はじめに
ペコロスは直径3~4㎝の小さなタマネギのことで、「小タマネギ」や「ペコラス」「プチオニオン」とも呼ばれます。焼いたり、スープに入れたりして火を通してから食べると甘みが増します。
一口サイズで見た目にも楽しいペコロスは、小ぶりのためプランターでも育てやすく、家庭菜園におすすめです。
今回は、ペコロスの栽培で注意したい害虫とその予防法・対処法をご紹介します。
ペコロス栽培で注意したい害虫
タネバエ
タネバエはペコロスやタマネギ以外にもダイズやインゲンなどの豆類や、キュウリやスイカなどのウリ科野菜、イネ科のトウモロコシなど、複数の野菜に食害をもたらします。
主に幼苗期に発生し、地面近くの茎を幼虫が侵食して生育を阻害します。放置しておくと枯死にいたります。
タネバエは成虫の体長が4~6㎜程度で、気温が上がって暖かくなる春頃から発生が始まり、1年の間に世代交代を繰り返して複数回発生します。
予防法・対処法
ネモグリバエの成虫の飛来を防ぐため、畝全体に寒冷紗や防虫ネットを掛けるとよいでしょう。育苗期は特に、施設内で育てたり防虫ネットをかけたりして被害を防ぎましょう。
タマネギバエ
タマネギバエは体長5~7㎜の虫で、成虫が地面近くの茎に産卵し、そこから幼虫がふ化することによって被害がもたらされます。幼苗期に被害を受けると葉に萎れが生じ、やがて黄色く変色して枯死にいたります。
被害を受けた苗を引っぱると途中で茎が切れ、幼虫が多数寄生している様子が見られます。
貯蔵中のタマネギでも被害が起こることがあります。タマネギバエの幼虫が食害した部分から腐敗が始まり、悪臭が発生します。
予防法・対処法
ひとたび大量に発生すると防除が困難になることから、被害を受けている株を見つけたらすぐに取り除き、畑の外で処分しましょう。
成虫の飛来を防ぐため、防虫ネットを掛けることも効果的です。
ネギアザミウマ
ペコロスではネギアザミウマが発生することが知られています。
成虫・幼虫ともに葉の表面から汁液を吸い、縦長の白い小斑点を残します。多発すると葉が全体的に白化し、生育が抑制されます。
ネギアザミウマは、ペコロスやタマネギだけでなくニラ、アスパラガスなど複数の野菜を食害するため、周囲で他の作物を栽培している場合には注意が必要です。日本各地で発生し、特に初夏から初秋にかけて活動が活発になります。
予防法・対処法
ネギアザミウマはノビルなどの雑草でも繁殖するため、圃場の周囲の雑草は取り除いて発生を防ぎましょう。
マルチを敷くことで株元への侵入を予防したり、寒冷紗で覆って苗への被害を抑えたりするといった方策が有効です。
ヨトウムシ
ペコロスを食害するヨトウムシとして、ヨトウガとハスモンヨトウが知られています。いずれも、幼虫が葉に食害をもたらします。
初期には葉の表面が食害されるため一部が白く見えるようになります。放置しておくと穴があき、やがて葉がボロボロになります。
ヨトウムシはヨトウガの幼虫で、昼間は土の中に隠れていて夜に活動を開始します。成虫は薬剤への抵抗性が高いため、幼虫の時期に適切に駆除することで被害を最小限に食い止めましょう。
また、ペコロスやネギなどのネギの仲間以外でも、ナスやキャベツなど多様な野菜で発生するため、周囲で別の作物を育てている場合にも注意が必要です。
予防法・対処法
植え付ける前に圃場をよく耕して、幼虫やさなぎを見つけたら駆除しましょう。
また、成虫であるヨトウガの飛来を防ぐため、ペコロスに防虫ネットをかけるとよいでしょう。
ヨトウガは葉の裏側に卵を産み付けます。卵を見つけたら、孵化する前に葉ごと切り取って取り除きましょう。
ペコロスを健康に育てるために
害虫が発生すると、作物の生育が阻害されるだけでなく、病気の発生につながる場合もあります。ペコロスに発生しやすい病気については、以下の記事をご参照ください。
ペコロスを病気から守る!知っておくべきペコロスの病気6つとその対策 | AGRIs
小ぶりでプランターでも育てやすいため、家庭菜園におすすめの小さなタマネギ・ペコロス。今回は、ペコロス栽培で注意したい6つの病気とその予防・対策法をご紹介します。
https://www.agri-smile.app/articles/pekorosu-disease
病害虫を予防して美味しいペコロスを育てるために必要な対処法について、あわせて押さえておきましょう。