柑橘栽培の魅力について知ろう!
柑橘類を家庭果樹栽培する魅力は、何と言っても果実がなることです。自分で育てることで、新芽が出て、蕾がつき、花が咲いて果実になる、一連の流れを楽しむことができます。また、地植えの場合は、真夏の雨が降らない日が続く場合以外は水やりの必要がほぼありません。
食べ頃を自分で調節できる
柑橘の中には、通常よりも長く樹上で成熟させるものがあります。長く熟成させたミカンは「木なり完熟みかん」として販売され、甘みが増して、酸味がまろやかになります。
自分で栽培している樹木なら、早めに採ったり、樹上で成熟させたりと調節が自由です。酸味と甘みを調節しながら収穫できるのは、家庭果樹栽培ならではです。
食育につながる
柑橘類の実がどのようにして樹になるのか、実がなるためには受粉が必要、など、柑橘の成長を見ることで食べ物を大切にする気持ちが芽生える1つの方法にもなります。
温州ミカンや柚子、キンカンなどは2年から3年で実をつけます。八朔や甘夏、夏ミカンなどは3年から4年ほどかかります。柑橘を育ててみて初めて気付くことや発見が、食育につながります。
柑橘の花
実がなる前に、小さくて白い可憐な花が咲き、甘い香りが辺りに漂います。
柑橘の花は、アロマでも用いられ天然の精神安定剤といわれるほど、不安を鎮め幸福感を与えてくれる効果があります。種類によって香りは少しずつ違い、レモンの花は真っ白ではなく、外側が赤紫色です。柑橘の花を見ながら、自宅でお花見も楽しめます。
柑橘の育て方・栽培方法の紹介!
柑橘類にはさまざまな種類があるので、全て同じ方法とはいえませんが、代表的な柑橘の育て方をご紹介します。
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柑橘類は発芽率が良く、種からの発芽率は6割程度です。種を購入しなくても、食べていた柑橘の中に入っていた種からでも発芽します。
用意した種が全て発芽するわけではないので、多めに用意してください。
種から発芽させる方法
- 1日~2日水につけて洗い流す。
- 種の薄皮をむく。
- 水で湿らしたキッチンペーパーの上に種をおく。
- 1週間から3週間くらいかけて発芽する。
- 苗ポットの中に植える
植え付け・定植の方法と時期
植え付けは10月から11月、3月から4月に行います。常緑樹なので、極寒期は避けて植え付けます。
地植え
地植えの場合は、植え付ける場所を決めてください。水はけがよく、風当りが少なくて日当たりが良好な場所が最適です。
鉢植え
鉢植えであれば移動できるので、冬場-8℃より下回る地域での栽培では鉢植えがおすすめです。鉢植えはコンパクトに育てられるだけでなく、実のつきがよくなるというメリットがあります。しかし、何年も植え替えしないでおくと根詰まりをおこして育ちが悪くなります。水やりをしても1分以上水が浸み込んでいかないときは、根詰まりの可能性があるので植え替えをおこなってください。
プランター
プランターでも栽培はできます。近年ではインテリアプランツとして室内で育てる人も多くなりました。
定植後の栽培管理と頻度
水やりは地植えと鉢植えで方法が違います。
水やり
●鉢植え
土の表面が乾いたら、鉢底から水が溢れ出てくるくらいにたっぷりと水をあげます。花芽がついて実がなる時期は水切れをおこさないように注意してください。
●地植え
水やりはほぼ不要です。夏場に日照りが続くときは水をあげてください。
摘芯・摘蕾・摘花・芽かき
着果数が多い場合は摘果が必要になります。
●温州ミカン
7月から8月に摘果します。鉢植えの場合は、枝1本に対して1,2個。地植えの場合は、25枚の葉に対して1個程度を目安にしてください。
●レモン
温州ミカンと同様、7月から8月に摘果、鉢植えの場合は、枝1本に対して1,2個。地植えの場合は、葉25枚に対して1個ていど。
●ゆず
実がふくらみ始めると自然に落果します。7月から8月に摘果します。
●キンカン
葉8枚に対して1つか2つ。傷があるものや小さいものから摘果します。
●甘夏
葉10~15枚に対して1つの割合にします。7月から8月に摘果します。
肥料・追肥
地植え、鉢植えともに3月、6月、10月ごろに有機質肥料か即効性化成肥料を与えます。
病害虫対策
エカキムシやカイガラムシなどが発生する場合がありますが、特に問題となる害虫はないようです。しかし、アゲハ蝶には注意してください。葉の裏側辺りに、とても小さな白くて丸いものがポツポツと付いていることがあります。これはアゲハ蝶の卵で、しばらくするとアゲハ蝶の幼虫がふ化し、柑橘類の葉を食べつくしてしまうことがあり
収穫
柑橘類の種類によって収穫時期が異なります。
●温州ミカン
10月から1月
●レモン
10月から4月
●ゆず
青柚子 7月から10月
黄色い熟した柚子 11月から12月
●甘夏
12月から1月
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初心者の方にも育てやすい柑橘類ですが、花が咲かない、実がならない、葉が枯れるなど、柑橘類を育てるに当たって問題も出てきます。
花が咲かない
日当たりが悪い場合は花が咲きません。また、肥料を与えすぎた場合も、トゲの生えた長い枝が出るばかりで花が咲かなくなります。苗木なので咲かないこともあります。
実がならない
剪定しすぎたり、全く剪定しなかったりすると実らないことがあります。
大きくなりすぎたからといって、強剪定すると葉が少なくなり光合成ができなくなります。十分な栄養が作れなくなると、結実しなくなります。
そして、隔年結果のため実のつきが悪くなることもあります。隔年結果とは、前年に実をつけすぎると栄養不足となり、翌年に影響します。
実が割れる
果実が成長する過程で高温が続き、雨が少なくて乾燥した状態になると果実の成長が鈍ります。その後、大雨が降り続くと果実が急に早くなり、皮の成長が追いつかなくなり実割れがおこります。
映えて美味しい柑橘を育てるコツは?
美味しい柑橘を育てるためには、肥料や水やりなどの管理で美味しさをプラスさせることができます。
美味しくなるポイントは肥料
肥料を与えるときは、決められた時期に定期的に適量を与えることが基本となります。特に、窒素の施肥量と時期を重要視してください。
土壌の改良にも気を付ける
土壌の条件によっても、柑橘の品質に差が生まれます。水はけのよい土壌で、養分の保持力が高ければ品質の良い果実がなります。
水の与えすぎに注意
柑橘類は水やりの頻度や量に注意してください。栄養成長と生殖成長、成熟成長が1年のサイクルで繰り返されます。栄養成長と生殖成長では水が必要になるので、抑制せずに水やりをしてください。成熟成長期に入るころから水やりを控えるようしましょう。
まとめ
柑橘類は比較的育てやすい果樹なので、家庭菜園の初心者さんにもおすすめです。かわいい花を咲かせた後は、果実が実るので年に2回の楽しみが増えますよ。そして、果樹は常緑果樹なので葉を片づける手間もかかりません。