。
これは、アスパラガスが元々育つ環境を再現するための条件であり、このpH値の範囲ならば栄養素の吸収が最も良好となります。なお、プランターに土を入れる際には底石として軽石を敷いておくと、排水性が高まります。これによりアスパラガスの根腐れを予防することが可能です。
栽培におすすめのアスパラガスの品種
アスパラガスは非常に種類が豊富で、その中でも特にプランター栽培に向いているのは「メアリー・ワシントン」と「UC157」です。これらはどちらも収穫量が多く、病害虫に強いという特徴を持っています。
「メアリー・ワシントン」は、大きくてしっかりした茎が特徴で、良好な耐病性を持っています。一方「UC157」は、非常に収穫量が多く、早く成長するため、短期間での収穫を望む方に最適です。
どちらの種類も、日当たりが良い場所であれば比較的簡単に栽培することができます。また、アスパラガスは多年草なので、一度植えれば何年も収穫を楽しむことが可能です。
アスパラガス栽培のプランターの大きさと株分け
続いて、アスパラガス栽培におけるプランターの大きさと株分けについて解説します。
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※2024年8月のデータアスパラガスを育てるのに適したプランターの大きさ
アスパラガスのプランター栽培ではその大きさが非常に重要となります。アスパラガスは根が深く伸び、大きな株に成長するため、それに見合ったサイズのプランターを選ぶ必要があります。
具体的には、プランターの深さは最低でも20cm以上が必要とされています。また、一株あたりの容積としては10号以上のプランターを推奨しております。これによりアスパラガスの成長を妨げることなく、健康に育てることが可能となります。
プランター選びは、アスパラガスのプランター栽培の成功を左右する大切なポイントです。深さと大きさに注意し、アスパラガスの育成に適した環境を作ることが重要です。
アスパラガスの株分け方法
アスパラガスの株分けは、一つの株が大きくなった場合や、新たに増やすために行います。株分けを行うことで、アスパラガスの健康状態を保つだけでなく、収穫量も増える可能性があります。
株分けは秋、特に10月頃が適しています。株分けの作業手順は以下の通りです。
- アスパラガスをプランターから引き抜きます。
- 土を払い落とし、健康そうな根を見つけます。
- 根の部分を鋭いナイフ等で切り分けます。ただし、一つの根が小さすぎないように注意しましょう。
- 分けた株をそれぞれ新しいプランターに植え付けます。
これにより、新たな株が生まれ、次のシーズンにはより多くのアスパラガスが収穫できる可能性があります。
アスパラガス栽培の時期と植え付け手順
ここからは、アスパラガス栽培の時期と植え付けの手順を紹介します。
種から育てる場合の栽培時期
アスパラガスの種からの栽培はそれなりの時間が必要となりますが、自身の手で育て上げたアスパラガスは格別の味わいがあります。種からアスパラガスを育てる場合の適切な時期は、春の4月から5月、または秋の9月から10月となります。
春に種を植える場合は、植え付け後に春夏の成長期を利用して十分に株を大きくすることができます。一方、秋に植え付ける場合は、冬の低温期を越えてから春に向けて成長を開始します。
しかし、種から育てる場合、最初の収穫までは2~3年程度かかることを理解しておく必要があります。アスパラガスは多年草であるため、最初の数年間は株を大きくするための成長期間となり、その間は収穫を控えることが推奨されます。
大苗から育てる場合の栽培時期
大苗からアスパラガスをプランターで育てる場合、適した栽培時期は春で4月から5月、また秋なら9月から10月です。2年目の苗(通称:根株)を使用した場合、翌年から収穫が可能になります。一方、3年目の苗を使用した場合は、植え付けたその年から収穫が可能となります。
大苗を植え付けることで、発芽からの待ち時間が省け、より早期の収穫が見込めますが、苗の状態や育てる環境により収穫時期は変わる可能性があります。育てる環境が整っていても、アスパラガスの成長は基本的にゆっくりとしたものなので、焦らず丁寧に育てることが大切です。
アスパラガスの植え付け方法
アスパラガスのプランター栽培では、種から育てることも可能ですが、初心者には苗から始めるのがおすすめです。まず、20cm以上の深さがあるプランターを用意しましょう。その底には軽石などの底石を敷き、市販の野菜用培養土を入れます。
苗の場合、株元から3~5cm程度土が覆うように植えつけてください。そして、苗同士の間隔は30cm程度とし、十分に成長できるスペースを与えます。なお、種から育てる場合には、種を直接土にまくのではなく、種まき用のポットで発芽させた後、苗が十分に育ってからプランターへ移植します。
最後に、化成肥料を適量施し、しっかりと水をやります。このように準備を整えれば、アスパラガスのプランター栽培は成功への第一歩を踏み出すことができます。
アスパラガス栽培の水やりと肥料の管理
ここからは、アスパラガス栽培の水やりと肥料の管理について紹介します。
適切な水やりの量とタイミング
