作物の厄介な病害である「うどんこ病」とは?
若い葉や茎の表面にうどん粉をまぶしたように白いカビが生える病気のことをいいます。花梗部につくと開花を阻害したり、葉から養分をとって葉を枯らしたりすることから、作物は光合成を行うことができなくなり、作物の収量を3割ほど減らすこともあるという大問題を引き起こしている病気なのです。
さらに、非常に多種多様な作物に感染するということも特徴的です。
イチゴ、カボチャ、キュウリ、サヤエンドウ、トマト、ナス、ニンジン、パセリなどがあります。
カビは胞子という粉で病害を広げていくという厄介な特徴があります。うどんこ病を引き起こすカビは風にのって広がるため、涼しく湿度が低いと繁殖しやすく、春または秋に、特に風通しの悪いところで多発します。
うどんこ病が厄介な病害であることはお分かりいただけたと思います。
うどんこ病に限った話ではありませんが、病害は予防をおこない発生させないのがいちばんです。そこで次項では、病害の予防の基本について紹介していきます!
土壌改良で病害に強い土づくりをするのが基本!!
作物は、根から栄養分を吸収しますよね。その結果、作物を育てた後の土壌の栄養状態は非常にかたよっています。また、作物の根の周りには特定の微生物が多く存在しており、栄養分だけでなく土壌微生物もかたよりがある状態となっています。
作物を育てた後の畑をそのまま使ってしまうと、それらの「かたより」がある土壌をそのまま使ってしまうことになります。しかし、かたよりがある土壌で作物は、病害に非常にかかりやすくなってしまうのです。
そこで土壌改良の出番!!
土壌改良材をつかって土づくりをおこないます。ステップは3つ。
➀土壌診断をおこなう
土壌中にふくまれる各栄養素の量やpHなどを測定します。専門業者に頼むのも手ですが、市販のキットも簡単に手に入るのでおすすめです。
➁土壌を適切なpHに整える
作物をそだてると多くの土壌は酸性にかたむいています。そのため、植え付け2週間前までには、土を深さ30cm程度までよく耕してから苦土石灰を畑によく混ぜ込みます。
➂土壌団粒構造をもつ土壌をつくる
土壌団粒構造をもつということは、「保水性・排水性がバランスよく優れる」「通気性に優れる」「植物を支える適切な圧力がある」ということになります。この土壌団粒構造をつくるのに使うのが堆肥。
堆肥はいろいろな種類がありますが、初心者のかたには「腐葉土」、「バーク堆肥」がおすすめ。植え付け1週間まえまでに土壌とよく混ぜます。
➃適切なバランス・量の栄養が含まれるように整える
肥料の三要素であるNPKのバランスがよくなるように、➀の土壌診断の結果を参考にしながら元肥を加えます。元肥は、効果がゆっくり長く持続する緩効性肥料が適しています。これを植え付け1週間まえを目安に土壌とよく混ぜておきます。
うどんこ病にならないための効果的なワンポイントアドバイス!
つぎに、うどんこ病にならないようにする防除のポイントをまとめます。
前項で紹介した土壌改良をおこなったうえで、以下のポイントをおさえるとさらに効果的です。
栄養管理をおこなう
具体的には、うどんこ病は多肥を好みます。なかでもN過多により植物体の抵抗性がおちたときに発生しやすくなります。
土壌改良時はもちろんですが、追肥を行う場合にもバランスの良い肥料やりを心がけ、肥料過多を避けます。
風通しをよくする
通気性をよくするために、葉や枝をこまめに剪定します。
乾燥状態を避ける
こまめなかん水をしっかりとおこなうことが大切です。
資材の消毒をおこなう
道具や資材に病原菌が付着している可能性があるのでこまめな消毒もおすすめです。
以上のような予防対策で、病害は予防をおこない発生させないのがいちばんです。しかし、もうかかってしまった、対処法が知りたい…という方もいらっしゃいますよね。そんな方のために、対処法を紹介します。
うどんこ病になってしまったら?対処法と畑の復活方法を紹介!
うどんこ病は、真夏に一時期おさまりますが、春から秋にかけて長い期間発生しやすい病害です。うどんこ病になってしまったら、一刻もはやく解決しないと畑全滅になりかねません。そこで、蔓延を防ぐ対処法を紹介。
対処法のなかでも効果的なのが、春から秋にかけて、5回ほど消毒を繰り返すことです。
消毒の方法は以下のようになっています。
スプレーをつかって抗菌剤を散布
抗菌剤を適切な濃度に希釈し、葉の表裏にスプレーをつかって散布しましょう。
うどんこ病は、病害の中でも特に薬剤耐性が発生しやすいことで有名。そのため1種類の抗菌剤だけだと免疫ができてしまうので、3種類の抗菌剤を交互に散布するのがポイント。植物用の抗菌剤や殺菌剤であれば使用できます。
★おすすめの薬剤
- モレスタン水和剤(3000倍液)
- バイレトン水和剤(500-1000倍液)
- トリフミン水和剤(2000-3000倍液)
抗菌剤を使用したくない場合、酢または木酢液(竹酢液)を散布
酢(100倍から200倍)、木酢液(パッケージに書かれている倍率)に希釈し、抗菌剤のやりかたと同様にスプレーで散布します。
消毒をおこなうときはマスクを着用し、注意書きをよく読み使用には十分注意しましょう。
また、一度うどんこ病が発生した畑を使うのは心配ですよね。カビの胞子は土壌や葉にふくまれる空気・水をとおして飛ぶことで感染していきます。
そのため、土壌消毒をおこなうことを検討してみてましょう。
土壌洗浄
簡単な土壌消毒の方法としては、太陽熱消毒や寒起こしなどがあります。
【夏】太陽熱消毒
レーキや土ふるいで被害を受けた株の根をすべて取り除き、土を透明なビニール袋に入れて水分を含ませ密封します。2~3日ごとに袋の両面をひっくり返して、直射日光に長時間当てます。道具も必要最低限で済む、夏におすすめの方法。
【冬】寒起こし
一方、冬は晴れていて風のない日に、土を掘り返します。その後、1ヶ月ほど寒さにさらします。このとき、土が含んでいる水分の凍結や解凍を繰り返すことで害虫や病原菌へダメージを与えられます。道具がいらない、冬におすすめの方法です。
おわりに
本記事ではうどんこ病の特徴とその予防法として土壌改良や、対処に効果的な消毒方法を紹介しました。病害はできるだけ発生させないのが、元気な作物をつくるいちばんの近道です!ぜひ実践してみてくださいね。