アザミウマ
アザミウマは様々な植物に発生する害虫です。複数の作物を同じ場所で育てていたり、雑草が多かったりすると発生しやすくなります。アザミウマは口を植物の表面に押し付けて汁を吸い上げるため、葉に白っぽい小さな斑点が残ります。
防除方法
アザミウマは成虫になっても地面近くにいることが多いため、農薬や天敵による防除の効果が上がりにくいという手強い害虫です。タマネギに限らず様々な植物に寄生するため、周りの雑草は丁寧に取り除くようにしましょう。また、マルチを張ることによって飛来と蛹化の対策になります。
アザミウマが発生した場合には、蒸しこみによる処理を行いましょう。大量発生してからでは薬剤も効かなくなってしまうため、発生初期の防除が重要です。
ネギハモグリバエ
ハモグリバエ類にはナモグリバエやマメハモグリバエといった種類があり、タマネギにはネギハモグリバエという種類が食害を行います。体長は3㎜以下の小さな虫で、葉の内部に生息し、侵食して白い筋のような跡を残すため、多発すると葉全体が白っぽく見えるようになります。
4月や8~9月に多く見られます。葉の中を食べ進むため、食害を受けた葉には白いペンで書いたような跡がつくのが被害の特徴です。
また、一部は葉の内部に卵を残します。幼虫が葉からりん茎にまで侵入すると、収穫物の品質に大きな影響が出てしまいます。
防除方法
生育初期に被害を受けると葉の奇形につながることもあるため、早期に発見することが重要です。寄生蜂などの天敵を用いる方法もあります。周囲の葉に被害が広がるのを防ぐために、食害された葉は見つけ次第取り除きましょう。
ヨトウムシ
「夜盗虫」の名のとおり夜行性のため、昼間は土中に隠れていて夜に活動を開始します。成虫は薬剤への抵抗性が高いため、幼虫の時期に適切に駆除することで被害を最小限に食い止めましょう。
ネギ類やナス、キャベツなど多様な野菜で発生するため、周囲で別の作物を育てている場合にも注意が必要です。
防除方法
植え付ける前に畑をよく耕して、幼虫やさなぎを見つけたら駆除しましょう。成長すると夜行性になり昼間は土中に隠れてしまうため、初期の段階で捕殺したり薬剤で対処したりする必要があります。
成虫であるヨトウガの飛来と産卵を防ぐために、べたがけやトンネルで苗を保護するとよいでしょう。
ヨトウガは葉の裏側に卵を産み付けます。日頃から葉の裏をチェックし、卵を見つけたら、孵化する前に葉ごと切り取って取り除きましょう。
アブラムシ
体長が1㎜~2㎜ほどの小さな虫です。一年を通して発生します。葉から汁を吸うため、虫食いの穴は空きませんが、葉全体が萎縮するような症状があらわれます。
短期間で急速に増殖することがあるので、発生状況をこまめに確認しましょう。また、モザイク病を媒介するため、きちんと予防することが重要です。
防除方法
飛来を防ぐために防虫ネットをかけましょう。アブラムシが通れないくらい目の細かいものを選ぶようにします。
アブラムシを捕殺する際にはテープや歯ブラシなどが便利ですが、アブラムシは体が小さく数が多いため、完全に捕りきるのは困難です。被害が広がってしまった場合には葉ごと処分するか、薬剤を散布しましょう。
ネギコガ
ネギコガは蛾の仲間で、幼虫が植え付け後の時期に葉の内部に入り込んで食害し、白い筋を残します。被害が進むと、葉の内部に黒い糞が残っているのが見えることがあります。先述のネギハモグリバエと似ているため、見分けるには葉から幼虫を取り出して観察する必要があります。
防除方法
幼虫はサイズが小さいので、防虫ネットなどで防除するのが難しいです。そのため、生育中にこまめに葉をチェックして見つけ次第捕殺するようにしましょう。幼虫だけでなく、さなぎを取り除くと、成虫に卵を産み付けられることが少なくなり、次年度以降の被害を押さえることにつながります。
また、幼虫が葉に侵入してしまってからでは殺虫効果が減少するため、薬剤での防除を行う場合は、幼虫がふ化する前後の時期を狙いましょう。
終わりに
タマネギ栽培に限らず、害虫や病気による大きな被害を防ぐために重要なのは生育環境を適切に維持することです。水やりは適切か、肥料や土に問題はないか、風通しはよく保たれているか。これらの点すべてに気を配ることは簡単ではありませんが、適切に栽培環境の管理を行いながら、より良い野菜作りを目指しましょう。
ただし、どんなに気をつけていても害虫が発生することはあり得ます。特に大量に発生した場合には、薬剤を使った対処も有効です。本ページの農薬データベースの対象農作物の欄に「玉ねぎ」、適用病害虫に害虫名を入力すると、害虫の防除に適した薬剤を検索することができます。そちらの情報も参考にしながら、適切な方法で駆除を行ってください。