アスパラガスのプランター栽培では、適切な水やりが大切です。特に初夏〜夏にかけての成長期には、乾燥を避けるためにもこまめな水やりが必要です。土が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。また、気温が高い日中よりも、日が昇る前や日が落ちてからの時間帯に水やりをすると、蒸散を防げます。逆に冬季は成長が止まるため、水やりは控えめにし、土が完全に乾いてから少量を与えるようにしましょう。ただし、霜対策として霜よけシートを使う場合は、通気性が悪くなるため、適度な水やりを心掛けてください。
肥料の種類と与え方
アスパラガスのプランター栽培には化成肥料を使用することが推奨されています。一般的な野菜用肥料でも問題ありませんが、アスパラガスは特に窒素・リン酸・カリウムを多く必要とするため、これら三つの栄養素をバランス良く含んだ肥料を選ぶと良いでしょう。
肥料の与え方は時期によります。春の成長期には、新芽の発育をサポートするために窒素を多く含む肥料を適量与えます。夏にはリン酸とカリウムを多めに含む肥料を使用し、体力維持と収穫に備えます。
冬の間は、アスパラガスの株が休眠するため、肥料の施用は控えめにしましょう。定期的に土の様子を見て、乾燥が進んでいる場合は適度に水を与えるよう心がけましょう。
アスパラガスの収穫
ここからは、アスパラガスの収穫のタイミングや収量について紹介します。
収穫のタイミングとポイント
アスパラガスの収穫のタイミングとポイントについて解説します。アスパラガスの収穫時期は、植え付けから約2〜3年後から始まります。この期間は株を大きくするための栄養補給期間となります。収穫のタイミングは、新芽が地表から10cmほど出てきた時がベストです。ただし、注意点として太すぎず、細すぎず、茎が真っ直ぐで頭が閉じているものを選びましょう。
また、収穫は朝に行い、夜間に生長した新鮮な茎を収穫するのが理想的です。アスパラガスは一度に全てを収穫せず、数日に一度、成長具合を見ながら少しずつ収穫します。これは茎を切り取ることで新たな芽が刺激されて出てきます。旬は春から初夏で、その間に丁寧に収穫を行うことで美味しいアスパラガスを楽しむことができます。
一株で何本収穫できるか
アスパラガスの一株からの収穫量は、その株の年齢や管理状態によります。通常、アスパラガスの栽培では、株が2〜3年育ったところから収穫が開始できます。その際、一株からは季節によりますが、概ね10本程度のアスパラを収穫することが可能です。
ただし、これはあくまで一般的な数値であり、収穫量を増やすためには適切な水やりや肥料の管理が重要となります。なお、早めに収穫を始め過ぎると株が弱ってしまうため、アスパラガスがしっかりと育つまで待つことも大切です。
アスパラガスのプランター栽培における冬越し
ここからは、アスパラガスのプランター栽培における冬越しについて、ポイントや注意点を紹介します。
冬期の水やりの注意点
冬期におけるアスパラガスの水やりは、控えめに行うことが重要です。アスパラガスは過湿を嫌う植物であり、冬期は生育が停滞するため水分の消費が少なくなります。したがって、冬期の水やりは乾燥を防ぐ程度に、土の表面が乾いたら少しずつ与える程度にしましょう。
特にプランター栽培の場合は土の乾燥が進みやすいため、注意が必要です。プランターの下部に皿を設置し、水はけを良くすることも重要です。また、霜対策として麦わらなどで覆うのもおすすめです。これらの注意事項を守りながら、冬期もアスパラガスの栽培を楽しみましょう。
冬越しのためのプランターの管理
アスパラガスのプランター栽培では、冬越しの管理も重要なポイントとなります。最初に、アスパラガスは寒さに強い多年草であるため、特別な防寒対策は必要ありません。しかし、プランターの場合、土の上部が凍結しやすいため、マルチングを行うことで寒冷ダメージを防ぎます。
マルチングとは、株元に落ち葉やストローを敷きつめ、地温を保つ方法です。これにより、プランターの土が凍るのを防ぎます。また、冬季の水やりは乾燥を避ける程度に控えめにします。過剰な水分は根腐れの原因となります。
プランターでのアスパラガス栽培の1年目から2年目へのポイント
アスパラガスのプランター栽培では、1年目から2年目への移行期に注意が必要です。はじめに、1年目の収穫は控えめに。苗が十分に根付くまで、収穫は最小限にしましょう。そして、冬期は適度な水やりを心掛けます。多すぎると根腐れの原因となり、逆に乾燥しすぎると根がダメージを受けるため、適度な湿度を保つことが肝心です。
次に、2年目からは本格的な収穫が可能となりますが、この時期も一定の管理が必要です。新芽が出てきたら、太さが1cm以上になったものだけを摘んで収穫し、1cm以下のものは生長させておきます。これにより、株自体の成長を促し、長期的に収穫を楽しむことができます。
まとめ
アスパラガスのプランター栽培は、適切な土作り、プランターの大きさや株分け、栽培のタイミング、水やりや肥料の管理等に注意を払うことで成功します。
一般的に、プランターの大きさは深さが20cm以上あるものが望ましく、種から育てる場合は2〜3年、大苗からならすぐにでも収穫が可能です。また、一株からは通常、複数本の収穫が見込まれます。プランターでの冬越しは適切な水やりと管理が必要で、その方法をしっかりと理解することが重要です。
以上のポイントを踏まえ、自宅でのアスパラガス栽培に挑戦してみてください◎
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