作物の厄介な病害である「さび病」とは?
さび病ってどんな病気?
さび病とは、葉に橙色または褐色の楕円状の小さい斑点ができ、鉄のサビのようなカビが生える病気のことをいいます。作物の種類によって葉の表面にできる病斑の色は異なり、黒色、褐色、淡黄色、白色などがあります。病状が進行すると、最終的には葉だけでなく茎までも枯死させます。
カビは胞子という粉で病害を広げていくという厄介な特徴があります。さび病を引き起こすカビの胞子は、水または空気を通して広がっていきます。そのため、湿度が高いと繁殖しやすく、春または秋に、特に風通しの悪いところで多発します。
感染作物は?
多種多様な作物に感染します。タマネギ、ネギ、ニラ、ダイコン、カブ、エダマメ、ブドウやイチジクなどが感染し、非常におおきな被害となっています。
さび病を発生させるカビは、1種類の植物にしか感染しないカビも存在する一方で、複数種類の植物に感染できるカビも存在するのも厄介な点です。
さび病が厄介な病害であることはお分かりいただけたと思います。
病害は予防をおこない発生させないのがいちばんですが、もうかかってしまった、対処法が知りたい…という方もいらっしゃいますよね。そんな方のために、予防法から畑の復活方法まで紹介します。
さび病の予防法や対処法を紹介!
さび病の感染予防
さび病は、日頃から作物の管理をきちんとおこなっていれば発病することは少ない病気であるといえます。
窒素過多に注意
管理のなかでも、もっとも重要なのが「適切なバランス・量の栄養が含まれるように整える」ということ。
肥料の三要素であるNPKのバランスがよくなるように、元肥を加えます。元肥は、効果がゆっくり長く持続する緩効性肥料が適しています。これを植え付け1週間まえを目安に土壌とよく混ぜておきます。
さらに、肥料切れが起きないように追肥もおこないます。しかし、窒素過多の状態は非常に病気にかかりやすくなってしまうため、加え過ぎないように注意しましょう。
スプレーで木酢液や重曹を散布する
木酢液とは、植物の生育促進、防菌、微生物活性などの効果があることで知られる、木材由来の液体。木酢液や酢酸などの有機酸を散布することで、もし植物体が弱っていても病原菌に感染するのを防ぐ可能性が高まります。適切な濃度に希釈して、葉の表裏にスプレーをつかって散布しましょう。
また重曹でも似た効果が得られることが知られています。
さび病の対処法
さび病は、真夏に一時期おさまりますが、春から秋(4~11月)にかけて長い期間発生しやすい病害です。さび病になってしまったら、一刻もはやく蔓延を防ぐ必要があります。
さび病は出来るだけ毎日葉の観察をおこない、問題がないか確認してください、初期対処がもっとも重要です!
スプレーをつかって抗菌剤を散布する
抗菌剤を適切な濃度に希釈し、葉の表裏にスプレーをつかって散布しましょう。
★抗菌剤の選び方
1種類の抗菌剤だけだと免疫ができてやすいので、3種類の抗菌剤を交互に散布するのがポイント。植物用の抗菌剤や殺菌剤であれば使用できます。
カリグリーン、ベンレート水和剤、ダニコールなど
さび病にかかってしまった畑の復活方法
手を打つのが遅かったから対処しきれなかった…けれど、この土壌を次の作物栽培にそのまま使用していいの?という疑問の方もいらっしゃいますよね。
さび病の病原菌は、繁殖をおこなない夏や冬のあいだも葉や茎などに付着し、春や秋になったら再度繁殖します。このとき、空気・水をとおして胞子が飛んで感染していきます。
そのため、土壌消毒が決定的に効果が出るとはいえないのが難しいところです。できるだけ、栽培の畑を変更することが必要です。なお、それが風下であればさらに良いでしょう。
おわりに
本記事ではさび病の特徴とその対策法を紹介しました。病害のなかでもさび病はは発生してしまったら手遅れになることも多いので注意しましょう。ぜひ実践してみてくださいね。