作物の厄介な病害である「青枯病」とは?
青枯病ってどんな病気?
青枯病とは、細菌(Ralstonia solanacearum という種 )によって引き起こされる、青いまま突然枯れてしまう病気。この細菌は高温時に活動が活発になり、そのため病気の初期症状では昼間は元気がなくなるけれども夜間になると復活します。
青枯病を引き起こす細菌は、水分や土壌中を通して広がっていく「土壌伝染性」。そのため、湿度が高いと繁殖しやすく、湿度が高くなる初夏に、特に風通しの悪いところで多発します。
感染作物は?
トマト、ナス、ピーマンなどナス科、またジャガイモや、インゲン、イチゴ、ダイコン、カブなど主要な作物が広く感染します。
病原菌の生育温度が高いので、とくに夏季や温暖な地域は注意が必要です。
以上から、青枯病が厄介な病害であることはお分かりいただけたと思います。
病害は予防をおこない発生させないのがいちばんですが、もうかかってしまった、対処法が知りたい…という方もいらっしゃいますよね。そんな方のために、予防法から畑の復活方法まで紹介します。
青枯病の予防法や対処法を紹介!本当に効果のある方法は?
青枯病の感染予防
青枯病は完全に予防することが難しいですが、予防法をいくつか組み合わせておこなうことで有効な効果が得られます。大きく分けると「排水対策」「植物の抵抗性をあげる対策」があります。
植物の抵抗性をあげる対策
抵抗性株をもちいて高接ぎ木をおこなう
「青枯病抵抗性台木」をもちいることで感染率が下がります。さらにこれを高接ぎ木するとよいでしょう。高接ぎ木とは第2,3葉上部で接ぎ木を行う方法のことで、病原菌が地上部へ時間をかけて移動するため病気の進行が遅くなります。
適切なバランス・量の栄養が含まれるように整える
- 肥料の三要素であるNPKのバランスがよくなるように、元肥を加えます。元肥は、効果がゆっくり長く持続する緩効性肥料が適しています。これを植え付け1週間まえを目安に土壌とよく混ぜておきます。
- さらに、肥料切れが起きないように追肥もおこないます。しかし、窒素過多の状態は非常に病気にかかりやすくなってしまうため、加え過ぎないように注意しましょう。
スプレーをつかって木酢液や薬剤を散布する
- 木酢液とは、植物の生育促進、防菌、微生物活性などの効果があることで知られる、木材由来の液体。木酢液や酢酸などの有機酸を散布することで、もし植物体が弱っていても病原菌に感染するのを防ぐ可能性が高まります。適切な濃度に希釈して、葉の表裏にスプレーをつかって散布しましょう。
- 心配であれば、薬剤も併用しましょう。
- ★おすすめの薬剤
- バスアミド微粒剤、クロルピクリン錠剤
排水対策
土壌改良をおこない、水はけの良い状態にする
水はけが悪い状態の土壌中で生育する根は弱ってしまうため、病気にかかりやすくなってしまいます。そのため、植え付け前に事前に土壌改良をおこないましょう。
過密状態を避けるように株間は広めに
病原菌は水分や土壌中が広がっていきます。密植は作物の風通しが悪くなるため、作物の成長にともなって葉分けをおこなうなどの管理が重要です。
マルチングによって泥はねを避ける
雨などによる土の跳ね返りが、作物に付着してしまうと病気にかかりやすくなります。そのため、マルチや敷き藁を設置しましょう。また、落ち葉を放置すると、その落ち葉にも土が付着していたり落ち葉そのものに病原菌が付着している可能性があるため、よくありません。
資材消毒をおこなう
水中にのって広がる病原菌であるため、器具(支柱やひも、剪定ばさみなど)に付着して広がる場合もあります。こまめに器具の消毒をおこなうのも有効です。
青枯病の対処法
青枯病は、一度発生すると対処することができません。しかし、出来るだけ毎日葉の観察をおこない、初期症状があらわれたらすみやかに取り除きましょう。根本の方から感染し、内部から出てくる液体には病原菌が生息しているので、まわりに付着させないように気を付けながら静かに取り除き、袋などにいれて処分します。
青枯病感染の確認方法
茎の切断面を水に浸すと乳白色の菌泥が流れ出ます。とくに株元から病状があらわれるので根本のほうから確認します。
青枯病にかかってしまった畑の復活方法
手を打つのが遅かったから対処しきれなかった…けれど、この土壌を次の作物栽培にそのまま使用していいの?という疑問の方もいらっしゃいますよね。
この細菌の非常にやっかいな点は、水分さえあれば地下深くまで生育可能で、数年間生きるという点。つまり、この病害が一度発生してしまうと土壌消毒や輪作をおこなっても完璧に回避することが困難です。
そんななか、最近注目されているのが微生物資材。水溶性のものが扱いやすくおすすめ。(菌力アップなど)
病害が発生してしまった圃場の土壌消毒をおこない、すぐに微生物資材を施します。その後も1か月ごとなど定期的に施肥し続けます。
微生物資材について
微生物資材とは、その名の通り、微生物が含まれています。資材中の微生物は植物の健康にとって良い微生物がおおく含まれているだけでなく、これらが土壌中で増殖することで病原菌の増殖を抑えることができるのがすごい点!
おわりに
本記事では青枯病の特徴とその対策法を紹介しました。きちんと観察していないと発症が見つけづらい青枯病。病害は発生していまってからでは手遅れになることが多いので注意しましょう。対処しづらい青枯病も、予防対策で完璧にカバーしましょう!ぜひ実践してみてくださいね。