トマト栽培における2種類のカビ被害
トマトの葉や茎にできるカビは灰色カビ病とうどんこ病の二種類に分けられます。褐色や灰色のカビが発生した場合は灰色カビ病、うどん粉のような白いカビが発生した場合はうどんこ病の可能性が高いです。今回は、トマトにできるこの二つのカビの症状と予防、対策法を紹介します。
灰色カビ病
灰色カビ病症状
灰色カビ病は、ボトリティス菌という風によって飛散する糸状菌が原因となる病気で、果実、葉、茎などに発生し、特に枯れた葉先、咲き終わった花弁が主な伝染源となります。初めに水浸状の病斑が現れ、時間が経過すると病斑部に灰白色〜褐色のカビが生じます。また、カビが茎の内部に及ぶと水を吸い上げられなくなり、それより上の部分の枯死につながります。果実には2~3mmの白いリング状の病斑が生じることもあります。
灰色カビ病症状
高温多湿の状態で胞子が飛散し、温度が20℃前後のときに発病しやすくなります。朝夕に冷え込む時期や水やり後、雨上がり、夜露などで湿度が高く葉が濡れている場合は、注意が必要です。葉が茂りすぎて重なっている場合にも、植物体の周りの湿度が上がり胞子が飛散しやすくなります。
灰色カビ病予防方法
枯れた植物の処理
灰色かび病は、枯れた植物上でも生き残り感染源となります。前作の残りの枯れた植物は、土中に埋め込むか、取り出して処理しましょう。
除草
雑草も灰色かび病の感染源になりうるので、周辺の除草をしっかり行いましょう。
水はけの良い土づくり
土の水はけが悪いと湿度が高くなり、胞子が拡散しやすくなります。畝を高くしたり、腐植土などの土壌改良材を投入し、土質改善を行いましょう。
風通しを良くして、湿度を低く保つ
葉が茂りすぎていたり植わっている場所の風通しが悪い場合、湿気が溜まって胞子が拡散しやすくなります。できるだけ風通しの良い場所で株間を空けて育て、成長して葉が多くなってきた場合には必要に応じて摘葉しましょう。また咲き終わった花がらも感染源となる場合が多いので、こまめに取り去りましょう。
うどんこ病
うどんこ病症状
葉に白いうどん粉をまき散らしたような斑点がはっきりと出ます。白は太陽光を反射してしまうので、斑点が広がると葉の光合成が妨げられ、成長が止まってしまいます。うどんこ病は4~10月頃で、17~25℃の時期の発症が多いです。また乾燥した環境で発生しやすくなります。
うどんこ病発症原因
前述の灰色カビ病とは逆に、うどんこ病は乾燥が続くと起きやすくなり、また、窒素過多になると株が軟弱に育ち、うどんこ病の一因になります。うどんこ病は乾燥時に発生しますが、カビの胞子は雨が当たることにより飛散して拡大するので、雨が降るたびに繁殖して患部が広がり、対処がさらに難しくなっていきます。
うどんこ病予防方法
風通しを良くして、湿度を低く保つ
灰色カビ病と同様に葉が茂りすぎていたり植わっている場所の風通しが悪い場合、湿気が溜まって胞子が拡散しやすくなるので、摘葉を行いましょう
窒素肥料の管理
窒素肥料の使用は決められた範囲内にとどめ、窒素過多の状態になるのを防ぎましょう。
水はけを良くしつつ、乾燥を防ぐ
乾燥した状態が続く場合は、時々葉水を葉の表面と裏側に与えましょう。 ただ、乾くのに時間がかかっても湿度が高い状態を作るので、必ず晴れた日の午前中に与えるようにしましょう。
連作を行わない
連作はうどんこ病の他にも様々な病気の原因になります。同じ土壌では、少なくとも3~4年はナス科の同じグループ内の野菜(トマトの他ピーマンやジャガイモなど)の連作を避けましょう。
トマトにカビが発生した場合の対処法
症状がまだごく一部の葉に限られている場合は、該当する葉を摘み取るだけで対処できます。その際、取り除いた後は胞子が周囲に広がらぬよう、その辺に放置せずに必ず処分するようにしてください。すでに患部が広がって、葉を取り除くだけでは完治が難しい場合は、農薬を使う必要が出てきます。本ページの農薬データベースで対象農作物にトマト、適用病害虫に灰色カビ病またはうどんこ病と入力して出てくる情報を参考にしてください。
最後に
どちらのカビに関しても、日ごろからトマトの葉が茂りすぎないようにし、風通しが良い状態を保つことが予防において非常に有効になります。感染源となるような葉を作らないために風通しの良い環境を保つよう、日ごろから気を配りましょう。