作物の厄介な病害である「褐斑病」とは?
褐斑病ってどんな病気?
褐斑病とは、カビによって引き起こされる、葉に茶褐色やこげ茶色の斑点ができる病気。病状が進行すると落葉してしまいます。下の方の古い葉から順に病状があらわれます。
カビは胞子という粉で病害を広げていくという厄介な特徴があります。褐斑病を引き起こすカビの胞子は、水や空気を通して広がっていきます。そのため、湿度が高いと繁殖しやすく、湿度が高くなる初夏に、特に風通しの悪いところで多発します。
感染作物は?
多種多様な作物に感染します。キュウリなどウリ科、ナス、トマト、ピーマンなどのナス科、ダイズ、ハスなどのマメ科に感染し、非常におおきな被害となり、原因となる病原菌は20以上もの種類が存在することが知られています。
以上から、褐斑病が厄介な病害であることはお分かりいただけたと思います。
病害は予防をおこない発生させないのがいちばんですが、もうかかってしまった、対処法が知りたい…という方もいらっしゃいますよね。そんな方のために、予防法から畑の復活方法まで紹介します。
褐斑病の予防法や対処法を紹介!本当に効果のある方法は?
褐斑病の感染予防
予防法をいくつか組み合わせておこなうことで有効な効果が得られます。大きく分けると「排水対策」「植物の抵抗性をあげる対策」があります。
排水対策をおこなう
過密状態を避けるように株間は広めに
病原菌は空気や水中を胞子が広がっていきます。密植は作物の風通しが悪くなるため、作物の成長にともなって葉分けをおこなうなどの管理が重要です。
マルチングによって泥はねを避ける
雨などによる土の跳ね返りが、作物に付着してしまうと病気にかかりやすくなります。そのため、マルチや敷き藁を設置しましょう。また、落ち葉を放置すると、その落ち葉にも土が付着していたり落ち葉そのものに病原菌が付着している可能性があるため、よくありません。
土壌改良をおこない、水はけの良い状態にする
水はけが悪い状態の土壌中で生育する根は弱ってしまうため、病気にかかりやすくなってしまうのです。そのため、植え付け前に事前に土壌改良をおこないましょう。
資材消毒をおこなう
病原菌の胞子は、水や空気にのって広がります。そのため、器具(支柱やひも、剪定ばさみなど)に付着して広がる場合もあります。こまめに器具の消毒をおこなうのも有効です。
植物の抵抗性をあげる
適切なバランス・量の栄養が含まれるように整える
- 肥料の三要素であるNPKのバランスがよくなるように、元肥を加えます。元肥は、効果がゆっくり長く持続する緩効性肥料が適しています。これを植え付け1週間まえを目安に土壌とよく混ぜておきます。
- さらに、肥料切れが起きないように追肥もおこないます。しかし、窒素過多の状態は非常に病気にかかりやすくなってしまうため、加え過ぎないように注意しましょう。
スプレーをつかって木酢液や薬剤を散布する
- 木酢液とは、植物の生育促進、防菌、微生物活性などの効果があることで知られる、木材由来の液体。木酢液や酢酸などの有機酸を散布することで、もし植物体が弱っていても軟腐病の病原菌に感染するのを防ぐ可能性が高まります。適切な濃度に希釈して、葉の表裏にスプレーをつかって散布しましょう。
- また、重曹でも似た効果が得られることが知られています。
- さらに、カビが引き起こす病気には、微生物資材である納豆菌液(バチルス菌液)もおすすめ。うどんこ病、カビ病、軟腐病、白絹病、褐班病、炭疽病での効果が知られている優秀な資材。月に1回程度葉の表裏にスプレーをつかって散布します。
褐斑病の対処法
褐斑病は、真夏に一時期おさまりますが、春から秋(4~11月)にかけて長い期間発生しやすい病害です。褐斑病になってしまったら、一刻もはやく蔓延を防ぐ必要があります。初期段階では万円を防ぐことができるかもしれません。
褐斑病は出来るだけ毎日葉の観察をおこない、問題がないか確認してください、初期対処がもっとも重要です!
患部を取り除き、スプレーをつかって抗菌剤を散布する
患部には病原菌が付着しているので、静かに取り除き、袋などにいれて処分します。その後、抗菌剤を適切な濃度に希釈し、葉の表裏にスプレーをつかって散布しましょう。
★抗菌剤の選び方
1種類の抗菌剤だけだと免疫ができてやすいので、3種類の抗菌剤を交互に散布するのがポイント。植物用の抗菌剤や殺菌剤であれば使用できます。
ベンレート水和剤、ダコニール1000、アミスター20フロアブル11、ラリー乳剤3、カリグリーンなど
褐斑病にかかってしまった畑の復活方法
手を打つのが遅かったから対処しきれなかった…けれど、この土壌を次の作物栽培にそのまま使用していいの?という疑問の方もいらっしゃいますよね。
褐斑病の病原菌は、繁殖をおこない夏や冬のあいだも枯れ葉などに付着し、春や秋になったら再度繁殖します。このとき、土壌や葉にふくまれる空気・水をとおして胞子が飛んで感染していきます。
そのため、土壌消毒をおこなうことを検討してみてもいいかもしれませんね。
簡単な土壌消毒の方法としては、太陽熱消毒や寒起こしなどがあります。
【夏】太陽熱消毒
レーキや土ふるいで被害を受けた株の根をすべて取り除き、土を透明なビニール袋に入れて水分を含ませ密封します。2~3日ごとに袋の両面をひっくり返して、直射日光に長時間当てます。道具も必要最低限で済む、夏におすすめの方法。
【冬】寒起こし
一方、冬は晴れていて風のない日に、土を掘り返します。その後、1ヶ月ほど寒さにさらします。このとき、土が含んでいる水分の凍結や解凍を繰り返すことで害虫や病原菌へダメージを与えられます。道具がいらない、冬におすすめの方法です。
おわりに
本記事では褐斑病の特徴とその対策法を紹介しました。非常におおくの作物に感染する褐斑病。発生していまったらできるだけはやく対処しないと手遅れになるので注意しましょう。ぜひ感染予防から実践してみてくださいね。