作物の厄介な病害である「白絹病」とは?
白絹病ってどんな病気?
白絹病とは、カビによって引き起こされる、植物の地際部やそのまわりの地面が白い糸のようなもので覆われて枯れてしまう病気。この糸のようなものとは、カビの「菌糸」。
カビは胞子という粉で病害を広げていくという厄介な特徴があります。白絹病を引き起こすカビの胞子は、水や空気を通して広がっていきます。そのため湿度が高いと発生しやすく、また高温を好むため、6~9月に特に風通しの悪いところで多発します。さらに、発生後の繁殖では乾燥を好み、水気を嫌うという点は特徴的です。
また、白絹病の病原菌は地際に白または褐色の粒々(菌核とよばれます)があらわれ、越冬します。菌核は気温が低くても数年間生存可能なのです。
感染作物は?
- 多種多様な作物に感染します。ネギが有名ですが、トマト、ナス、ピーマン、キュウリ、カボチャ、タマネギ、ニンジンなど多くの野菜に感染し、非常におおきな被害となっています。
白絹病が厄介な病害であることはお分かりいただけたと思います。
病害は予防をおこない発生させないのがいちばんですが、もうかかってしまった、対処法が知りたい…という方もいらっしゃいますよね。そんな方のために、予防法から畑の復活方法まで紹介します。
白絹病の予防法や対処法を紹介!本当に効果のある方法は?
白絹病の感染予防
しっかりと予防すれば防ぐことができます。以下の三つの対策をバランスよくおこなうことが予防のカギです。「排水対策」「pH調整」「植物の抵抗性をあげる対策」があります。
排水対策をおこなう
土壌改良をおこない、水はけの良い状態にする
水はけが悪い状態の土壌中で生育する根は弱ってしまうため、病気にかかりやすくなってしまいます。そのため、植え付け前に事前に土壌改良をおこないましょう。
過密状態を避けるように株間は広めに
病原菌は水分や土壌中が広がっていきます。密植は作物の風通しが悪くなるため、作物の成長にともなって葉分けをおこなうなどの管理が重要です。
マルチングによって泥はねを避ける
雨などによる土の跳ね返りが、作物に付着してしまうと病気にかかりやすくなります。そのため、マルチや敷き藁を設置しましょう。また、落ち葉を放置すると、その落ち葉にも土が付着していたり落ち葉そのものに病原菌が付着している可能性があるため、よくありません。
資材消毒をおこなう
水中にのって広がる病原菌であるため、器具(支柱やひも、剪定ばさみなど)に付着して広がる場合もあります。こまめに器具の消毒をおこなうのも有効です。
pHをあげる
病原菌は酸性(pH5~6)を好みます。pH7程度であれば発生が激減します。作物を育てると自然にpHが酸性に傾きがちなので、定期的に確認をおこない、苦土石灰などを使用してpHを調整します。
植物の抵抗性をあげる対策
抵抗性品種をもちいる
抵抗性品種をもちいることで感染率が下がります。
最適なバランス・量の栄養が含まれるように整える
- 肥料の三要素であるNPKのバランスがよくなるように、元肥を加えます。元肥は、効果がゆっくり長く持続する緩効性肥料が適しています。これを植え付け1週間まえを目安に土壌とよく混ぜておきます。
- さらに、肥料切れが起きないように追肥もおこないます。しかし、窒素過多の状態は非常に病気にかかりやすくなってしまうため、加え過ぎないように注意しましょう。
スプレーをつかって薬剤を散布する
- 薬剤を適切な濃度に希釈して、葉の表裏にスプレーをつかって散布しましょう。
- ★おすすめの薬剤
- リゾレックス水和剤、GFベンレート水和剤や石原フロンサイド水和剤
- また、カビが引き起こす病気には、微生物資材である納豆菌液(バチルス菌液)もおすすめ。うどんこ病、カビ病、軟腐病、白絹病、褐班病、炭疽病での効果が知られている優秀な資材。月に1回程度葉の表裏にスプレーをつかって散布します。
白絹病の対処法
白絹病は、6 月∼7 月の梅雨期や 9 月∼10 月頃の秋雨期など雨が多く暖かい時期に発生しやすい病害です。白絹病になってしまったら、一刻もはやく蔓延を防ぐ必要があります。
白絹病は出来るだけ毎日葉の観察をおこない、問題がないか確認してください、初期対処がもっとも重要です!発生の初期段階であれば、防除できることもあります。
患部を取り除き、株元に薬剤を散布する
患部には病原菌が付着しているので、静かに取り除き、袋などにいれて処分します。その後、土寄せの前あるいは土寄せ時に、リゾレックス粉剤やモンガリット粒剤を株元に散布しましょう。
白絹病にかかってしまった畑の復活方法
手を打つのが遅かったから対処しきれなかった…けれど、この土壌を次の作物栽培にそのまま使用していいの?という疑問の方もいらっしゃいますよね。
白絹病の病原菌は、土壌中に潜伏し、春や秋になったら再度繁殖します。そのため、土壌消毒をおこなうことを検討しましょう。
簡単な土壌消毒の方法としては、太陽熱消毒や寒起こしなどがあります。
【夏】太陽熱消毒
レーキや土ふるいで被害を受けた株の根をすべて取り除き、土を透明なビニール袋に入れて水分を含ませ密封します。2~3日ごとに袋の両面をひっくり返して、直射日光に長時間当てます。道具も必要最低限で済む、夏におすすめの方法。
【冬】寒起こし
一方、冬は晴れていて風のない日に、土を掘り返します。その後、1ヶ月ほど寒さにさらします。このとき、土が含んでいる水分の凍結や解凍を繰り返すことで害虫や病原菌へダメージを与えられます。道具がいらない、冬におすすめの方法です。
おわりに
本記事では白絹病の特徴とその対策法を紹介しました。白絹病はおおくの作物に感染することから、輪作をおこなっている農家の方でも注意しましょう。ぜひ予防法から実践してみてくださいね。