はじめに
ジャガイモには、糖質はもちろんビタミンCやカリウムなど多くの栄養素が含まれていますが、実は微量の毒素も入っています。ジャガイモが原因で食中毒の被害にあう人は一年間でおよそ30人いますが、そのほとんどが家庭菜園で栽培した未熟なジャガイモによるものです。
今回は、ジャガイモの栽培から料理に至るまで、ジャガイモに関して注意するべき点をご紹介します。ご家庭や学校でジャガイモを栽培される方はぜひお読みください。
ジャガイモの毒の危険性
ジャガイモに含まれる天然毒素は二種類で、まずひとつは芽に含まれるソラニン、もうひとつは皮に含まれるチャコニンです。ソラニンは有名で、ある映画の題名にもなっていますね。
これらの二つの毒は即効性があるような強いものではありません。しかし、大量に摂取すると食中毒を引き起こす可能性があり、食後30分~1時間で吐き気や下痢、嘔吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が現れます。
体質によって症状の表れ方には違いがありますが、大人の場合は200~400mg、子供の場合は15.6~40mgのソラニンを摂取すると中毒症状が出ると言われています。大人と子供では大きく許容値が異なるため、特に小さなお子様がいるご家庭では注意が必要です。
ジャガイモ栽培で気をつけるポイント
未熟で小さいジャガイモには、天然毒素が多く含まれていることがあります。そこで、家庭菜園でジャガイモを栽培する際には、できるだけ大きく生育できる環境を整えることと、ジャガイモを日に当てないようにすることが重要です。
植え付け時にはジャガイモに十分な肥料を与え、大きく育つようにスペースを確保しましょう。草丈が10cmくらいになったら芽かきをして、余分な部位に養分が行かないようにします。
光が当たって緑色になってしまったジャガイモは、特に毒素が多くなっています。イモに光が当たらないよう、根元にしっかり土寄せをしましょう。収穫する際は、イモに傷がつくと天然毒素の量が増えることがあるので、スコップで傷をつけないように注意が必要です。
調理するときの注意点
ジャガイモの皮には、ビタミンB2や鉄、ミネラルなどの栄養素が多く含まれていますが、毒素を多く含む可能性もあります。お子様がいるご家庭では、皮を剥いてから調理することをおすすめします。特に、皮が緑色に変色していたら毒度の濃度が高い証拠です。必ず皮を剥くようにしましょう。
また、色の変化やジャガイモの大きさに関わらず、芽の周辺には毒素が含まれていることが多いため、調理の際には必ず取り除くようにしてください。もしも食べたときに苦みやえぐみを感じたら、それ以上は食べないようにしてください。
ソラニンやチャコニンは水に溶けやすいという性質があります。水にさらすことで、ジャガイモから毒素が抜けてより安全に食べることができます。
おわりに
今回は、食卓の力強い味方であるジャガイモにも実は毒素が含まれていることをご紹介しました。とはいえ、畑の準備を適切に行って栽培時に気をつけるべき点に留意すれば、美味しいジャガイモを収穫できるでしょう。
知っておくべきじゃがいもの病気!6つの病気の被害とその対処法では、ジャガイモを栽培するときに注意したい病気について紹介しています。併せてご参照ください。